第二十一話:ブレイカーズの初陣
パーティー「ブレイカーズ」を結成した翌日、俺は早速、次の依頼を探しに冒険者ギルドへ向かった。
以前とは違い、俺の周りから嘲笑は消え、好奇と、そして何者かを探るような視線が注がれるのを感じる。俺はそれを意に介さず、掲示板へと向かった。
今の俺たちに必要なのは、物理と魔法、両方の力が試される依頼。
そして、まさしくうってつけの依頼書がそこにあった。
**『討伐依頼:街の北にある古い墓所の食屍鬼』**
**『注意:アンデッドのため、通常の斬撃・刺突は効果が薄い。神聖魔法、あるいは火炎魔法が有効』**
これだ。
俺は依頼書を手に、工房へと急いだ。
「なるほど、アンデッドか。俺の鉄杭だけじゃ分が悪そうだな」
依頼内容を聞いたバルガンが、満足げに髭を捻る。
「……アンデッドなら、わたしの魔法が役に立ちます。得意なのは、浄化の炎です」
リリアが、少しだけ自信のついた声で言った。彼女の強力な魔法を、バルガン渾身の『ブレイカー・ボルト』に込める。俺たちの力が試される、最高の舞台だった。
リリアはバルガンが用意した新たなボルトを前に、静かに祈りを捧げる。
彼女の体から溢れ出たのは、以前の雷とは全く違う、温かく、そして清らかな黄金色の魔力だった。
「――聖なる焔よ、不浄を焼き払う光となりて、我が矢に宿れ」
完成した『浄化の炎弾』は、それ自体が小さな太陽のように、神々しい光を放っていた。
準備を整えた俺たち三人は、初めてパーティーとして街の外へ出た。
バルガンは「工房を長期間空けるわけにはいかん」と言って街に残るため、今回は俺とリリアの二人での初陣となる。
「……少し、緊張します」
「大丈夫だ。俺がいる」
俺の言葉に、リリアはこくりと頷いた。
北の墓所は、不気味な静寂に包まれていた。傾いた墓石、絡みつく枯れた蔦。ひんやりとした空気が、死の気配を運んでくる。
墓所の奥にある地下聖堂の扉を開けると、むわりとした腐臭と共に、複数の呻き声が聞こえてきた。
暗闇の中、青白い光を放つ目がこちらを向く。食屍鬼の群れだ。数は五体。
そのうちの一体が、人間離れした俊敏さでこちらに襲いかかってきた。
俺は冷静に、アイテムボックスから『ホーリーフレイム・ボルト』を意識の中に呼び出す。
そして、迫りくるグールの眉間に照準を合わせ――射出した。
黄金の閃光が、闇を切り裂く。
次の瞬間、物理的な破壊音は響かなかった。
ボルトが命中したグールは、まるで自らが燃料であるかのように、内側から激しい黄金の炎を噴き上げたのだ。
「グギャアアアアアアッ!?」
断末魔の悲鳴を上げる間もなく、グールの体は聖なる炎に焼かれ、塵となって崩れ落ちていく。
その神々しい光は、地下聖三百六十度を照らし出し、他のグールたちは光に焼かれて苦しそうに身をよじらせていた。
「……すごい……」
隣で息を呑むリリアの声が聞こえる。
俺もまた、その圧倒的な光景に戦慄していた。
物理破壊のバルガン。魔法効果のリリア。そして、射出する俺。
俺たち三人の力が合わさった時、これほどの力が生まれるのか。
俺は、自分たちの持つ無限の可能性を確信し、残りのグールたちへと向き直った。




