第9話 ダンジョン出現!? 前編
長くなりましたので、話を分けました。
本日、後編も投稿します。
五人の男女が森の中を歩いている。
彼らは、冒険者のパーティーであり、これからあるダンジョンの攻略に向かっているところである。
「今回こそ五十階層に到達したいな」
「大丈夫だよ。そのために、たくさんのアイテムを揃えたんだから」
この森には、あまりモンスターが現れないので、会話の楽しみながら歩いている。
「ちょっと待つっす。この先の様子がおかしいっす」
斥候職の男、テルーが前方の異変に気付いた。
「どういうことだ?」
このパーティーのリーダーであり、剣士でもあるガンドロがテルーに問いかけた。
「この先の丘に空洞があるっす」
「何!? 新しくダンジョンが出現したのか?」
今まで特に変化がなかった場所に、突如空洞が口を開け、冒険者を飲み込み始める。
それがダンジョンの出現である。
そして、ダンジョンにはモンスターが溢れて出てくるものもある。
「慎重に近づくぞ」
ガンドロが声を掛けた。
テルーが先頭を歩き、他のメンバーがそれに続く。
特に問題が発生することなく、空洞の前に辿り着いた。
「「「「「え?」」」」」
空洞の前に立て掛けられている看板を見て、メンバーは一瞬呆けてしまった。
看板にはこう書かれていた。
《めしや ダンジョン》
「なんだよ、これ?」
誰かが呟いた一言がメンバー全員の思いを表現していた。
「ど、どうすんの?」
「テルー、ここを《鑑定》しろ」
「分かったっす」
テルーはそう答えて《鑑定》を行った。
・スキル《鑑定》
無生物の情報を取得できる。
建物やダンジョンに対しては名前を調べることができる。
取得できる情報は、スキルの熟練度に依存する。
その結果、表示されたものは
「…… 名前はそれと一緒っすよ」
それを聞いたガンドロは少しの間考えるように目を瞑った。
「よし、とりあえず様子を見に入ってみよう。問題があれば、ギルドへ報告に戻るぞ」
「「「了解 (っす)(よ)」」」
パーティーは戦士であるナイルを先頭に、テルー、ガンドロ、魔術師ミリア、回復師ナーナの順に中に入っていった。
入口から細い通路を五メートルほど進むと、開けた空間に出た。
「気を付けろよ」
メンバーの緊張感がより一層高まった。
しかし、そこに緊張感とは懸け離れた声が聞こえた。
「いらっしゃいませ」