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第5話 アイデアは本から

本は、辞典、参考書、小説など様々な分野に亘って用意されていた。


「あ、この小説は面白そうだ」


いっそのこと、小説を読んで過ごそうかと思い始めた。

特に理由もなく、今まで通り一覧を流し読みしていると、ふと一冊の本に目が入った。


この世界で書かれたその一冊は、内容が画期的なものでもなく、有名な著者が書いたものでもなかった。

しかし、男はその一冊から目が離せなくなっていた。



その状態で、十分経過、いや数分、もしかしたら一分も経っていなかったかもしれない。

しかし、男の感覚では、とても長い時間、その一冊のタイトルに目を奪われていた。



「これだ!!」


男は、まさに衝動的にその一冊をDPと交換し、読み始めた。

その一冊を読んでいる男は、先ほどまでの無気力さは全くなくなっていた。

そして、読み進めていくにつれて、男の顔に浮かび上がった笑みは深まっていった。



読み終わったとき、男は満足げな顔をしていた。


「ふっ、ふっ、ふっ、勝った」


誰に、というツッコミを入れる人物はここにはいない。

男は、その本から手に入れたアイデアを実現する方法を頭に思い浮かべていった。


「まずは実験だ」


その一言を残し、ダンジョンコアルームから出て行っ


「ん? どうやってダンジョンに行くのだ?」


男は、まだ一度も自分のダンジョンに行ったことがなかった。




自分のダンジョンに移動してきた男は、すぐにダンジョンコアルームへUターンした。




「真っ暗だった」


すぐに、アイテムメニューから灯玉(ライトボール)を購入した。

設置エリアを選択するように促されたので、一階層の二つのエリアに設置した。

そして、再び自分のダンジョンに向かった。




「小規模サイズでこの大きさか」


二度目のダンジョンには灯りが灯り、エリアを見渡すことができた。

数値の上では50m×50mでも、実際に見ると全く違う印象を感じていた。

しかし、これは何も置いていない部屋の感覚に似ているかもしれない。

実際に家具のようなものを置いてみると、また違った大きさに見えるものである。


「次のエリアはどこだ?」


一階層には二つのエリアを配置したが、次のエリアに行く道が見つからなかった。


当然あるわけがない。

ダンジョンマスターが意図したようにダンジョンを作成できるように、ダンジョンマスターが通路を作る必要がある。

しかし、男は、説明を読む、エリアを作る、絶望する、と実際にはほぼ何もしていないのだ。


「あぁ、このために土魔法などの補正があるのか」


職業ダンジョンマスターの補正は、ダンジョンを成形するために用意されている。

男は、土魔法を使用して、一階層の二つのエリアを一人が余裕で通れるサイズで繋いだ。

初めて使う土魔法だが、イメージ通りに実行することができた。


「ちょっと感動するな」


地下の階層には、二番目のエリアの入り口付近から階段で降りられるようにした。

階段の位置としては、ダンジョンとしては相応しくないだろう。

だが、入口近くのほうが、男の構想にとって都合が良かった。


地下に降りようとしたが、灯りを設置していないことに気付いて、降りるのは止めた。


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