DAY 47 お祭り屋台で大騒ぎ『射的』で伝説を作った日
「なんだよ、結局全員キープでフィニッシュかよ。だっせぇ」
「はー? トップバッターでいきなりキープ喰らったクロワに言われたくないんですけどー」
「大丈夫ですよ、絶対にチャンスは来ます。それにキープということはОKとも言えますし、あとは逃げられない状況と既成事実なりを強引に作って証拠を撮影してしまえばいいのです、ふふ」
夏といえばお祭り。
いつも走っている大きな公園で毎年やぐらが組まれ、出店もズラリと並ぶ。
今夜は天気も良いそうなので、みんなで行きましょう、となった。
お昼に俺の家に集合して、西崎華さんが持ってきてくれた浴衣を三人が仲良く着ている……はずなのだが、着替えをしている俺の部屋からは揉めているような雰囲気が……。
「なるほどー! さっすが華、根回しの鬼ー」
「ふふ、いくら美山君が力と体力で私たちより勝っているとはいえ、しょせん個人。狭い空間で三人同時に攻めればなんとでもなります。ロープ、手錠、猿ぐつわ……最近だとネットで手軽に手に入るんですよ、まぁコスプレグッズですけど一時的な拘束力は充分かと、ふふふふ」
「……こっわ。今後も華を敵に回すのはやめたほうがいいな……。でも最初は絶対に私だからな。そこは譲らねぇ」
よく聞こえないが、コスプレがどうのと言っているから、新しい衣装のお話とかかな。
西崎華さんの家に行ったとき俺もコスプレをしたのだが、結構楽しかったんだよなぁ。コスプレイベントとか、今度行ってみたい。
「ほーいお待たせミャーマー! 黄色を纏いし2号、参上!」
「赤か。別に天使カラーじゃなくてもいいような」
「ふふ、せっかくですから、皆さんのカラーの浴衣を用意してみました」
藤浪桃世さんは黄色、伊江里クロワさんは赤、西崎華さんが水色の浴衣でご登場。
これはあれか、『天使たちの溜まり場チャンネル』カラーだな。
「みんな似合うなぁ。浴衣で髪型もいつもと違うから、大人な感じがするなぁ」
3人とも髪を上にあげてまとめているのだが、これが普段と違ってドキっとする。
「うわー、ミャーマが私たちで大人の階段昇りたいってー。どうするー?」
「どうもこうも、最初は私だって言ってるだろ」
「あら、美山君が発情しちゃいました? どうしましょう、お祭りに行かないで、ここで夏の甘い青春を楽しんじゃいます?」
……ん?
俺、普通に褒めたんだけど、違う話になってる?
え、お祭り行かないんすか?
そんな、浴衣まで着たんですし、行きましょうよ。
ちなみに俺にも西崎さんが黒い浴衣を用意してくれた。
……俺も動画では「悪の黒幹部」だし、それに合わせてくれたのだろうか。
夕方、いつもランニングでお世話になっている公園にやぐらや屋台が作られ、お祭り会場に。
たこ焼き、焼きそばの屋台からソースの焦げる良い香り。
綿あめにりんご飴、チョコバナナとか、定番の屋台が多いな。
「すごい混んでますね。みなさん行ってみたいお店はありますか?」
すでにすれ違うのですら難しいような大混雑。
人気のお店なんか、かなりの行列が出来ていて、並ぶだけでお祭りが終わってしまいそうな予感。
「お祭りと言えば金魚すくいに型抜き! 射的もいいぞ!」
藤浪桃世さんはやはりというか、競技系だよな……。
「袋に天使の羽が描かれた綿あめがある。あれ買おう」
伊江里クロワさんが綿あめの屋台を指す。
あれ、本当だ。俺たち『天使たちの溜まり場チャンネル』なんてやってるし、ちょうどいいな。
「見てください! あれ! あそこにアザ丸君がいるんです! 買いましょう! いえ、買い占めましょう!」
西崎華さんが遠くの屋台を指し大興奮。
俺の右腕に絡んできて、ぐいぐい引っ張ってくる。
え、アザ丸君? 確かに見えるか見えないかの場所にある遠い屋台にそれっぽいのは見えるが……西崎華さんって視力どうなっているの。
天使の羽が描かれた綿あめを4つ買い、西崎華さんが見つけたアザ丸君の屋台へ。
「本当だ、アザ丸君の屋台だ……人気あるんですね」
見ると、例の市民プールのキャラクター、『アザ丸君』の顔がプリントされたお饅頭が売っている。
「当然です! アザ丸君は世界へと羽ばたけるポテンシャルのあるキャラクターなのですから! さぁ買いましょう、10箱いえ、30……」
「ひ、1箱下さい。はい、8個入り1箱のやつです」
西崎華さんが携帯端末に着けているアザ丸君アクリルキーホルダーを掲げ、屋台のお兄さんに鼻息荒く注文するが、俺が慌てて止める。
に、西崎さんって最初すっごい冷静な常識人ってイメージだったんだけど、一緒にいると、かなりの暴走キャラなんだと分かってきた……。
写真を撮ってもいいらしいので、アザ丸君屋台の前で記念写真。
西崎華さんがすっごい満足顔。
「あ、射的ありますね。桃世、どうです、一勝負しませんか」
アザ丸君屋台のそばに射的屋台を発見。
藤浪さんが熱望していたし、せっかくなら勝負形式にしてみようか。
「ほう……我に射的で勝負を挑むか……やれやれ、地元で無双状態にでもなって調子に乗ったか、弟子よ。いいだろう、地元レベルと世界レベルの違いってやつを見せてやろうじゃあないか……フハハハハ! 我に勝てたらスタンプを2個押してやろう!」
正直、屋台の射的はほぼやったことが無い。
だが『夏休みのスタンプ』を2個も押してもらえるなら、当然勝ちに行く。
「店主、一番良いのを頼む」
「へい、これなんてどうでしょう。精度は落ちますが、パワーは最強っす」
「それにしよう。力こそパワー、そう、この世の中大体のことはパワーで破壊すればなんとかなる! いくぞ2号の必殺……パワーオブパワー惑星破壊連弾!」
藤浪桃世さんと屋台の店主が玄人っぽいやり取りをし、パワー型のコルク銃を受け取った藤浪さんが、とんでもない速度でコルクを装填しながらの5連撃。
「おらぁぁぁ、100点! 我の通ったあとには雑草すら生えず……フッ、虚しい勝利だ……」
藤浪桃世さんが狙ったのは、2リットルペットボトルぐらいの一番大きな的。
他のが1点、3点、5点、10点とかだから、多分あれ、絶対倒れないやつだと思うんだが……
しかし藤浪桃世さんは人外の動きでコルク銃セルフ装填速打ちを披露、連射のように同じ場所にヒットさせ、グラっと揺れた100点の的がズズーンと重い音を出し倒れていく。
俺と店主が目を丸くして驚くが、藤浪桃世さんは『当然』といった顔。
「さすが桃世、来年出禁決定だ」
「見てください、100点の景品! ボスちゃんそっくりな大きな犬のぬいぐるみですって!」
一応俺もチャレンジ。
結果は15点……いや、けっこう良い数字だと思うぞ?
地元レベルで15点は……そうか、藤浪桃世さんが言っている、地元レベルと世界レベルの差は、これか……。
「いえーい! ボスゲットだぜぇ!」
勝者である藤浪桃世さんが、表情を失くした店主からデッカイ犬のぬいぐるみを受け取る。
記念で写真を撮ってもらえるのだが、藤浪桃世さんが犬のぬいぐるみを抱えて超笑顔。
貼られている写真に100点の人いないし、マジで出禁だろうなぁ……。
つかこの犬のぬいぐるみ、うちのボスそっくり。
スタンプゲットならず……まぁ、藤浪桃世さん相手に、真正面からやって勝とうと思った俺が間違いだったってことだな。
今度は不正をしよう、うん。
いや、そうでもしないと、人外レベルの藤浪桃世さんには勝てねぇって。
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影木とふ




