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第四十七話:最初の手がかり

王国の闇を暴く、という壮大な特命。

しかし、いざ調査を始めようにも、敵は影に隠れ、手がかりはあまりにも少なかった。俺たちは工房に集まり、まずは作戦を練ることにした。


「これだけの大仕事だ。裏で糸を引いてる黒幕には、二つのものが必要だろうな」

バルガンが、腕を組みながら切り出した。

「『金』と、『力』だ。『金』を出す大物がいて、その指示で騎士を始末する『力』を持つ実行役がいる」


「その『力』が、何なのか……」とリリアが続く。「騎士団の精鋭が、事故や病気に見せかけて殺される。あるいは、任務中に忽然と姿を消す。それは、普通の暗殺者の手口ではありません。もっと、強力で、特殊な何かが関わっているはずです」


金と、力。そして、特殊な暗殺手段。

俺たちの頭に、一つの疑問が浮かんだ。


「……あの騎士は、なぜ地下水路にいたんだ?」


彼が追っていた敵が、そこにいたのか。あるいは、別の場所で殺され、証拠隠滅のために、腐食スライムが巣食うあの場所に遺棄されたのか。

俺たちが持つ、唯一の、そして最初の現場。俺たちは、もう一度あの場所を調べることに決めた。


前回は討伐が目的だったが、今回は調査だ。

俺とリリア、そして「目利き役」としてバルガンも加わり、三人で王都の地下水路へと向かった。


スライムの残骸が僅かに残る、あの広間。

俺たちが隅々まで見渡していると、リリアが何かに気づき、壁の一点にそっと手を触れた。


「……微かですが、魔力の残滓があります。でも、人の魔力じゃない……とても冷たくて、人工的な……まるで、魔道具が動いた跡のような……」


リリアが指し示したのは、騎士の亡骸があった場所から少し離れた、何でもない壁だった。

今度は、バルガンがその壁を丹念に調べ始める。彼は指で壁の石材をなぞり、目地を確かめ、やがてコンコン、と壁を叩いた。


「……なるほどな。ここの石材だけ、新しい。巧妙に隠してあるが、隠し通路だ。最近、開け閉めされた形跡がある」


そして、バルガンは目地の隙間に、極小のピンセットを差し込み、何かを慎重につまみ出した。

それは、米粒ほどの大きさの、黒い金属片だった。


「……おい、アルク。こいつに見覚えはねえか?」


バルガンが手のひらに乗せたそれを見て、俺は息を呑んだ。

間違いない。

俺たちがグレンデル採石場で戦った、あの鋼鉄ゴーレムの装甲に使われていた魔法金属と、全く同じものだった。


その瞬間、バラバラだった点と点が、一本の線で繋がった。

騎士を殺害した、見えざる敵の『力』。

それは、人間じゃない。


「――ゴーレム……」


俺の呟きに、バルガンとリリアも、険しい顔で頷いた。

敵は、高度なゴーレムを使い、この地下水路を秘密の通路として、王都の闇に紛れて暗殺を繰り返している。


俺たちの最初の獲物が、鋼鉄ゴーレムだったのは、偶然ではなかったのかもしれない。

この事件を解決できるのは、ゴーレムの装甲を唯一打ち破る力を持つ、俺たち『ブレイカーズ』だけだ。

俺は、自分たちの背負う宿命の重さを感じながら、静かに拳を握りしめた。

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