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第七話:始まりの街で

俺が受付カウンターへ向かうと、担当の女性職員さんが驚いた顔でこちらを見ていた。まあ、無理もないだろう。ついさっきまでパーティー追放のいざこざの中心にいたのだから。


「ご無事で何よりです、アルクさん。……して、ご用件は?」

「ああ。まず、こいつの買い取りを頼む」


俺はそう言って、【アイテムボックス】から重々しいミノタウロスの角と、鈍い輝きを放つ魔石を取り出し、カウンターの上に置いた。


その瞬間、職員さんの目が大きく見開かれる。周りで俺を遠巻きに見ていた冒険者たちからも、どよめきが起こった。


「こ、これは……ミノタウロスの素材……!?」

「まさか、こいつが一人で……?」

「馬鹿言え! 『赤き剣』からのおこぼれに決まってる!」


周りの雑音は無視する。職員さんはプロらしく、すぐに鑑定用の魔道具を取り出して素材の検分を始めた。


「……間違いありません。状態も極上です。アルクさん、あなたが討伐されたのですか?」

「ああ。そうだ」


俺が短く肯定すると、ギルド内が再びざわついた。職員さんは何かを察したのか、それ以上は聞かず、買い取り金額を提示してくれた。それは、俺が「赤き剣」にいた一年間で手にした報酬の、数倍にもなる額だった。


初めて自分の力だけで稼いだ大金。ずしりと重い革袋を受け取り、俺はもう一つの用件を告げた。


「それと、パーティー登録の変更を。今日から、ソロで活動する」


「……承知いたしました。ですが、アルクさんのスキルは【アイテムボックス】……支援系のスキルでソロ活動は、かなり厳しい道のりになりますが……よろしいのですか?」


職員さんの心配はもっともだ。俺は黙って頷いた。

周囲からは、案の定、嘲笑が漏れ聞こえてくる。


「ポーターがソロだってよ」

「何する気だ? モンスターに荷物でもぶつけるのか?」


その言葉に、俺は内心で(半分当たりだ)と毒づいた。

だが、彼らの言う通り、今のままでは限界があることも事実だった。


ミノタウロスとの戦いを思い返す。あの時は、そこらにある石や手持ちの雑多なアイテムで何とかなった。だが、それは幸運が重なっただけだ。もっと硬い敵、素早い敵を相手にするには、威力も、精度も、そして「弾」そのものの質も、圧倒的に足りていない。


安定して、効率よく、最大の威力を引き出すための、専用の「弾丸」。

それが必要不可欠だった。


(金属製で、できるだけ硬く、鋭いものがいい……)


答えは一つしかない。


大金が入った革袋を強く握りしめる。俺は嘲笑を浴びせる冒険者たちに一瞥もくれず、ギルドを後にした。

向かう先は決まっている。


この街で最高の武具を、最高の素材を、最高の「弾丸」を作り出せる場所。

――職人たちが集う、鍛冶区画だ。

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