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復讐するため今日も生きていく  作者: ゆづにゃん
第十章学院と戦争と
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第100話始動 魔法学院

ついに100話達成しました!

ここまで読んでくださった読者様に感謝です!



魔法学院入口、そこには新入生が大量に集まっていた。

どいつもこいつも、武器を見せつけるようにして、これじゃあ対策してくださいって言っているようなものだ。

そんな風に先程まで、ラサーナは侮っていた。

だが今は違う、侮るとか、そんな話じゃない、ただ今願っていたのは死なないことだった。


(神様....今まで悪事を働いた事を...ここに懺悔いたします....だからどうか私を...この状況からたすけてくれ!?)


ここの国より少し東、そこには大盗賊団が設立されていた、殺人、暴漢、盗み、依頼料さえ払えばなんでもやる。

国が手を焼いてしまうほどの大盗賊。

その盗賊団、団長ラサーナは、自己研鑽に励むため、今まで盗んで来た金の一部を持ち、このニス=グリモア魔法学院に受験をした。

試験の結果は最高の結果であるSクラス、入学式をばっくれた次の日、魔法学院初日には、周りの奴らを見下すような余裕の笑みでベンチに腰を下ろした......その時気づかなかったのだ、隣に化け物のような少年が座っている事を。


(な、なんなんだよ、この化け物!?....)


隣に座っているのは、黒髪の少年、目はアメジストのように光り輝いている。

だが、少しだけ長めの髪は綺麗な瞳を隠すように伸ばされていた。

ラサーナにはある特殊な技能があった。

『技眼』それは相手の実力をオーラかして、数値として表す事が出来る。

その能力のおかげで今まで盗賊としてぎりぎりを見極め、やってくることができたのだ。

そして今回も、いつもと同じように『技眼』が教えてくれた、マジで逃げろ、と。

そこから発せられるオーラは今ここにいる人達全てを足してもまだ足りない、後何倍ある事だろうか。

そして最も怖かったのは.....技眼に初めて『エラー』という言葉が出た事。そのオーラを目にしながら隣に座っていたラサーナは全身の冷や汗が止まらず、震えが止まらなくなっていた。


(やばい!やばい!!殺される!!今すぐ離れないと....)


「あの〜?すいません」


「ひぃっ!?へぇあ!?な、ななんでしょう!」


離れようとしたその時だった、運悪くも声をかけられてしまった。

まさかこの男、俺を殺す気なんじゃ....


「暇ですから、話でも、と思い声をかけたのですが.....邪魔でしたか?」


「じゃ、邪魔!?めめ滅相もございません、全身全霊でお話に付き合う所存ですぅぅぅう!!!」


手をやたらと動かしまくり、冷や汗を垂れ流しながら、焦ったように言葉を紡ぐ俺に。

隣の少年は軽く微笑んで見せた。


「面白い喋り方ですね」


「そ、そそうですかね!あ、あは、あはははは!」


作り笑いを浮かべ頭をさすっているものの、目が半泣き状態、もうまじで帰りたい。


(くっそ!笑えねぇ!!まじで笑えねぇんだよ!この状況!?)


「楽しみですね学院」


「そ、そうですね!」


ラサーナは初めて日常会話で命の危険を感じた。

もし少しでも噛んだら、首を千切られるのではないか、唾がついたら心の臓を抉り取られるのではないか。


ラサーナは今人生最大と言えるピンチを迎えていた。


「でも、ショックですよね〜、始まったばかりだというのに2日で一旦休校ですからね」


「あ、あー隣国との戦争ですよね、でもすぐに終わるでしょ」


テンパりまくっていたラサーナだが、少しだけ落ち着いて来た。

喋り方が多少は戻ってきた。


「なんでですか?」


「余裕で勝ちますよこの国が...大体発展途上の国がれっきとした国に勝てるわけないですって」


「と言うことは、あなたはこっちの国に着くんですか」


「まあ、そうかな?負けなければどっちでもいいんだけどね」


そういいながらせせら笑う。

そんな風に笑いごまかすことで精いっぱいだった。


「そうですか、なら隣国に行く事をお勧めしますよ?」


「え?それどう言う意味....」


いきなり化け物のような少年がそんなことを言ったことに驚き、聞き返したその時。

大柄で軍服をまとった男が声を張り上げた。


「Fランクの生徒は集まりなさい!今から教室まで案内する!」


それはFランク生徒召集の指示だった。

それを聞いた少年は笑顔で別れを告げると、ベンチから離れていった。


「すいません、呼ばれてしまったのでいきますね、また学院で会いましょう」


「あ、ああ」


苦笑いを押し殺し手を振り見送った、少年が学院に消えていく姿にほっと安堵した。

だがその時とてもおかしなことに気づかされた。


「あ、あんたがFランクの生徒ぉぉぉお!!?」


                      ♯


時刻は朝の7時までに遡る。

朝、俺達は珍しくも一緒に朝食をとっていた。

俺は焼きたてのパンに噛り付きながら、呆然としていると、カノンが人差し指で腕を突いて来た。


「どうしたんだ?」


「見てくださいよこれ!2000ポイントですよ!2000ポイント!」


自慢げに見せびらかすのは、学生服に付けられた腕時計のようなもの。

そこにはくっきりと2000と言う数字が。


「皆も同じなのか?」


「そうですね、皆同じなんですけど.....私だけ2500でしたよ」


エミリーの腕時計だけが、2500という数字を表していた。

そもそも、この数字はなんなのか、それは昨日校長によって説明されたのだが。

この腕時計に書かれている数字は、試験での強さの数値をポイントかしたものらしい、だから多ければ、多いほど強いと言う証になり、ポイント数のランキング形式になっており。

一週間のペースで校内に張り出される。

そしてこの数字は増やす事ができるそれは他者と決闘を行い、勝る事。

因みに0ポイントとなった場合は、とても簡単、退学になる。

という、強者を作り上げるシステムが完備されてあった。

だが、1番の問題はそこではないのだ.....


「それよりも、Xとは一体誰のことなのだろうな」


「俺、カノン姉ちゃんかエミリー姉ちゃんだと思ってたぞ?」


そう、このポイント争奪戦にはある特殊ルールがある。

そのルールとは、ポイント数Xを見つけ出し勝つ事が出来れば、その者は絶対なる一位として君臨、さらには先生達を制する権力を手にする。


「私達より強い人がいるんですね、あの学院に.....」


ポイント数Xとは、他生徒と隔絶とした力をもった者が現れた年のみ行われる特殊なルール、だからその年に現れた最も強い者がポイント数Xの称号を手に入れる。


「あっ!....もう行かなきゃ!皆行きますよ!」


エミリーが時計を見て慌てた声を出すと、椅子の下に置いてあった手提げバックを手に持った。


「じゃあ、行って来ますねユウキさん!」


「ああ、行ってらっしゃい!」


俺は笑顔で送り出すと、一人食堂で紅茶をすする。

椅子の裏に隠してある手提げバッグを取り出すと、チャックを下ろした。

そこにはニス=グリモア魔法学院の制服と.....

Xと書かれた腕時計がバッグの中に収まっていた。




時刻は現在に戻る。

軍服の男に連れていかれたFクラスに入った俺は、指定された席に着き、教師が来るのをただ待っていた。


(....気まずいな)


ただ待つという行為をしているだけなのに、そう肌で感じ取った。

周りは皆、何というか険しい顔だったり、悲しそうな、もう終わりだ....といった、そんな顔をしていた。


(まあ、それも仕方ない事か.....)


今日はわざわざ染色して来た黒髪を弄りながら、頬杖をついていると.....隣に座って来た少女が笑顔でこちらを見つめていた。

髪色は薄い紫、目も同じような色で、見ているだけで吸い込まれそうな程綺麗な色をしていた。

真面目な生徒に見えるが、服装は全く違う少し改造が施されていた。


「どうもよろしくっす隣の方!俺ツバキっていいます仲良くしてくれると嬉しいっすよ〜」


そう言ってニコリと微笑む。

俺もその笑顔に答えるように微笑み返した、その心は正直助かった、そう思った。

本当にこのクラスの雰囲気は悪い、下手をすれば自分も病んでしまいそうな程.....そんな雰囲気を笑顔でこの少女が壊してくれた.....

後ろの席の奴も、ショックを忘れてツバキの笑顔に見惚れる程に。


「ツバキさん、と言うんですね、私は.....えーと....」


(やばい......キリアって名前使えないんだ....どうしよう.......ユウキ...キリア....うー....)


「え、えと....私の名前は...ユ、ユウリです!そうユウリ!」


「ユウリって言うんすね、いい名前っすねぇ」


そう言って和やかに、会話が成立し、疑われることもなかった。


「そうですかね?あは..あははは」


そんな風になんとか場を乗り切ると、ドアがピシャン、と音を立てて開いた。

その扉から入って来たのは真っ白い雪のような髪をした女の人だった。


「今日からこのFクラスを担当させてもらうスノーホワイトです、びしばし鍛え上げSクラス以上にして見せますのでどうぞよろしく」


教卓たった女性はそれだけを静かに告げ、一礼をした。

その姿、名前を聞いた、クラスは大きくよどみ始める。


「え!?スノーホワイト!?嘘!」


「まじかよ!俺たちすっげえついてるじゃねえか!!」


先程のテンションの低さをどこに置いて来たのか、うって変わってテンションMAX、嬉しさに悲鳴をあげたり、ガッツポーズをしていたり。

そんな中俺は全く何がいいのか分からず、ツバキに助けを求めていた。


「あの、スノーホワイト先生ってなにかすごいんですか?」


「俺もよく知らないっすけど、元Sランクの冒険者らしいっすよ」


Sランク冒険者、確かにそれは将来夢を見ている少年少女達にとって憧れで、夢の存在。


(へぇ、あれがSランク冒険者ねぇ.....少しだけ試してみるか.....)


「........ッ!?!!」


本当に少しだけ、リミッター解除.....その瞬間氷の氷柱(ツララ)が、俺の机に突き刺さった。

気が早いなぁ....そんな風に呆れてみるも、そんな余裕無かったようで、激しく呼吸を繰り返している。

汗を垂れ流し、瞳に困惑を浮かべていた。


「どうかしましたか、先生?」


流石にスノーホワイトの異様な様子に生徒達も気づいたようで問いかけ始める。

仕方なく炎術式(ファイアーエンチャント)をつけた手で氷をさすり、木材創生を使いさっと机を直しておいた。


「い、いえ、なんでもないです、それでは朝のホームルームを始めます」


スノーホワイトの声を聞きながらも、俺の意識はここにあらず。

ずっと脳内で考え事に耽っていた。


(うーん....やっぱりか....俺の魔力少し変だよな)


最近気づき、生まれた新たな疑問。

自分の魔力を見せると、何故か魔物達が一斉に標的を俺に変える。

魔力量が多く、怖がられ逃げられる、なら分かるのだが、襲われるというのは......

逆に弱く見られているのではないか?そんな疑問からスノーホワイトを脅した。


(結果的に.....弱い魔力だから襲ってくるわけじゃないみたいだな.....)


あの様子からして、直感的に攻撃をしてしまった。

さらには体が疲労している。

その事から分かるのは、相手を脅してしまっている、もしくは死を悟らせてしまう、さっきの攻撃は切羽詰まった様子から放った一撃だった。


(結局あんまり見せない方がいいって事だな....)


スノーホワイトの話を流し聞きながら、窓の外、空を見上げた。



(いやいやいや!!何でこうなるんだよ!?!)


Sクラスに入り、先程の化け物から逃げる事が出来たラサーナは、ホッとした様子で席に着いた....のだが、周りにいたのは化け物達だった。


(ちくしょう!?そんなに俺が嫌いか神様よ!?)


隣に座っているのは紅の髪をなびかせる長髪の獣人、見た目は恐ろしく可愛く、先程から周りの男どもがチラチラと目配せをするほど......だがその本質は.....


(ははっ.....本当に....俺の目はおかしくなったのかな?)


ラサーナの目には、竜が映り込んでいた。

あの少年程の化け物ではないが、力の強さの大きさが竜そのものを作り上げているように見える。


(これのどこが可愛い?.....俺はただ怖いんだけど....それにさぁ....)


ちらっと後ろに視線を向けると、そこには黒褐色の肌をした男が。


(もう見た目から強そうじゃん....てか実際中身も強いじゃん....隣も、か.....はぁ)


隣の青髪の少女を一瞥、そのあと教卓に顔を戻した。

そこでは髭面の親父が解説をしていた。


(うーん、あの程度ならわたしでも.....)


あの親父も普通と比べれば強いのに、すでにラサーナにとってはあの少年と周りの化け物さに感覚がおかしくなってしまっていた。


「―と言った目的のため、この学院は作られたそうだ、この学院での生活についてだがこの学院では学生寮製だ」


(ふーん学生寮ね....まあ、いいちゃいいのかな?.....ともかくこの化け物たちと一緒じゃなければ....)


「あと部屋のペアは隣の席の子だからな」


その言葉を聞いた瞬間ラサーナの体は微動だにしなかった、まるで石のように体が固まる。

隣の少女の視線を受けながら、ただ呆然と話を聞き流していると、救いの手が差し伸べられた。


「あと、本当に申し訳ないんだが、どこか一つのグループだけ他クラスの二人を合わせた四人部屋に住んでほしいんだが、自分からやりたいという立候補者は....」


「はい!私をぜひ四人べやにしてください!」


ラサーナを盗賊団の頭だと知っている、教師は少し怪訝そうな視線をラサーナに向け、そのあと隣の少女に視線を合わせた。


「カノンもそれでいいか?」


「はい、私は構いません」


その言葉に気ずかないうちにガッツポーズをしていた。

その行動に周りの者たちがぎょっとした目でラサーナを見つめている。


「あ、一つ忘れていたが、多分Fランク生徒と一緒になるだろうが、それで構わないか?」


(Fランク生徒!よっしゃあ、確実に俺より弱い奴らだ!)


「ぜひ喜んで!」


その時のラサーナの顔は驚くほど満面の笑みだった。


「あ、今日はこれで授業は終わりだ、今から伝えられた指定の番号の部屋に行き、生活用品、部屋のルールを取り決め、部活見学などを行うこと、以上!」


                        ♯


((なんでこうなった!?))


2人の思いは確実に重なった。

自己紹介を終え、今部屋にいるのは、カノン、ラサーナ、ツバキ、そしてユウリだった。

その中ユウリとラサーナだけが下を向いてしまっている。


(嘘じゃん!嘘じゃん!なんでこうなるんだよ!....マジで神様助けてくれよ!?)


(よりにもよってカノンと一緒かよ....絶対いつかバレるじゃん)


そんな風に思いながらも一応顔を上げると、カノンと目が合い.....さっと慌てて、目線をそらした。

その行動に違和感があったのか、鼻をスンスンと鳴らし.....


「あれ?ユウキさん...ですよね?」


(はい、もうバレた!いつか...なんてそんなに持たなかったよ!出会っただけで終わりじゃねえか!)


「人違いじゃないですか?それより部屋のルールを決めませんか?」


「あ、そうっすね!部屋どうしますか?」


今いるのはリビングで、そのソファに腰を掛けている中、俺はツバキを連れてリビングを出た。


家の中を見て回って分かったが、実際この四人部屋、部屋というより一軒家に近い。

リビングがあり、ダイニングにキッチン、部屋も二つ付いていて、お風呂はなんと豪華な温泉だ。

わざわざ学院長が俺に四人部屋を進めてきた理由がよくわかる、てか俺のご機嫌取りのつもりなのだろう。

冷蔵庫の中には、高級食材が並んでいるし、部屋もリビングも無駄に新しい、まるで最近リフォームしたように感じる。

すごくいい部屋であることは間違いないだろう、だが一つだけ問題があった。

この家の部屋、二つしかない。

今この家に住む四人のうち三人が女子、これ、どうすればいいんだろうか。


「ユウリさん!ここにしましょうよ俺らの部屋!」


「え?いや、でも...」


「だめっすか?」


悲し気なその瞳が普通にかわいくて、何も言えなくなってしまう。


「駄目じゃないけど....」


分かってるのだろうか、一応性別が違うんだけど。


「じゃあここでいいっすね、寝間着とか持ってこないと....」


そういって楽しげに部屋を出て行った。

それと入れ替わりに、カノンがひょっこりと顔を出した。

そしてそのまま俺の隣、ベットの上に腰を下ろした。


「ユウキさん」


「いや、ユウキって誰かな....俺はユウリっていうんだけ....」


「ユウリ?...ユウキのユウと、キリアのリですよね」


俺の浅はかな考えで作り上げた名前は秒でバレたようだ。


「あのユウキさん、あの娘だれですか.....」


急によどんだカノンの瞳がユウキを見つめる。

もう既に俺に弁解の余地はないらしい。


「ツバキっていうクラスメイトだけど」


「本当にそれだけなんですか!?寝る部屋も同じにしてましたし!」


こちらに顔を近づけてきて、今にも俺を押し倒してしまいそうなカノン。

何かが危ない気がして、さっと距離を取る、それでもまたすぐによってきた。


「いや、クラスメイトだからさ」


「そもそも、なんでユウキさんがこの学院にいるんですか!それに教えてもくれなかったし.....それにXってユウキさんですよね!?それ以外考えられませんし!」


「分かった説明してやるから、いったん落ち着け.....ん?外が騒がしくないか?」


すこし耳を澄ますと、なにか外でもめているようなうるさい声が聞こえ、怒り声までもが響いてくる。


「話をそらそうとしたって.....あれ、本当に騒がしいですね...ツバキさん?」


カノンの耳がぴょこぴょこと動き外の音を感知したようで、口からかすかな言葉が漏れ出た。

少しだけ嫌な予感がした、まさか、さっそく面倒ごとに巻き込まれるのか....

俺は早歩きで外に向かった。


「ちょっと待ってください!話はまだ終わっていませんよ!」


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