日常4
私立菱美高等学校。生徒総数3000人強、学生の意見を第一とした、わりと自由な校風。そして市街地の中にもかかわらず広い敷地に充実した設備を持つ校舎で地元でもけっこう有名な学校。
それが俺達が通う菱美高校だ。
終「おはよー。」
桜「………。」
自分の教室に挨拶しながら入る。
桜は黙って俺の後ろに続く。
「おはよー」
「はよー。」
「おはー。」
クラスの奴等からちらほら挨拶が返ってくる。
俺のクラスは全体的に仲が良い。なのでいじめは皆無だしイベントなどでの団結力も強い。
桜は俺以外の奴等には基本的に冷たいと言うか興味ないのでこれが挨拶しないのがデフォルトの対応なのだ。
教室の窓際の一番後ろという一等地が俺の席、桜はその隣だ。
???「おっす、今日も夫婦で仲良く登校か。羨ましいねぇ~!」
席に座るとすぐさま前にいる男子に声をかけられる。
終「朝からうるせぇぞ、偉空。」
前の席に座る男子は愛武偉空。俺の幼馴染みにして腐れ縁の悪友だ。
偉空「うおぅ!?朝から機嫌悪っ!なんかあったの桜ちゃん?」
隣に座る桜に理由を聞くが……。
桜「話しかけ無いで、耳が腐るから。あと気安く名前呼ばないでね?次呼んだら殺します。」
桜は笑顔だが目が微塵も笑っていない、多分殺すと言ったらマジでやるぞ桜は。その証拠に桜の身体からは尋常じゃない殺気が滲み出ている。
偉空「恐っ!?てゆーか相変わらず俺の扱いひでぇ!?」
終「うるさいぞ変態。」
偉空「変態言うな!!」
偉空の名前をフルネームで言うと、愛武偉空。
これをちょっと卑猥な感じに読むと、愛撫→イクゥ~~!!となる為女子からは名前を呼ばれず変態のあだ名で呼ばれているのだ。
???1「朝から騒がしいな。」
???2「どうしたの終くん?」
騒ぎにつられてやって来た男女はこれまた俺の幼馴染みの二人、火ノ本 希羅と火ノ本 愛華だ。
朝の眠気も吹っ飛ぶぐらいの美少年と美少女(桜には負けるが)が寄って来て俺の周りは更に騒がしいことになった。
丁度良い、幼馴染みのコイツ等なら俺がフラグなんて立てない事をちゃんとわかってくれるだろう。
そう思って早速聞いてみる。
終「今朝の登校中に俺が平和だなって呟いただけでそれはフラグだ!だの近い内に必ず何かが起きるとか言われてさぁ~。そんな訳無いじゃん……ってなんだよその顔!?」
希羅も偉空も愛華さえも怪訝な表情を浮かべて、俺から距離を取っていた。
俺は疫病神かなにかかっ!?
偉空「お前それ………やっちまったな。」
終「まだ何も起きて無いだろうっ!?」
偉空「いや、絶対になんか起きるって。てか、もう何かが起きてんじゃねぇ?」
偉空がそう言うと皆、うんうんとうなずく。
希羅「どっかの異世界で、封じ込められてた強大な魔王が復活したとか?」
桜・愛華「「あぁ~~。」」
あぁ~~。じゃねぇよ!?なに納得してんだよ!?なんで俺の呟きが次元を超えて大変な事引き起こせる!?
偉空「何か起きる方に1000円賭けてもいいぜ!!」
と、偉空が豪語するので俺もその賭けに乗ってやる。
終「よし!ならお前何も起きなかったら死ねよ?」
偉空「なんでだよ!?レートが全然釣り合ってねぇよ!俺の命は1000円以下か!?」
桜「あ、それいいね!」
偉空「いいね!じゃねぇよ!」
偉空が立ち上がり桜に抗議するも…。
キーンコーン……。
終「おい、チャイム鳴ったぞ。席に座れよ。」
桜に詰め寄る前に朝のHRを告げる鐘がなってしまう。
偉空「ちぃっ!命拾いしたなっ!!」
終「お前がな!もし桜に指一本でも触れてみろ。この世のありとあらゆる苦痛を味わわせた上でお前の存在とお前の生きた証全て消し去ってやる。」
とか、わりとマジで言ってやる。
偉空「すんませんっ!!調子こきましたっ!!」
偉空は直ぐ様土下座に移行する、良く訓練されたいい動きだ。
コイツに土下座をさせたら右に出る者はいないな。