第7話 想像と創造
男はダンジョンコアルームに戻ってきた。
「まずは鉄から、かな」
男は、これから創造魔法を使おうと思っていた。
MPを消費して素材を創る、言葉にするとこれだけであるが、簡単なこととは思えなかった。
そのため、ダンジョンコアルームに戻ってきたのだ。
ダンジョンよりもここのほうが集中できるような気がした。
男は、胡坐を組み、背筋を伸ばし、足の上で手を組んだ。
所謂、座禅を行うような姿勢である。
その状態で、手の上に一センチ角の鉄を創るイメージを浮かべた。
集中力が高まっていく。
額に汗が浮かび始めた。
その汗が頬伝い、地面に落ちた。
そのとき、手のひらに、一センチ角の鉄が現れた。
しかし、男に動きはない。
数時間後、男が目を開けた。
男は、自分の身に起きた現象を把握していた。
「一回でMPを全部持っていくのか、この魔法は」
男が数時間目を開けなかったのは、MP切れが起こったからである。
しかし、創造魔法は成功した。
それだけで、満足しないのは間違っているのではないだろうか。
「とりあえず成功したから、よしとしよう。鉄は説明にあったからな。《あれ》は素材に分類されるか分からないが、望みを持ってやってみよう」
男は再び創造魔法を実行した。
イメージを固めていく。
色は黒く、
形は球体を八等分したような、
サイズは四ミリくらいの、
《あれ》
五分ほど経過しただろうか。
男が目を開けた。
そして、その手のひらにはイメージしたものができていた。
「できた…… できたぞーー!」
男は、つい大声を上げてしまった。
それほど、この創造魔法の成功は、男の第二の人生(?)を大きく左右するものであった。
「あっ、MPの最大値が増えている」