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帰宅



………


……



終「これで良し!」


フェイ「あ、ありがとうございます。」


フェイの傷を治療魔術で治す、だいたいの傷は治す事が出来たが消耗した体力とかは戻らないからあくまで応急措置だが。


ひとまず俺の家に連れて帰るか。


終「ほれ、乗れよ。」


フェイの前にしゃがんで背中におぶさるように促す。


フェイ「えっと……お邪魔します。」


一瞬迷ったが、やっぱり身体が辛いのか大人しく背中におぶさる。


背中に感じる膨らみは……少々期待外れだった。


暫く歩きつづけ住宅地を抜け、町の端っこ辺りまで来た。


フェイ「あの…どこに向かってるんですか?」


終「ん?ラブホ。」


フェイ「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?わ、私まだ…心の準備が!?」


終「いや……冗談だよ?」


そうこうしている内に町外れに位置する我が家が見えてくる。



終「ほら、あれが俺の家。」


和風な外観の大きな家で土地も広い、庭には池もあるしそこそこ大きい蔵まである。


フェイ「立派なお家ですね。」


終「元々は俺の爺さんの家だったんだ、潰れた民宿を買い取って改築したらしい。」


フェイ「そうなんですか~。」


フェイをおんぶしたまま玄関をくぐる。


終「ただいま~。あ~重かった。」


フェイ「失礼ですね!?」


すると、奥の方からパタパタと足音が聞こえてくる。


みこと「おかえりなさ……。」


玉藻「させるかぁっ!!」


シュッ!


みことが居間の方から顔を見せた途端、玉藻がみことに鋭いパンチを繰り出す。


パシッ!


だがみことはあっさり玉藻のパンチを手の平で受け止める。


みこと「もう!何するのよ!」


玉藻「終さんを出迎えるのはこの玉藻の役目!!雑魚は退いてればいいのです!」


ギャーギャーと二人が喚いている内に、その横を悠々と通り越して天照が出迎えてくれる。


天照「おかえりなさいませ…あら?お客様ですか?」



終「いや、そこで拾ってきてな。」


ひょいっとフェイの首根っこを掴んで天照に見せた。


フェイ「犬や猫みたいな扱いしないで下さい!」



みこと「もう!終くん駄目だよ?ペットならもう玉藻がいるんだからね!!」


玉藻「ごろにゃん♪…って誰がペットじゃあ!!」


軽快なボケとノリツッコミを見せるみことと玉藻。


なんだ、仲良いじゃないか。


終「ほら!コントはそこまでだ。天照、コイツ怪我してるから傷の手当てをしてくれ。みことは客間に布団敷いて来て。玉藻は身体を拭くタオルとお湯持ってこい。」


天照・みこと・玉藻「「「はい。」」」


三人は俺の指示を受けて、さっきまでのふざけた空気は無くなりてきぱきと動き出す。


フェイ「何から何までご迷惑を…。」


終「気にするな、今は休め。」


フェイ「はい、ありがとうございます。」


………


……



それから、居間に家族全員を集めて浅義家緊急会議が開かれた。


終「ということがあってだな!!」


俺はさっき公園で起こったありのままをみんなに話す。これからどうするか決めないとな……。


話しを聞いた玉藻がおもむろに口を開く。


玉藻「つまり……今日の夕飯の材料を失ったという訳ですね!」


天照「それは一大事ですね!お夕飯どうしましょう?」


みこと「今日の議題は『夕飯どうする?』ってことで話し合うの?」


フィア「冷蔵庫の中は空だけどもう夜8時過ぎてるし、今から買い出しに行くのもね……。」


奏「いっそのこと今日は豪勢にお寿司でも出前して貰えばいいんじゃないですか?お客さんも来ていることですし。」


桜「えっ!?終くん、今日の夕飯はお寿司ってことでいいの?」


終「そうだな!ここは一つ豪勢に……って違うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



なんで今日は寿司を取るって事になった!!


終「今話し合うのは夕飯の事じゃねぇ!フェイの事だ!」


桜「え?それはもう話し合うまでも無く助けるって事でいいんじゃないですか?」


皆は当たり前のような顔をしてうなずく。


終「…いいのか?」


天照「どうせ、終さんは私達が反対したところで助けるつもりなんでしょう?」


玉藻「ですね。というかフラグ回収早すぎでしょう!やっぱり何かしら起きましたよ!」


みこと「終くん、私に出来る事があったらなんでも言ってね?」


フィア「私も終の為なら!」


奏「えっと…大したことはできませんけど、出来る範囲でお手伝いしますよ。兄さん。」


終「みんな…。」


やべ…みんないい娘過ぎ!感動でちょっと涙腺がうるっときた。


終「良しっ!そうと決まれば今日は寿司だな!贅沢して特上寿司だ!」


玉藻「イヤッホゥ~~!さっすが終さん!」



………


……



終「という訳で、今日の夕飯はお寿司です!フェイの奢りで!」


フェイ「……どういう訳ですか!?まるで意味がわかりません!私の奢りというところが!!」


フェイを交えての今後の話し合いをする、宣言通りお寿司の出前を頼んだ!というところまで話した。



終「つまり。今後は俺達がお前の身の安全と生活を保証し、なおかつ抱えている問題も全て解決してやる!という事だ。」


フェイ「お寿司を出前するだけで破格の待遇!?でも…あなた方を危険に巻き込むのは…。」


終「別に大した危険では無いさ、俺は…俺達は何でも屋をやっていてな…腕っぷしには多少自信があるんだ。」


最初はなし崩し的に始めた何でも屋だったが今ではけっこう依頼が来る。


依頼内容は猫探しから草むしり、果ては武装テロリストの殲滅まで。




フェイ「何でも屋…ですか?」


終「俺達に任せてみないか?」


フェイ「どうして……どうして出会って間もない私の為にそこまで助けてくれるんですか?」


どうして…か。


詳しい事情はまだわからない。けどフェイ一人で何とか出来る問題では無いのは明らかだ。


俺はフェイを助けたい。それはフェイが可愛いからとか偽善でも無い、ましてや依頼料とか見返りも求めるつもりもない。


ただそれは俺にとって当たり前の事だからだ。


終「人を助けるのに理由がいるのか?」


フェイ「へ……?」


それを聞いたフェイがポカンと間抜けな顔をする。


玉藻「ひゅ~~。終さんカッコイィ~ッ!!」


終「うるせぇ!?」


玉藻が余計な茶々をいれて冷やかしてくる。



フェイ「そんなことで?」


終「まぁな、見捨てるのも後味悪いし。」


他人からみればバカバカしい動機かもしれない、偽善だと蔑まされるかもしれない。


だが俺はこの信念とも言える考えを決して変えない。


俺が俺である為にも。


フェイ「…ありがとう…ございます。」



フェイが改めて深々と頭を下げてきた。


終「別に、俺がやりたいからやるだけだし……。」


何だか照れくさくなり、視線を反らしながらそんなことを言う。


玉藻「んもぅ!終さんは本当に良く訓練されたツンデレですね!」


終「お前の特上寿司は無しな?」


にこやかに笑いながら、寿司屋に一人前取り消しの電話を入れようとする。


玉藻「すみませんっっっっっ!?」


直ぐ様土下座で謝ってくる、お前の方こそ良く訓練されたいい土下座だ。



終「まったく…。」


ドゲシッ!


土下座の態勢の玉藻の頭を踏みつける。


玉藻「オウフッ!?ありがとうございますっ!!」


玉藻はドMなのでこの程度ではご褒美にしかならない。


フェイ「あ…あはは。」


その光景にフェイはドン引きしていた。


こうして、我が家に新しくフェイが居候することになった。



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