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西遊妖猿伝

諸星大二郎の漫画「西遊妖猿伝」では、孫悟空たちが、現代の日本人が使うような、英語由来の外来語を普通に話しています。

でも、全く違和感がありません。

 ファンタジーものの表現について、その2。

 諸星大二郎という漫画家がいて、すんごい好きなんだけど、彼の書いている「西遊妖猿伝」という大河漫画が、これまた、すんごい好きなんだよ。

 この漫画タイトル通り、西遊記をベースにしていて、虚構と古代中国の史実を織り交ぜながら話が進んでいく。

 ……で、古代中国を舞台にしているくせに、孫悟空はじめ登場人物たちが、現代の日本人がふつうに使っている今風の言葉をバンバン使う。英語由来の外来語とか。


 物語の枠組みとして、宋だか明だか分からんけど、もう少し時代が下って平和になった中国(と言っても、決して近代とか現代ではない)で、町の講釈師が講談している、その内容が「西遊妖猿伝」という言わばメタ構造になっていて、もちろん、この講釈師というのは作者、諸星大二郎の分身な訳だけど、ストーリーの節目、節目に「当時の中国やユーラシア大陸はどんなだったか」という世界史の豆知識を披露する。それが、また、現代用語丸出しで、中世中国の講釈師というよりは現代の学校の先生。


 古代中国の人間が、現代の日本人の若者のような言葉づかいをして、雰囲気が壊されているかと言うと、驚いたことに、物語世界に読者がのめり込むのに全く障害になっていない。それどころか良い感じに新鮮で、心地良くさえある。


 まあ、講釈師が語る昔話というメタな仕掛けが、読者に無意識に作用して、そういう言葉づかいに対し寛容にさせているのかもしれない。

 中世中国の講釈師が、時空を超えて、我々現代の日本人に語りかけている……という解釈も成立するから。

 その過程で、時空を超えた講釈師が、我々に分かりやすいように若者言葉も含めた現代の日本語に翻訳してくれているんだという解釈が、無意識に共有されているからなのかも。


 自分の書きたいファンタジーのスタイルも、どちらかというと、こっち。

 作者である自分が、ファンタジー世界にあった(架空の)出来事を現代日本語に「翻訳」して「小説家になろう」に投稿しているんだっていう解釈を、読者と無意識に共有できれば、「ドラゴンはミサイルのように飛んでいきました」的な表現も可能なはずだ。

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