第六十一話:王都からの挑戦状
魔法学園との対決を決意してから、一月が過ぎた。
俺たち『ブレイカーズ』は、自分たちの力を世界に示すため、Bランクの中でも特に高難易度とされる依頼を、次々と達成していった。俺たちの名は、もはや単なる噂ではなく、確かな実力と実績を伴う伝説として、王都に轟き始めていた。
その日、俺は工房の作戦ボードに、新たな依頼書を貼りだした。
「――次の獲物だ。北の霊峰に出現した、ドラゴンゾンビ」
Sランク級の脅威。その名に、バルガンとリリアが獰猛な笑みを浮かべる。
「ドラゴンゾンビか。アンデッドなら、嬢ちゃんの浄化魔法の独壇場だな」
バルガンが言うと、リリアが自信に満ちた声で応えた。
「はい! バルガンさんが開発した、敵の内部で炸裂する『破裂杭』。あれにわたしの聖なる力を最大限に込めて、骨の内側から浄化の光を叩き込みます。きっと、木っ端微塵にできます!」
鍛冶師と付与魔術師の、完璧な連携。
俺は、二人の頼もしい仲間の言葉に頷くと、射出のためのイメージトレーニングを開始した。
俺たちの戦いは、もはや手探りではない。
敵の特性を分析し、三人の力を最も効率よく、そして最も破壊的な形で組み合わせる。その戦術立案こそが、ブレイカーズの真の強みとなりつつあった。
準備は整った。
さあ、出発だ――と、俺が腰を上げた、まさにその時だった。
工房の扉が、これまで聞いたこともないほど乱暴に叩かれた。
入ってきたのは、血相を変えたギルドの職員だった。
「ブレイカーズ! ギルドマスターからの緊急召集です! 今すぐ、ギルドまで!」
ただならぬ雰囲気を察し、俺たちはすぐさまギルドへと向かった。
執務室に駆けつけた俺たちに、ギルドマスターは、これまでにないほど険しい顔で、一枚の羊皮紙を差し出す。
そこには、王家の紋章が厳かに押されていた。
「――王立魔法学園と、冒険者ギルドの合同による、『特別大演習』の開催が決定した」
ギルドマスターは、静かに、しかし重々しく告げた。
「そして、その演習の目玉として、君たち『ブレイカーズ』と、学園最強と謳われる特級魔術師部隊との、『模擬戦闘』が、国王陛下の御前で行われることになった」
それは、もはや裏からの圧力などという、生ぬるいものではなかった。
国家と、国王そのものを巻き込んだ、公式な、俺たちを潰すための舞台が、用意されたのだ。




