DAY 40 百円ショップでお買い物とシェアで間接記念日
「では皆の衆、好きなものを好きなだけ買うがいいー! フハハハ」
買い物で来た家の近くの大型商業施設。
三階にある大きな売り場、その前で集合し、藤浪桃世さんが号令をかける。
「最近の百円ショップってすごいですよね。サバイバルグッズとかも売っているんですよ?」
西崎華さんが、キャンプコーナーにあるステンレス製のコップを片手に微笑む。
サバイバル……? まぁ間違ってはいない……か?
正確にはアウトドア用品ね。
たまに百円ショップで売っている商品だけでキャンプをやる、みたいな動画もあるが、あれ、面白いよなぁ。
「すげぇ、アクリルキーホルダーカバーなんて売ってるのか。これ買う。お前にもらったアザ丸君のやつ、汚したくないし」
伊江里クロワさんが、いわゆる『推し活グッズ』コーナーで捕まっている。
以前みんなで行った市民プール。
そこの売店で、市民プールのオリジナルキャラ『アザ丸君』のアクリルキーホルダーをみんなに買ってあげた。
全員が携帯端末に着けていたが、確かにこういう保護カバーがあれば長持ちしそうだな。
俺も買おう。
みんなで訪れたのは、学生の味方、百円ショップ。
簡単な物はここで揃えようかと。
「アザラシの浮き輪、買いません? 絶対に海で大活躍だと思うんです」
西崎華さんが『海辺で大活躍!』コーナーに俺を引っ張っていく。
動物型の浮き輪っぽいものとか、潮干狩りグッズとか売っている。どれも百円には見えないなぁ。
「結構作りが良いし、可愛いし、買いましょう」
そういえば西崎華さんの希望に『海』があったしな、多分行くんだろう。
透明で中に鈴が入っているのが西崎さんのお気に入りらしく、それをカゴへ。
「弟子よ……お主、これはいける口か?」
同じコーナーを見ていた藤浪桃世さんが、怖い顔でラケットを俺に見せてくる。
これは……バドミントンラケット? しかし小さめの作りで子供用って感じか。
「た、多分……」
「そうか、ではこれもINだ! フハハ、これで私に勝てたらスタンプをたくさん押してやろうじゃないか……精進しておくがいい!」
子供でも楽しめる作りになっているし、俺でも出来そうかな。
俺が頷くと、藤浪桃世さんが爆笑しながら俺の肩をバンバン叩いてくる。
ほう、スタンプって一個じゃなくて、何個かまとめて押すのもありなんだ。
そういや伊江里クロワさんが『スタンプを押したいなと思ったら押す』とか言っていたし、結構曖昧な感じなのか。
まぁいい、俺の夏休みの目標は『三人のスタンプ台帳を各30個押してもらう』に変わりはない。
清算後、お昼になったので巨大なフードコートへ。
「我ら仲良しチーム! 四人いれば何でも出来る! フードコートで発動可能な必殺技『それぞれ別の物頼んで四人でシェアしよう夏!』さぁ行くぞ……欲望を吐き出すのだ!」
フードコートのお店一覧の看板の前で全員悩んでいたら、藤浪さんが「ハンバーガー! お蕎麦! うどん! お好み焼き……! うううむ……」と数個のお店を指し、熟考モードに。
そして目をバチーンと見開き、全員を抱きしめてシェアしよう! と言ってきた。
「シ、シェアですか? いや、俺男だし、みなさん嫌でしょう……」
「問題ない。四人いるのに、それを生かさず何がフードコートか。これぞ最適解だろ」
女性三人、男一人、この状況でシェアはどうなんだろうと思ったが、伊江里クロワさんがニヤァと笑う。
「やはりいいですねぇ、チームは。楽しいうえに、お食事も四種類楽しめるとか、最高すぎます。ふふ、何にしようかなぁ」
西崎華さんも問題ないらしく、メニュー選びに移行。
あれ、いいんですか、俺が混じってのシェアで。
まぁ食べる前にキッチリ分ければ問題ないか。
「揃ったか皆の衆! さぁ今宵は好きなものを好きなだけ食うがいい! フハハハハ!」
全員のお昼ご飯が出来上がり、テーブルに並べる。
俺が選んだのは『お好み焼き』。
これは切り分けやすいし、シェアするのに向いているだろう。
──だが女性陣が選んだのは……
「私は『冷やしキツネ蕎麦』、やはり夏はこれ一択だろう! フハハハハ、美味そうすぎてよだれがとまらーん!」
藤浪桃世さんが選んだのは、冷やしキツネ蕎麦。
まぁ藤浪さんはお蕎麦好きだしな。
「私は熱々坦々麺だ。クーラーで身体が冷えてな、ちょっとガツンとした物が欲しかったんだ」
伊江里クロワさんが選んだのは、湯気立ちのぼる、熱々坦々麺。
たしかにクーラーで身体が冷えてしまう人もいるよな。しかし夏に熱々坦々麺かぁ……。美味そうだけども。
「ふふ、せっかくなので、追加でチーズを足してもらっちゃいました。じゃあシェアしましょうか。はい、美山君、あーん」
俺以外全員麺類か、と思っていたら、西崎華さんがフォークでくるっとパスタを巻き、俺の口元に笑顔で持ってくる。
え、あれ、シェアってそういうんじゃないような……
「う、美味いっす! チーズがすごい……!」
どうしたらいいのか分からず、とりあえず食べさせてもらうが、これは美味い!
麺がモチモチでチーズが濃厚!
「ふふ、北海道産のチーズを使った期間限定メニューらしいんです。やはり限定はいいですよね、今しか食べられないという誘惑……ああ、勝てません! しかもこれを四人でシェアを出来るとか最高です……ああ、これ本当に美味しい!」
俺が食べたフォークをそのまま西崎さんが使い、チーズたっぷりのパスタを頬張る。
ちょ、そういうの間接なんたらっていうんじゃ……
「てめぇ……そういうのシェアって言わねぇんだよ。それを狙ってやがったな……」
伊江里クロワさんがブルブルと肩を震わせているが、ね、これはシェアって言わないですよね!
「クロワはルール細かすぎー、仲良しチームなんだから、これぐらい当たり前でしょー! おらぁシェアだ、食えミャーマ、キツネー!」
藤浪さんがキツネ蕎麦に乗っているお揚げを半分に切り分け、俺の口に箸で突っ込んでくる。
ふごぅ……! ん、美味い……すんごいダシが染みてるー!
「ちっ……フリーダム過ぎだろ、このチーム。おら、シェアなんだろ、食えよ」
伊江里クロワさんが二人の動きに唖然とし、俺の前に自分の食べていた坦々麺を置いてくる。
「あ、箸……」
「シェアっつってんだろ、そのまま使え」
新しい箸を取りに行こうとしたら、伊江里さんが顎で自分が使っていた割りばしを指してくる。
「あ、はい……いいのかな……うん、確かにクーラーが効いている店内で熱々坦々麺もいいですね、うまい」
恐る恐る伊江里クロワさんが使っていたお箸で坦々麺を一口、うん、辛い……けど美味い!
「そうか、美味いか。じゃあ私も……」
俺が一口食べると、伊江里さんも俺が使った箸を使い、そのまま食べ続ける。
あ、あの……いいんでしょうか、これ。
チームだし、これぐらい当たり前……みんな美味しそうに食べているし、俺が気にしすぎなんだろう。
「ふふ、おめでとうございます、スタンプ一個です。おかげで素晴らしい夏の思い出の一つ、間接記念日になりました」
食後、フードコートを出ると、ニッコニコ笑顔の西崎華さんがスタンプを押してくれた。
間接記念日……あ、ほら、やっぱりみんなも気にしていたんじゃないすか……!
「いやぁークロワさんやー、まんまとミャーマの間接キッス作戦にはまってしまいましたなー。さすが我が弟子、抜け目がない!」
「……まぁそういうお年頃なんだろ。普通に言やぁいいのによ、まどろっこしい」
藤浪さんと伊江里さんが頷きあっているが、あれれ、俺が企てた作戦みたいになっているぞ。
いやいや、シェアとか言い出したの、藤浪さんっすよね!
「30個までがんばりましょうね、美山君。その時は……もっとすごい記念日になると思いますよ……ふふ」
西崎華さんが色っぽく、俺の耳元で呟く。
うわビックリした……え、30個貯めたご褒美は……もっとすごい記念日……そ、それは……ゴクリ……
が、頑張ろう、俺はこの夏、スタンプを集めることに命を賭けるぞ!
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影木とふ




