働かざる者食うべからず。by終
フェイ「…………。」
ぶちっ……ぶち……。
ここは浅義家の広い庭、その角っこでフェイは今黙々と草をむしっていた。
フェイ「…………。」
ぶち……ぶち…ぶち…ぶちぶちぶちっ!
フェイ「…何で私はこんなことしてるんでしょう?」
終「それはお前が居候だからだ、働かざる者食うべからずだ。」
縁側に腰かけながらフェイの仕事ぶりを見学していたが、どうやらフェイは肉体労働派では無いらしく開始そうそうに疲れたみたいだ。
フェイ「それはそうなんですが……ただでさえ置いて貰っているうえ、守ってくださっているので働くのは勿論異論は無いのですが。私は肉体労働より頭脳労働が得意なので…。」
終「なるほどつまり頭には自信があると?」
フェイ「これでも魔術統制局本部の研究者見習いでしたからね!」
フェイは得意気な顔をしながらそんなことを言う。
終「お前、本部に勤めてたのか!?」
魔術統制局の本部はあらゆる世界のエリートの中のエリートのみが入る事が出来る狭き門。
それは戦闘力にしろ学力にしろ同じで。魔術統制局の本部に入っていたという事は相当頭が良いという事だ。
フェイ「……まぁ、元ですけどね。」
終「なら、これに勝ったら草むしりはしなくていいぞ。」
といいつつ取り出したのは。
フェイ「オセロですか?」
そうオセロだ。
終「負けたら今日はずっと草むしってろよ?」
フェイ「いいでしょう!受けてたちます!」
俺は黒、フェイは白でゲームスタートした。
………
……
…
10分後…。
終「はい、俺の勝ち。」
フェイ「そ、そんな……!?」
ゲーム盤は黒一色で統一され、一つとして白は無かった。
フェイ「も、もう一回お願いします!こんなこと何かの間違いです!」
終「往生際悪いなぁ。」
仕方ない…もう一回だけやってやるか。
………
……
…
更に10分後…。
終「また俺の勝ち。」
フェイ「そ、そんな!?」
またもゲーム盤は黒一色。
正直言って話しにならない。
終「ほら、草むしりしろよ。」
フェイ「ま、まって下さい!?そうだチェス!!チェスなら終さんに負けませんから!!」
終「なら負けたら風呂掃除も追加な。」
フェイ「ふ、ふふ。私はチェスが得意何ですよ!!」
押入れからチェス盤を引っ張りだして来る。
終「ハンデは?」
駒を配置しながらフェイにそう聞いてみる。
フェイ「ハンデなんていりません!!むしろ必要なのは終さんの方では?」
うわぁ…わざと負けてやるつもりだったけどやめるわ。
コイツに身の程を教えてやろう。
………
……
…
20分後…。
終「チェックメイト。」
フェイ「待って下さいっ!?」
終「またかよ、もう三回目だぞ?」
ゲームは一方的な展開で俺の駒がフェイのキングを追い詰めている。
チェスでもやっぱり相手にならない。
フェイ「お願いします!?もう一度だけ!!」
終「それさっきも聞いたぞ?」
やれやれ、本当に往生際が悪いな。
フェイ「あうぅぅぅぅぅぅ!!このままじゃあ私の立つ瀬が無いです!」
終「ほら、遊びは終わりだ。」
さっさとゲーム盤を片付け始めたところでフェイが腕にしがみついてきた。
フェイ「将棋!!将棋なら…!」
終「まだやるのかよ……。」
フェイ「これが最後です!負けたらなんでもしますから!」
ん?今なんでもするって言ったよね?
マジかッ!?
あんなこともこんなこともヤッていいのか!?
終「し、仕方ないなぁ~。あまり乗り気じゃあ無いけどそこまで頼まれたらなぁー。」
口ではそんなことを言いつつもやる気マンマン!
あまり出さない本気を今ここでだそう!
………
……
…
桜「それでフェイちゃんがあんな格好してるんですね。」
終「うん!」
桜にさっきまでの経緯を話すと納得したようだった。
フェイとの将棋勝負は俺がフェイをフルボッコにして勝利した。
なので!!
約束通り!!
俺の言うことを聞いてもらうことにした!!
フェイ「うぅ~~~グスン!!」
フェイはまだ庭の草むしりをしている。
それは変わらない。
だが!!着ている服は先程までとは違う!!
今のフェイの格好はウサ耳もしっかり着けたバニーガールの衣装だ!
フェイ「何でバニーガールの格好で草むしりしなきゃいけないんですか!?」
フェイが涙目になりながらも抗議してくる。
終「そりゃお前が勝負に負けたからだろう?」
フェイ「こんな格好で草むしりだなんて近所の人にでも見られたら末代までの恥じですっ!!」
終「大丈夫!大丈夫!可愛いから何も問題無い!」
パシャッ!ピロリロリン♪
フェイ「写メ撮らないで下さい!?」