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復讐するため今日も生きていく  作者: ゆづにゃん
第十章学院と戦争と
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第102話王子の狙い

四人部屋のリビングの部屋で、今俺は...


「で?」


「だからその....ど、どうか殺さないでください!!」


「「「「お願いします!!」」」」


集団土下座をされていた。

まあ、何というか、ラサーナの事に関しては、少しばかり学生にしてはやりすぎだと思ったから。

お灸をすえるにはちょうどいいかと思って、一人づつ壁に頭から埋めていった。

ここまでは誰だって理解できるだろう?ついやってしまうだろう?.....で、そのあと、壁に埋まった奴らを引き抜いて、回復魔法で傷をすべてきれいにしてあげ、さらには奇麗なもち肌にしてあげた。

それだけのことで、俺は土下座をされた、確かに気絶が治った奴らに「もう一回埋まる?」とか聞いて、多少脅したが、それの効果なんてこれぽっちもないのだろう。

そして挙句の果てに、どうしてラサーナを狙ったのかも奇麗に教えてくれた。

まあ、とても簡潔に言わせてもらうなら、反抗だ。

この学院では貴族たちの思惑が飛び交い、平民は奴隷のように扱われる、だから集団でまとまってポイント数で勝って貴族たちを見返す、もしくは貴族を集団でつぶしたかったらしい。

そんな集団に属した日、いい獲物はいないかと歩いて回っていたら、偶然Sランク生徒が目に留まったため、どれくらい通じるのかというお試しも兼ねラサーナを潰したらしい。


「いや、殺さないから、それより【Ⅹ】のことを言うなよ命が惜しいならな」


「分かっています!絶対に他言いたしません!」


「あと、貴族に反抗したいらしいな」


「は、はいそうです」


「なら、今はやめておくんだな、この国はあくまで貴族主義、傷をつけたとか、けがをさせたで処刑されたっておかしくない」


「じゃあ、どうすればいいんだ....俺達は...」


もう、反抗することなどあきらめ従順な犬となる、いまその選択肢のみが目の前の犯行グループの瞳に映っていた。


「もう少し待つんだな....あと少しで基準が変わる」


それだけ言って微笑を浮かべた俺は、ラサーナ達に説明等もろもろをするためリビングを出た。

ラサーナが横になっている部屋の前まで来て、ふと気が付いた。


(少し汚いな....)


自分の服や手が自分の起こした土埃で、土まみれになってしまっている。


(せっかくだし....温泉でも楽しむか....)


学園長が好意で用意してくれたものだ使わないというのはもったいないだろう。

少し嬉しそうに頬を緩めながら、ラサーナの部屋を後にした。


床は押したら軽く沈むような畳で、インテリアランプが複数個つけられ部屋を明るく照らしている。

そこにある棚には木の網で組んだ籠が設置されていた。

そんな脱衣所を抜けた先は......


「お~」


驚愕するほどきれいなところだった。

床は石を埋め込み平らにしたようにできているのに、温泉の淵だけが水晶で彩られている、まあ、温泉としては普通かもしれないが一番異常なのは天井だ。

何故だろうか、本当に俺にも訳が分からないのだが、何故か上を見上げると星ぞらが見える。

どんな原理か多少は気になったがそれよりも早く、

温泉につかりたかった。

軽く体を流し洗い、タオルを手に俺は温泉に脚先からゆっくりとはいると、肩までつかり、奥の岩に背中を預けた。


(あ~......疲れが....)


体を包み込む温かさがあまりにも気持ちよい、今までの疲れが少しづつだが全て溶けていくのを感じる。

今思い出すと生まれ変わってから今日までいろいろなことがあった。

ドルトンを殺し、アセロラを殺し、リクは....まあ生きているか死んでいるかよくわからないが.....それでもこの二年近くは本当に大変で、とても楽しかった.....()()()()()...なんだろうか、このやるせなさは。

なんだか頭の中がもやもやとする....今まで怒りに身を任せて殺してきた、家族を殺されたり、子供たちを拷問したことが許せなくて.....けどそれはあくまで他人だ、悲しくて涙を流せる....けど俺はその子たちのためだけに生き返り復讐を代行するような、そんな人間だっただろうか?

俺は本当に子供たちや、親友の為だけで生き返りたいと願ったのだろうか....

それは絶対にありえないはずなんだ、だって俺は最低最悪の利己主義者(エゴイスト)なんだから...

思考に深く深くのめりこんでいたその時、温泉の水面が揺らめき、誰かがお湯に入った音が聞こえた。

深い思考の末瞼を閉じていた俺が、瞼を上げるとそこには一糸纏わぬツバキの姿があった。


「なっ!?...な、なんで入って来て!?」


「いやぁ、裸の付き合いってのも大事ってもんっすよね...あ、隣失礼しますっす」


良いという前にすとんと体を湯船の中に沈め、俺の隣に座りこんだ。


「い、いやあのな、俺は男だぞ?そこらへん分かってるか?」


俺はできるだけ見ないように、それを見上げ星空を覗く。


「だからじゃないっすか」


さも、当然のように言ったこの女に身震いを覚えた。


(な、なんなんだ?最近の女子ってこんなにませてるのか?....そういえばこの前カノン.....)


もうそこで考えるのをやめた、別に気にしなければいいだけの話だろう。

少しだけ見たい衝動を抑え、無理やり顔を上に見上げたまま固定した。


「にしてもユウリさんが【Ⅹ】だったんすねぇ....それだけの強さがあるのに何故Fクラスに?」


「同部屋にカノンってやつがいるだろ?」


「ああ、あのすっごい美人の人っすね」


「そいつらと一緒のクラスが嫌だったんだ」


「そうなんすか?あんな美人と一緒が嫌だなんて、どうしてっすか?俺だったらすごく喜びますけど」


喜ぶ?それは可愛い友達ができるからという意味だろうか...ん?待てよ...まさか..


「俺がいると邪魔だからな...てかツバキお前...男か?」


「そうっすよ?...あ~もしかして勘違いしてたっすか?」


バツが悪そうにてへっと舌を出し頬をかく。

その様はそこらへんの女子よりも数倍かわいかった、なんか顔を見ているだけでこいつが男だと忘れて見惚れてしまいそうだ。


「いやぁ、よく勘違いされるんすよね....あと俺一応女の子が好きっすよ」


「別に聞いてないけど」


「一応っすよ、一応、たまに俺を男だと知って告白してくる奴がいるっすからね」


やれやれといった感じで肩をすくめた。

本当に苦労が絶えないのか、てかそんな奴らと一緒にしないでほしい....ん?


(今何か...声が...ッ!?)


急速に嫌な汗が頬をつたった。


「あれ、もう出るんすか?」


湯船からそっと上がった俺を見て、ツバキが不思議そうに声をかけてきた。

まあ、確かに10分ほどしか入っていないが.....これ以上は嫌な予感がするのだ。


「ああ、ツバキは?」


「俺はもう少しゆっくりするっすよ」


その言葉に俺は苦笑いを浮かべると、こそっと服だけを手にして裏口から抜け出ていった。


(説明してる暇がないんだ...すまん)


俺は内心ツバキに謝罪をすると、速足で部屋に戻った。

あの時、温泉につかっている時に、脱衣所のほうから聞こえたがカノンたちでないことと、ツバキが殺されないことを祈って。


「ぎゃああぁぁぁぁああ!!??」


数分後、温泉の奇麗な透き通るお湯は、真っ赤な血で染め上げられていた。


こんな日常を繰り返しているうちに、既に戦争日まで残り18時間をきっていた。


                        ♯


王国、ニス=グリモア。

各区画に隣接されている魔道具から警告のチャイムが鳴り響き、国民たちの家の中まで響き渡らせていた。

指示された保護区、第1、第2、第11、第12区画、城の裏手に設置された魔具防護シェルター内に大移動を行っていた。

そんな中肥え太った豚、別名貴族共は城の中にある豪華で特殊な魔法結界を複数に張ったシェルターの中、各一流の兵、冒険者と共に余裕そうに、最前線である隣国の山。

その最前線から送られる魔道具からなる映像と兵による報告をたった今、国王クノースと共に受けていた。


『無事第一部隊、作戦通り目的の場に配置いたしました、魔力砲の照準は国に合わせております、合図をいただければすぐにでも殲滅が可能です』


「うむ、分かった...日の出とともにこちらから合図を送る、それに合わせて射撃をするように」


『はッ!』


敬礼の言葉を残し映像はぷっつりと切れ落ちた。


「これは勝ち戦も甚だしいですなぁ、クノース様」


そう口にしたのはマウント卿、卑屈な態度で王が考えた戦には何にも問題がないと肯定をする。

如何にも王に恩義を売ろうとしているかが見て取れた。


「うむ、確かにこの兵力と作戦があれば負ける可能性は低いであろう」


「ささ、こちらにお座りになってくだされクノース様50年代物のワインがありますゆえ」


「おお!ぜひいただこう」


王クノースをなし崩し的に玉座に座らせると、周りの貴族たちはワインを手に取ったり、食事を持ってきたりと、気に入られようと必死だった。

それを傍目から見ていたヤナサ卿は地形、戦術、導入された兵、戦場の舞台、を考察したレポートを片手間に目を通していた。

だが、それは読んでいけば読んでいくほど、確かなものだと思はせられる。

ヤナサ卿はただ不気味に感じていたのだ、あまりにもこちらに有利すぎる立地と、うまく進みすぎている作戦に。


第二部隊、レイとキミヲ等、他国の応援で来た選りすぐりの兵士、冒険者を中心として作られた部隊は、今スモール平原に簡易的なテントと魔道具による簡易結界を使い、各々作戦室、指令室、伝達室等の安全圏を作り上げていた。

その最も中心地、ひときわ大きなテントの中、玉座に座っているのは第一王子ロカだ、青黒い鎧に身を包むロカの両隣には、漆黒のローブを纏うキミヲと、赤き紅蓮の鎧に身を包むレイだ。

その目の前では兵士たちが敬礼を行っている。


「第一班、第二班、第三班、ともに東、西側の地にて地雷の設置を完了いたしました!」


「ご苦労様です、では第四班、第五班と共に周囲の警戒と、見回りに尽力してください」


「分かりましたロカ様!」


ビッシと敬礼をすると、責務を全うするべく後ろの兵たちを連れテントの外に出て行った。

完全に出て行ったことを確認してからキミヲがロカに声をかけていた。


「ロカ様」


「なんですか?」


「お聞きしたいことがあるのですがよろしいでしょうか」


「どうぞ言ってみてください」


「あなたの目的は何ですか?御前会議中妹君が一目ぼれなどと申しておられましたが、それと何か関係が?」


疑ってかかるキミヲにふっと王子は笑みをこぼした。

ちなみにレイは御前会議中にいなかったため全く話についていけていない、ただ聞いているだけといった感じだ。


「流石ですねキミヲさん、確かに私には目的が存在しています....そうですね、こうやって第二部隊の指揮官となれたのもキミヲさんのおかげですから、お話ししましょう」


自ら席を立ったロカはテントの入り口を閉じると、玉座の裏のテントをめくり、話し合いの席にレイとキミヲを招いた。

2人とも席に着いたことを確認して、落ち着いた様子で決意を決めた顔で話し始めた。


「実は私と妹であるアンジュにはある狙いがあるのです」


「狙い?...ですか」


「私は..あの王の化け物じみた血筋を、王家に取り込みたいと考えています」


「....本気ですか」


それはつまり、あの男を自分の妹と結婚させ、その力を子供に受け継がせていこうということなのだ。


「はい、妹も喜んでいました」


そういえばクノース王が言っていた、妹気味は強い男が好きすぎて、冒険者についていくこともあり、活発的過ぎてこまっている、と。

その反対で王子はおとなしくて困る、とも。

妹のために性格を曲げてまで頑張るとは、本当にいい兄だ。


「どうやって、ですか?」


「この戦争、どう考えても我々に分がある、と思っています、ですので、父上には黙って国民を捕らえ、結婚をするかどうかで脅そうと思っています」


「そうですか...実はですね私たちも似たようなことを企んでおりました」


「似たようなこと?...まさかホープの姫君と?」


「いえ、そうではなく、あの王の力を私たちにご教授願いたいのです」


それは師匠としてご指導を願いたい、敬うような立場に行ってほしい。

まさか敵対国の王にそこまでのことを感じるとは、流石妹が選んだ男といったところなのだろう。


「目的は近くとも、遠からず、ですね....ここはどうですか、手を組みませんか?」


あの王を妹君と結婚させ、そしてなおかつ師匠として俺たちを鍛えてもらうということか....確かにありと言えばありか。ただ唯一問題があるとすれば、子作りで時間が取れない場合も出てくることだろう。

まあ、許容範囲内だが。


「分かりました、手をお貸しいたしましょう....それでいつ頃向かわれますか?」


「そうですね...皆さんの話だと、敵の軍勢がこちらに向かってきますので、それを対応したのちに隣国に攻め入ろうと思います」


「分かりました、では私たちは一度、テントに戻らせていただきます」


レイの頭を押さえ一礼をすると。

いまだに話についていけていない、レイにもしっかりと話を教えるためにテントに戻っていった。


戦争まであと、15時間をきっていた。



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