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戦闘


フェイ「わ、私は何も悪い事なんてしていません!」


ルーシェ「そうかしら?じゃああなたが魔術統制局本部から持ち出したソレは何なのかしらね?」


ルーシェがフェイの胸元を指差しながら言う。


涙目のフェイが胸元にかかっているペンダントをギュッと握りしめる。


ルーシェ「ソレはSS級の封印指定魔導具よ、それを勝手に持ち出しておいて何も悪い事してないなんてよく言えるわね。」


フェイ「違う!これはお父さんの研究成果です!それをあなた達魔術統制局は自分達の利益になるからお父さんを捕まえて無理矢理奪ったんじゃないですか!」


ルーシェ「それは違うわ、あなたのお父さんの研究は危険な物だっただから我々はそれを阻止する為あなたのお父さんを逮捕し、研究していた物を押収しただけ。」


フェイ「お父さんはいつも私に言ってました!この研究が完成すれば世界中の人達が幸せになると!お父さんの研究は危険な物なんかじゃありません!」




ここまで何が何だか良くわからんが一つだけわかった事がある………俺には一切関係無いな!


帰っていい?


クレイ「ごちゃごちゃうるせぇ!犯罪者が!」


クレイが何も無い空間から大剣を取り出して地面に突き立てる。



クレイ「てめぇらみたいな人間のクズが平和を乱すんだよ!口では綺麗事ばかりペラペラ喋っておいて裏ではヘドが出る程汚い事を平気でしてやがる!俺はそういう奴等を嫌気がさす程見て来た!」


クレイが大剣を地面から正面に抜き構えた。


あの野郎!?


俺はクレイがこれから行うであろう事が予想でき、フェイを急いで抱き寄せる。


フェイ「ふぇ!?」


クレイ「お前らクズに言葉はいらねぇ!!おとなしくブッ飛ばされろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


クレイが大剣を縦一閃に切り下ろす、すると大剣から一直線に炎が生まれこっちに向かって来る。


当たれば人間の一人くらいなら消し炭になるぐらいの威力は秘めていそうだ。


終(あいつ!マジでやりやがった!)


だが、それは予想済み。


俺はフェイを抱えて素早くその場から飛び退いた。


避けた後、その場に残された俺の買い物袋が一瞬の内に燃えてしまった。


しまった!俺の…俺達の夕飯の材料がぁぁぁぁ!?


今日はちょっと奮発していいお肉買ってたのに!


ルーシェ「ちょっと!?一般人もいるでしょうがっ!?」


クレイ「あぁん!当たってねぇなら問題無いだろうが!」


俺は少し離れた所に着地し、フェイを下ろす。


終「おい!お前ら魔術統制局だろう!町中の…それもこんな住宅地で魔術なんか使って、周りに被害が出たらどうするつもりだ!」


てゆーかさっきの攻撃、避けなきゃ俺も確実当たってたぞ!?


クレイ「ハッ!悪かったな、そのクズと一緒にいるからお前も仲間かと思ったぜ。けど仕方ねぇじゃねぇか、お前ら一般人を守る為だ。多少の犠牲でガタガタぬかすな!」


…なんだと?


ルーシェ「こらクレイ!なんてこと言うのよ!?申し訳ありません、お怪我はありませんか?」


終「いや…無いけど。」


落ち着け……事を荒立てるな。



別に今の俺には関係無い、おとなしくフェイを引き渡して買い物袋の代金を弁償させよう。


それでいいじゃないか…。


そう必死に自分にいい聞かせて心を落ち着かせる。


ルーシェが俺達に歩み寄ってくる、フェイは逃げようとするが身体に力が入ら無いのか直ぐに地面に倒れてしまう。


ルーシェは倒れているフェイに拘束魔術を発動した、フェイの手足に氷で出来た鎖が絡みつき自由奪う。


フェイ「あう!?」


ルーシェ「おとなしくしてなさい。」


ルーシェはそのままフェイを連れて行こうとするが、俺はフェイの前に立ちふさがる。


終「夕飯の材料…弁償してくれるんだろうな?」


ルーシェ「ええ、勿論。まことに申し訳ありませんでした、なんなら迷惑料としていくらか……。」


終「いや…それはいい。」


ルーシェ「そうですか…。では謝罪と賠償は後日改めてさせていただきます。」


そう言うとルーシェは倒れていたフェイに向き直り、そして……。


ガスッ!


倒れて動けないフェイの腹部に蹴りを入れた。


フェイ「がはっ!?げほっ…げほっ…!」


だがルーシェは痛みに苦しみもがくフェイに更にもう一度蹴りを同じ場所に入れる。


ルーシェ「散々手間取らせてくれたわね、貴女みたいな犯罪者が私の手を煩わせるなんて…許しがたいわ。」


その後もルーシェはフェイを蹴り飛ばす、まるで人ではなくだだの物の様に。


クレイはその様子をまるで面白いショーを見るかのように黙って見つめているだけでまるで止める素振りは見せない。



……これが今の魔術統制局か。


ルーシェ「さてと。」


ひとしきり蹴り終えたルーシェはガッ!!っとフェイの頭を右足で勢いよく踏み着ける。


フェイ「あぐぅ!?」


ルーシェ「このまま本部まで連行して私達の仕事はお仕舞い、はぁ~~疲れた。」


いつの間にか俺は手に力が入っていたようで手の平から地面に血が流れていた。


面倒は起こすな、今の生活が崩れてしまう。



これでいいんだ。


あの娘は犯罪者で罪を償わなくちゃいけないし、あいつ等のやっていることは間違っていない。


自分に何度もそう言い聞かせる。


けど…本当にこれでいいのか?


そんな事も思ってしまう。


今まさに連れて行かれそうなフェイに目が行く。


申し訳ない気持でいっぱいで胸が張り裂けそうになる。


フェイもきっとこんな俺を恨むかな?どうして助けてくれないとか臆病者とか…そう言われても仕方ないな。


それだけ今の俺は無様だ。


けれど、フェイは俺と目が合うと笑った。


ルーシェに踏まれながらボロボロの顔で笑って見せた。


心配ない、自分は大丈夫だからと……恨みとか憎しみとかそんな事を思っていない心から暖かい笑顔だった。



ああ……今まで何をしていたんだ俺は。


その笑顔を見た途端いろいろと吹っ切れた。


俺はこの2年の間にすっかり平和ボケした上に……最低な奴に成り下がってしまっていたようだな。


さっきまでの俺をぶん殴ってやりてぇ!てか、殴ろう。うんそうしよう!


ドゴンッ!!


俺は右の拳を思いっきり!全力で!手加減無しで自分の顔を殴った。


ルーシェ「は?」


クレイ「あ?」


それを見ていたルーシェとクレイが怪訝な声を上げる。


だが、どうでもいい程清々しい気分だ!!


終「ハッ…ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」


何だか可笑しくて笑いだしてしまう。俺は一体何を迷っていたんだろう?答えは考えるのもバカバカしい程単純だろう?


ルーシェ「…ちょっとクレイ、この人おかしい。いきなり自分で自分を殴って急に笑いだしたわ。」



クレイ「ああ、頭イカれてんじゃねぇか?」


終「ハハハハ……ふぅ……あ~~、スッキリした。」


俺はひとしきり笑った後、ルーシェに一瞬で肉薄する。


さて、まずは目の前の女の子を助けよう。


ルーシェ「ッ!?」


ルーシェが俺の行動……というより速さに驚いた顔をしている。


ははっ!遅い遅い!


終「まずはその汚い足を退けろっ!!」


俺はスピードに乗った拳をルーシェの顔面に思いっきり叩き込む、ドゴッ!という音が右手を通して伝わ拳の威力を物語る。


俺は女だろうが子供だろうが殴るのを躊躇したりしない!!


ルーシェ「グハッ!?」


クレイ「ルーシェッ!?」


ルーシェは吹っ飛び、10メートル以上地面を転がりながらようやく止まる。


終「おい、フェイとか言ったな?大丈夫か?」


フェイ「あ、あなた…何を…ゴホッゴホ!?」


喋るのも苦しいのか咳き込んでしまう。


それに顔を踏まれた時にいくつか傷が出来てしまった……これは俺の責任だな。


終「ちょっと休んでろ、すぐ終わらせるから。」


俺はフェイを拘束していた氷の鎖をあっさり引きちぎると、フェイを抱き抱えてベンチに寝かせる。


フェイ「逃げて下さい……あの人達は魔術統制局の…A級局員です…戦闘力は一流……勝てる訳がありません!私の事は気にしないで…。」


終「こんなボロボロになっても他人の心配か、優しいなお前。」


俺は今の生活を失いたく無いが為にお前を見捨てようとしたのに……。


思わずフェイの頭を撫でてしまう。


フェイ「えっと……私の話し、聞いてました?」


終「聞いてた聞いてた……。」


クレイ「てめぇ!!舐めた真似してくれたじゃねぇかっっ!!」


クレイが激昂し、後ろから大剣を振りかぶっていた。



フェイ「危ないっ!?」


クレイ「オラァァァァァァァ!!」


大剣が俺の頭目掛けて真っ直ぐ縦に降り下ろされた。


けど俺は、振り向きもせず迫り来る大剣を左手の人差し指と中指で挟んで受け止める。


クレイ「なっ!?」


終「まぁ、要するに……。」


クレイ(剣がピクリとも動かねぇ!?)


終「…雑魚って事だろ?」


俺は振り向きもせずクレイの腹に肘鉄を入れた。


ドゴンッ!!


凄まじい衝撃が伝わりクレイを遥か後方に吹き飛ばす。


クレイ「ガッ…ハ!?」


一撃で気絶したか、やっぱり雑魚だな。


フェイ「魔術統制局のA級局員が一撃で!?あ…あなたは一体?」


終「ん?そう言えば自己紹介がまだだったな。俺は浅義終、菱美高校二年A組所属のただの学生さ!」



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