DAY 49 コスプレでコラボカフェ初参戦だった日
次の日、日課の早朝マラソンを終え、お昼。
俺のマンションに集まり、素麺を食べる。
「華、コスプレイベントとか興味あるんだけど、俺みたいな初心者はどうやって参加すればいいんだろう」
「え……! 今何と……美山君、今なんておっしゃいましたか! コスプレイベントに私と二人フル装備で参加したいとおっしゃいましたよね! 分かりました、この西崎華、今使える全てのコネを使い二人の一生の思い出になるようなコスプレイベントを立案し……」
こないだ西崎華さんの家にお邪魔したときに、なぜかコスプレをさせられたのだが、正直……そこそこ楽しかった。
そういうのを楽しむイベントとか参加してみたいけど、いかんせん俺には知識がない。
そっち系の知識が豊富な西崎華さんにコスプレイベントについて気軽に聞いてみたら、俺が言っていないワードを足されてコスプレイベントを立案とか言い出し大興奮。
いや、立案て……まぁ西崎華さんって結構なお金持ちの人なので、その気になれば出来そうだけど。
「どったのミャーマ、コスプレイベントー? ああ、そういえば華の家でコスプレさせられてご両親と夕飯食べたんだっけ? あー……華の毒牙がジワジワ効いてきちゃったかー」
あれ、こないだ西崎華さんの家に行った内容は、藤浪桃世さんにも全部筒抜けなのか……毒牙……?
「……なんだ? コスプレさせて抱きたいとか、お前そういう趣味かよ。そのほうが燃えるっていうんなら……ああ、そういや昨日、浴衣着たらお前普通に私を抱いてきたな。なるほど、普段と違う格好だと欲情するのか、理解した。何を着ればいい、言え」
伊江里クロワさんが何か閃いたようで、携帯端末のコスプレの検索結果を見せてくる。
あの、一応訂正しますけど、昨日のは俺がみんなを抱いたんじゃなくて、正確には浴衣姿の女性陣に抱きつかれた、ね。
「えええー、じゃあミャーマは動画配信のときの私たちの天使ナースコスプレに毎回欲情してるってことー? でも全然襲ってこないけどー? 浴衣と何が違うのー? ミャーマの欲情ポイントむっずー!」
「そういや天使ナースのときは手ぇ出してこねぇな。浴衣って和風だし、こいつの抱く基準が和風なんじゃねぇか?」
「なるほどー、さすがクロワー! じゃあ今度和風で攻めて、最後までやっちゃおうー!」
……藤浪桃世さんと伊江里クロワさんがひそひそと相談しているが、別に俺、みなさんの天使ナースコスプレでも普通に欲情してますけど。
そして欲情した瞬間女性に手を出すとか、俺ってそんなに飢えた獣に見えます?
確かに飢えてはいますが、欲のままにチームメンバーに手を出すとか最低じゃないっすか。そんなことしねぇっすよ。
「それでは初心者でも気軽にコスプレの雰囲気を味わえるイベントがちょうど行われていますので、これから行ってみましょう」
いつの間にか冷静になっていた西崎華さんがささっと調べてくれ、近くでコスプレを楽しめるお店を見つけてくれた。
昨日お祭りで行った公園の近く、駅前あたりのアニメ系のグッズを売っているビルでちょうどイベントが行われているらしい。
「ああ……まさかみなさんとこの聖域を訪れることが出来るとは……うう、感動で涙が……」
さっそく全員で駅前のビルに来てみたが、急に西崎華さんが泣き崩れ、よろよろと俺に寄りかかってくる。
「華、大丈夫かい? 少し休むかい?」
「……! ご休憩ですか! それはつまりあちらの裏あたりにあります三時間数千円で利用できるラブなホテルに直行と受け取りましたが問題ないですよね! いえ、ここからなら私の家が近いですし、私の秘蔵の際どい系のコスプレをして抱き合うという夢のような時間を朝までたっぷりと……」
「華……?」
暑さで調子を崩したのかと思い声をかけるが、バチーンと目を見開き饒舌に早口で語りだし、ビルの裏あたりを指し俺の腕をガツーンと掴んでくる。
ラブなホテル……?
え、ちょ、コスプレのお店は……
「あー……まずいなぁ、最近の華ー、まるで水を得た魚だ。今まではこういう趣味、バレないように押さえていたんだけどー、ミャーマと仲良くなってからはドカーンと弾けて隠さなくなってきたなぁー。まぁおもろいけどー」
「元から華はこういう奴だ。高校では優等生の猫かぶってるだけだし。それで、どうするんだ美山進太。華の家で次々と私たちにコスプレさせて抱くのか、抱かずに予定通りにお店に行くのか。さぁどっちだ? ここまできて白けること言うなよ?」
西崎華さんって、元からこういう人だったのか……まぁいいのでは。
え、ここで選択肢、だと……?
「そ、その……お店……」
「てめぇ……昨日私たちを抱いといて、今日は急に紳士ぶってんじゃねぇよ」
いきなり伊江里クロワさんに選択肢を迫られ、予定通りにお店を選ぶが、なぜかキレられた。
あの、ここ駅前のそこそこ大きな通りで、夏休みってのもあって混雑しているんですよ……。
みなさんお綺麗で目立ちますし、注目もされているんですよ。それが急に揉めだして「コスプレさせて抱く」とかのパワーワード発言はよしてくれないですかね……。
ビルの中に入り、目的のお店へ。
「いらっしゃいませ、当店はコラボカフェとなっておりまして、コスプレしていただくことが入店条件となります、こちらにお写真がありますので、どのキャラがいいかご相談のうえ……」
「私がマリアベルで彼がエンヴィー様、金髪の彼女がアンメリー、ポニーテールの彼女がフランメイアでお願いします!」
入口にいた店員さんに話しかけられると、西崎華さんが間髪入れずに早口で聞いたことのないキャラ名を羅列する。
あ、マリアベルとかエンヴィー様、はこないだ西崎華さんの家でやったな。
どうにもこのお店は西崎華さんが大好きなアニメのコラボカフェらしく、入店時にお店側が用意した簡易コスプレをする、が決まりになっているそうだ。
といっても、そのキャラの上着を羽織るだけでもОKらしく、用意はしてあるが、カツラはしなくてもいいそう。
「あああああああ……! ついに私はエデンへと足を踏み入れてしまいました……! このお店はお城の近くにあるバーでして、この四人のキャラが初めて意気投合した思い出の場所なんです!」
全員コスプレを完了し案内された席へと座ると、西崎華さんがキョロキョロと店内を見渡し、大興奮で設定を語ってくれる。
西崎華さんは『マリアベル』というキャラ。
赤髪の女性で、カツラもバッチリつけているのだが、なんというか、お店が用意した物より、こないだ西崎華さんが自宅でやっていたコスプレのカツラと服のほうがクオリティが段違い。
「金髪キャラだから、私はカツラ無しか。つかあまりに洋風だな。これじゃあこいつが燃えねぇだろ」
伊江里クロワさんは『アンメリー』というキャラ。
金髪のキャラなので、元から金髪の伊江里クロワさんはカツラ無し。
キャラの上着だけ着ている状態。
俺が燃えるどうのはスルーします。揉めるんで。
「私は親友ポジの『フランメイア』かー。アニメではマリアベルの恋を応援する役だけど、ももよーんメイア様は自分の幸せ最優先、一筋縄じゃあいかないぞー! あはははは」
藤浪桃世さんは青いロングヘアーの『フランメイア』というキャラ。
どうやらこのアニメを知っているらしい。
「俺はこないだやった『エンヴィー様』ってキャラか」
お店が用意してくれたのは、豪華な騎士の制服の上着。
西崎華さんの家では精巧な作りの青い鎧があったが、さすがに簡易コスプレで鎧は難しいよな。
銀髪ロングの男らしいが、今回のは長い髪を後ろで結わえているカツラか。
「……お前、長い髪、似合うのな」
「それなー、ミャーマって痩せたら別人ー。マジで三人で囲ってないと、余計な女増えそうー」
伊江里クロワさんと藤浪桃世さんが、簡易コスプレ状態の俺をじーっと見てくる。
「ふふ、やはりさっさと既成事実からの証拠の動画が必要そうですね。そのあたりは『海』でどうでしょう皆さん。旅先の施設にプライベートビーチという、ある意味クローズド空間……どうとでもなります……ふふ」
西崎華さんが悪魔みたいな微笑み。
……あの、コラボカフェを楽しみましょうよ、みさなん……。
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影木とふ




