DAY 54 お風呂回からの海鮮フルコースだった日
「この映像……世に放っていいものなんだろうか……」
天使たちの溜まり場チャンネル夏休み編。
西崎華さんのお店、『料亭西崎』の保養施設を利用させてもらい、さっそく砂浜でスイカ割り動画を撮ったのだが……
トップバッターの藤浪桃世さんが放った斬撃が見事スイカに命中、そして粉砕、という状況に。
「なんか返り血を浴びて狂喜の表情を浮かべる悪魔、みてぇだ」
「うーん、夏というよりは世紀末、でしょうか……」
伊江里クロワさんこと1号さんは、普通にスイカに命中させスイカがちょっと割れ、西崎華さんこと3号さんは、スイカから数メートル離れた場所を斬、とそこそこの撮れ高だった。
スイカをいただきつつ、撮れた映像を二人にも確認してもらったが、飛び散ったスイカ100%ジュースが藤浪桃世さんにかかり、赤い血を滴らせながら微笑む木刀悪魔、みたいな感じになっている。
「フハハハ、どうだ幹部よ! 最高に夏っぽい映像が撮れただろう! スイカあまーい!」
当の藤浪桃世さんは大満足でスイカを食べているが……。
なんというか、せっかく水着なので、規制に引っかからないレベルのちょっとエロい感じも混ぜつつ、平和な映像をと思ったのだが、まさかの『現代に抜刀斎が現れた』という映像が出来上がった。
その後、100円ショップで買った子供用バドミントンを使ったゲームをやったが、当然のように藤浪桃世さんが圧勝だった。
無理、あの人に真正面からスポーツ系の競技を挑んで勝てるわけがない。
勝てたらスタンプを押してもらえるはずだったが、ボロ負けでゼロスタンプでフィニッシュ。
「覗くなよ男子ー! 空中に浮いて覗くなら面白いからありだけどー、あははは!」
「見たかったら言えばいい」
「以前ご一緒に入っていますけど、今回はどうします? ふふ」
夕飯前にお風呂に入ろう、となり、男女別のお風呂場へ。
「ええ? 一緒に入ったことがあるの? マジ? それやっばいじゃん」
最後、西崎華さんが余計なことを言い、姉である楓さんが反応。
あの、誤解のないように言いますと、俺がお風呂に入っていたら皆さんが入ってきて、タオルを顔に巻いて身体を洗ってもらったことがあるだけです。
だけです……ってか、確かにこれって結構ヤッバい体験ですよね。
もちろん女性陣の裸は絶対に見ていません。
そこだけはしっかりとお伝えしたい。
……女性陣のほうは、バッチリ俺の裸を見ただろうけども。
「ふぅ、広いし良いお湯だー」
「ボッス!」
男湯は俺とボスのみ。
ペットも入れる小さな湯船があり、そっちに愛犬のボスを入れている。
ボスはお風呂大好きだし、広いところで嬉しいだろう。
大きめの銭湯ぐらいの湯船独り占め。
海で遊び疲れて入る広いお風呂、もう最高である。
「うっわー、楓さんでっかーい! やわらかーい!」
「あ、こら桃世ちゃん、あなたのも触ってやるー」
「チッ……姉妹で巨乳かよ。えげつねぇ」
「ふふ、私と楓姉さんで迫れば、あの堅物美山君でもちょろーん、でしょうか? あとで試してみましょう、ふふふふ」
…………女湯の声が全部聞こえるが、俺は冷静に無心でボスの身体を洗い、タオルで拭き、ドライヤーをかけ、楓さんの大きなお胸様を妄想しつつお風呂場を出た。
「あー、ミャーマが女湯に突撃してこないで寛いでるー! ありえなーい!」
お風呂場の前、自販機が置いてあるロビーのソファーでぐったりしていたら、藤浪桃世さんが女湯からダッシュで出てきて、俺に向かってシャドーボクシングをしてくる。
「そ、そんなことしないっすよ……! 俺はチームメンバーを守る立場ですし」
「良い子ちゃんじゃあるまいし、守ってばっかいねぇでたまには攻めてみろよ。欲とかねぇのか?」
あの、伊江里クロワさん、良い子ちゃんとか関係なくて、女湯に入ったら犯罪っす……。
欲は、あります。
「やはりこちらから攻めないと進展は無さそうですね……ってお風呂上りボスちゃん良い香りー!」
「……! ボッス!」
西崎華さんも出てきて、お風呂上りでフワッフワな愛犬ボスを見つけて大興奮。
抱きつこうとしてくるが、危険を察したボスが伊江里クロワさんにダイブ。
「うわっ、ボスめっさフワフワじゃねぇか」
つか女性陣、みんな施設に置いてあった浴衣みたいのを着ていてエロいなぁ……。
「じゃあみんな、お風呂上りはお待ちかねの豪華海鮮フルコースだぞー! ウニとトロを食え!」
最後に出てきた楓さんが食堂を指して笑うが、そう、なんと夕飯は施設側で豪華な地元海鮮フルコースを用意してくれたらしい。
これはたまらん……!
俺は肉の次に好きなのがウニなんですよ!
「すっご……マジでフルコース……」
食堂に入り、次々と運ばれてくる料理に全員が唖然となる。
「華、その、これは大丈夫なのか?」
「もちろんですよクロワ。私はこのチームが大好きですから、これぐらいのおもてなし、当然のことです。美山君はウニが好きなんですよね、北海道産の良いのをご用意しましたよ、ふふ」
さすがの伊江里クロワさんも不安そうに聞くが、西崎華さんが笑顔で俺にウニを勧めてきた。
「うぉおおおお! ウニ! エゾバフンウニにキタムラサキウニ……! しかも身がでかい! ありがとう華! 俺は一生君に感謝を捧げるよ! うまーい!!」
西崎華さんが俺の好みを聞き、わざわざ北海道から良いウニをお取り寄せしたらしい。
おいおいおい、これだけで万いくんじゃないか……?
口に入れた瞬間とろける……う、う、美味い……! たまらん!
「あら、僕の一生を君に捧げるとか、ここで告白されなくても……あとで夜の砂浜でたっぷりと楽しみましょうね、ふふ」
西崎華さん……? 俺はウニが美味い、ありがとう! と言ったのだが……?
「トロもあるぞミャーマー! いや、これ、さては大トロだなー! んんんん……! とろけるーー!」
藤浪桃世さんはマグロが好きらしく、大トロを笑顔で頬張っている。
「大騒ぎねー、これだけ喜んでくれるなら、用意したこっちも嬉しいわー。お姉さんお酒いっちゃおうかなー! 誰か飲むー?」
楓さんが、大騒ぎで海鮮を食べる俺たちを見て笑顔。
テンション上がったのか、日本酒の瓶を空高く掲げ始めたが、その、俺たち未成年っす。
海でお美しい女性陣とバーベキュー食べて、砂浜で思う存分遊んで、広いお風呂入って、夕飯は豪華海鮮フルコースとか、俺の高校一年生の夏休みが最高すぎる。
「そうだ、波多野悠一に自慢しとこう」
「波多野君ー? ああ、ミャーマの親友かー。よし、ももよーん様が殺風景なバックを盛り上げてやろうじゃないか!」
俺は携帯端末を取り出し、自撮りで海鮮を頬張る写真を撮り送ろうとしたら、藤浪桃世さんが俺の背後に走ってきた。
「え、これじゃツーショット……いや、そういう自慢じゃ……」
「やめろ桃世、それじゃお前が彼女に見える」
「ふふ、じゃあ3人で写れば誤解はなさそうですね」
あの、豪華な海鮮の自慢をしようとしただけで、彼女自慢ではないっす、と思ったが、伊江里クロワさんに西崎華さんも俺の背後に回ってきた。
「わっちょ……!」
「ほら、思う存分自慢しろミャーマー!」
「サービスは一回だけだぞ。早く撮れ」
「そぉれ、はい私たち天使たちの溜まり場チームでーす、ふふ」
背後から3人が抱きついてくるが、こ、この状態を撮るのか……?
その後のどうでもいい後日談──
海鮮を頬張る俺に美少女3人が抱きついてきている、という写真を波多野悠一に送ったら、すぐに返信がきた。
「お前とは夏休み期間絶交な。ちなみにエロい写真送ってくれたら1日短縮してやるぞ」
…………いえ、短縮しなくて大丈夫です。
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影木とふ




