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第六十四話:決戦の舞台

王立大闘技場コロッセオは、凄まじい熱気に包まれていていた。

貴族も、平民も、この歴史的な一戦を見届けようと、円形の観客席を埋め尽くしている。国王陛下が臨席するロイヤルボックスには、王家の旗がはためき、その周りを王国騎士団が固めていた。

これほどの大観衆の前に立つのは、初めての経験だった。


俺たちは、闘技場の地下にある控室で、その時を待っていた。

石造りの簡素な部屋に、外の喧騒が、地響きのように伝わってくる。


「……すごい人……。でも、不思議と、怖くはありません」

リリアが、静かに言った。その瞳には、かつての怯えはなく、ただ強い光が宿っている。


「フン、派手な舞台を用意してくれたじゃねえか。連中の泣きっ面を、特等席で見せてやる」

バルガンが、壁に立てかけていた巨大なハンマーを肩に担ぎ、獰猛に笑う。今回の模擬戦では、彼は戦闘には参加せず、俺のセコンドとして、場外から戦況を分析する役目を担っていた。


俺は、二人の頼もしい仲間の顔を見渡し、静かに頷いた。

「作戦通りにやれば、勝てる。俺たちを信じろ」


やがて、運命を告げるファンファーレが鳴り響く。

俺たちは、控室の扉を開け、光が満ちる闘技場へと続く、長い通路を歩き始めた。


『――諸君、長らく待たせた! これより、王立魔法学園が誇る、選りすぐりのエリートたち! 特級魔術師部隊の入場だ!』


アナウンスと共に、対面のゲートから、三人の魔術師が入場する。

先頭に立つのは、あの憎たらしい学部長。その両脇を、いかにも実力者といった風情の男女が固めている。彼らが姿を現すと、観客席から割れんばかりの拍手と歓声が巻き起こった。


『そして! 対するは、王都を二度も救った、新たなる英雄! 鋼を砕き、神速を地に落とす、奇跡の冒険者パーティー! ――『ブレイカーズ』!!』


俺とリリアが、闘技場の中央へと足を踏み出す。

観客席の反応は、様々だった。熱狂的な歓声を送る者、興味深そうにこちらを見る者、そして、貴族席からは、侮蔑のこもった視線も感じる。


俺たちは、闘技場の中央で、学部長たちと向かい合った。

学部長は、余裕綽々の笑みを浮かべて、俺たちを見下している。


「野蛮人諸君。王の御前で、本物の魔法というものを学ぶがいい」


その言葉を合図にしたかのように、審判が、高らかに試合のルールを告げる。

「――戦闘不能、または降参をもって勝敗を決す! 致命的な攻撃は禁ずる! それでは、両者、構え!」


闘技場全体が、巨大な半透明の魔力結界で覆われる。

学部長の前に、結界専門の魔術師が立ち、防御魔法の詠唱を開始した。


カンッ、カンッ、カンッ……!


そして、運命を告げる、開始のゴングが鳴り響いた。

俺たちの、全てを賭けた戦いが、今、始まる。

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