表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/109

第三十三話:新たなる脅威の影

俺たちの日常は、劇的に変わった。

朝は、俺とリリアで街の市場へ買い出しに行き、昼はバルガンの新しい工房で、それぞれの鍛錬と研究に打ち込む。


バルガンは、早速新しい弾丸の開発に取り掛かっていた。

これまでの一撃必殺の『ブレイカー・ボルト』とは別に、俺のスキルで連射することを想定した、より小型で軽量な『ブレイカー・ニードル』。そして、広範囲の敵を制圧するための散弾『ブレイカー・クラスター』。彼の創造力は、最高の環境を得て、まさに爆発していた。


リリアは、庵から持ってきた魔法書と、ギルドの資料室から借りてきた文献を読み解き、新たな付与魔法の理論構築に没頭している。その瞳は、もはや怯えた小動物のものではなく、真理を探求する学者のように、知的な輝きを放っていた。


そして俺は、ひたすらに射出訓練を繰り返した。

これまでは、ただ全力で撃つことしか考えていなかった。だが、これからは違う。高速で動く的を正確に狙う精密射撃。複数の弾丸を、時間差で別々の場所に撃ち込む曲芸撃ち。スキルの応用範囲は、俺の想像力次第で無限に広がる。


そんな、充実した日々が続いていたある日のこと。

俺はBランクになったことで閲覧が許可された、高難易度の依頼掲示板を眺めていた。そこに、一枚の奇妙な依頼書があるのを見つける。


**『調査依頼:黒風谷に出現する怪鳥』**

**『依頼主:子爵領代官』**

**『詳細:三日前より、領地内の黒風谷に巨大な怪鳥が出現。谷を越えようとした商隊が襲われ、多大な被害が出ている。対象は異常に素早く、騎士団の弓では捉えきれないため、腕利きの冒険者に調査と、可能であれば討伐を依頼する』**


異常に、素早い敵。

これまでの敵とは、明らかにタイプが違う。

俺たちの新しい力が、そして俺の精密射撃が試される相手として、これ以上ないように思えた。


「――面白そうじゃないか」


俺はその依頼書を手に、工房へと戻った。

俺から依頼内容を聞いたバルガンとリリアも、明らかに興味を惹かれたようだった。


「ほう、空飛ぶやかましい的か。連射性能を試すには、もってこいだな」とバルガンが笑う。

「……速い相手なら、わたしの新しい魔法が役に立つかもしれません。『重圧の呪い(グラビティ・カース)』です。対象の動きを、重力で少しだけ鈍らせることができます」とリリアが提案した。


対・高速タイプの敵。

俺たちの戦術に、新たな一ページが加わる。

俺たちはすぐさま準備に取り掛かった。バルガンは、完成したばかりの試作品『ブレイカー・ニードル』を数十本、俺の【アイテムボックス】に格納する。リリアは、そのうちの数本に、念入りに『重圧の呪い』を付与してくれた。


準備は整った。

翌朝、俺とリリアは、新たな戦場となる黒風谷へと向かった。

鋼鉄ゴーレムとの戦いを経て、自信と信頼を深めた俺たちの顔に、もはや不安の色はなかった。

あるのは、未知なる強敵と戦えることへの、純粋な高揚感だけだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ