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第13話 モンスター召喚

男は、初めて獲得したDPを嬉しそうに確認する。

男の年齢は別として、初任給のように、初めて自分で手にした収入は感慨深いものがある。


「え? たくさん増えている……」


DPを確認して驚いた。

依然確認したときは確かに底を尽きそうなほどしかなかった

しかし、現在は初期に近い状態になっている。


それもそのはず、先ほどのパーティーは冒険者の中でも上位クラスなのである。

あれほどの冒険者が、完成して間もないダンジョンに訪れた場合、瞬殺される運命が待ち受けている。

もし男の料理に不備があった場合、男の運命も同様な道を辿っていたであろう。




男は、念願していたモンスターを購入することにした。


男は必要としていたのだ。


力を!


運ぶために!!


作物を《農耕の間》から《保管の間》へ運ぶにふさわしいモンスターを探すことにした。

依然見たときに覚えていたモンスターであるゴーレムを思い浮かべる。


「力強さはありそうだけど、動きが遅そうだ」


一旦モンスターを探すのを止め、条件を挙げることにした。

そして、男は今まで自分が行っていたという事実に行き着いた。


最初の男のステータスを思い出してほしい。

力もなく、俊敏さもない凡夫であったことに。


つまり、モンスターに必要条件は二つである。

・作物を収穫できること

・階段を登れること


作物が収穫できることは、手あるいは手に近いものが必要である。

次に、階段を登れることとは、大きさが人間に近いものである必要がある。

モンスターが大きいと、階段の踏面や蹴上のサイズを変更する必要が出てきてしまう。

何種類もの階段を作ることは、効率が良いとは言えない。


それ以外の条件(例えば力強さなど)は、付加価値でしかない。


「意外に、必要な条件は少なかったな」


少し悲しくなった。

気を取り直して、それらの条件でモンスターメニューを探すと、該当するものは当然限られる。

その中で最適なモンスターを見つけた。


・モンスター《ドール》

土で構成された人型のモンスター。

能力は高くないが、マスターの指令を忠実に実行することができる。


「いでよ、ドール」


こんな掛け声はする必要はないが、ついつい口に出てしまった。

男は、ドールを五体召喚した。

これが、男のダンジョンに初めてモンスターが登場した瞬間であった。

実に二か月もの間、ダンジョンにモンスターがいないのは珍しいと言えよう。


「ドール、作物を収穫し、《保管の間》へ運べ」


指令を出すと、ドールたちは各々作物の収穫に向かっていった。

作物の収穫から解放された男は、新たな料理作りに励むことにした。


 *   *   *


一方その頃、あるダンジョン内で、ガンドロたちパーティーが食事をしていた。


「あのサンドイッチ、おいしかったわね」

「(こくこく)」

「言わないでほしいっす。この食事がまずく感じるっす」

「そう言うな。帰りに寄ると決めただろ。さっさと食べるぞ」


携帯食とサンドイッチを比較して、悲しみに暮れていた。

その話に加わらずに何か考え事をしていたナイルが発言した一言で、メンバーの雰囲気が変わる。


「なぁ、あのサンドイッチって、お持ち帰りできるんじゃねぇか」


それを聞いた残りのメンバーは一斉にナイルを見た。


「それだわ! 次に寄ったらお願いしてみようよ」


メンバーは全員一致で、その意見に賛成した。

そしてナーナだけは、ナイルに向けてサムズアップをしていた。


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