vs黒マント軍団
◇
ルークの挑発にまんまと乗せられた黒マント軍団は、「潰しちまえ!!!」と怒号混じりに突っ込んでくる。
「ほーら、やっぱり単細胞でしょ?」
そういってルークはユウハの方を見る。
ユウハは黙って頷くと、魔法を唱え始める。
すると突然、黒マント達の足元に黒い霧のようなものが現れる。
「なっ!?」
見たこともない魔法に、黒マント達は動揺を隠しきれないでいた。
「あら?遅延魔法は初めてで?」
今までの散々な言われようにさすがのユウハも頭にきていたのか、皮肉っぽくそう口にした、
「くそっ!なんだよこれ!歩くのがやっとじゃねーかよ!」
遅延魔法ーー神速スキルの補助をするためにユウハが独自開発した、相手の素早さを一時的に著しく低下させる魔法だ。
うろたえる黒マント達を他所に、ルークはギリギリと弓を引きしぼる。そして右斜め方向に、地面から70度傾け、矢を放つ。
放たれた矢は、大きく弧を描きーー空中で分解される。計算され尽くした矢は、寸分も狂う事なく黒マント全員の頭上に落ちていく。
「ぐわぁぁああ!!」
自分の頭に垂直に突き刺さった矢を見て、黒マント達は混乱を隠しきれない。そのまま四方八方にバラけたと思うと、哀れな声を上げながらそのまま逃走していった。
「……あまりにもあっけなすぎない?」
ユウハがやれやれといった表情でルークを見る。
「…ま、まあ、その程度の奴らだったんだろ。けど、アランの方はそう簡単には行かない気がするけど」
ルークはそう言いながら弓を背中にかけ直す。
「なんでわかるの?」
「勘、かな」
ルークはヘヘッと笑い、そのまま「俺たちもアランの所へ向かおう」と言った。
ーールークの勘がよく当たることをユウハは知っている。ユウハは少し不安に感じながら、走り出したルークについて行った。
あっけな!!