DAY 21 コスプレナース天使衣装でカレー動画配信準備をした日
「う、うわあああああ、ちょ、ちょっと待って……! これ動画じゃ無理だって……!」
市民プールから帰宅後、カレーの作り方の動画を見ていたら、藤浪桃世さんが配信をやってみたい、と言い出した。
実際に配信するかは別として、とりあえず携帯端末で夕食のカレー作りを撮ってみようか、となり、多少の身バレ防止の為にコスプレをしようと、西崎華さんが衣装を持ってきてくれたのだが……
「オホー! 見てみてミャーマ! 白衣の天使、ナースももよーん様の登場だー! フハハハハ!」
「これ何だ? ほとんど裸じゃねぇか」
「ふふ、だって美山君へのサービスもありますので、際どいのを選んじゃいました」
女性三人がさっそく試着をしているのだが、全員いきなり下着姿になり、各々衣装を着始めた。
ちょ、男の……思春期の俺がここにいるって分かってます?
いきなり服を脱がないで下さいよ、マジで!
「俺向こうの部屋に行ってますから、ちゃんと着たら呼んでください……!」
「待てーいミャーマ! ももよーん様の変身シーンを見ないとか、人生の八割を損することになるんだぞー! フハハハハ、つかこれ、妙に短くね? もろ見え」
「これ、どういうチョイスだよ華……。おい逃げんな美山進太。さっき私たちの水着姿を食い入るように見といて、下着姿ぐらい今更だろうが。まあ責任は取ってもらうがな」
「私、アニメが好きで、子供のころから、いつかお気に入りのキャラクターになりたいって思ってたの……! みんなと一緒ならもっと楽しいし、今まさにチャンスだと思って秘蔵の衣装をたくさん持ってきちゃった」
ナース衣装なんだけど、肌露出多めで背中に天使の羽がついていたり、かなり際どい角度の水着に派手な色の革ジャンを羽織るもの。
さらにはリボンを身体に巻きつけただけのものとか、ほぼ裸じゃねぇか、みたいな衣装が満載……あの、西崎華さん、子供のころにどういうアニメに影響されたんですか……。
あと伊江里クロワさん、下着姿と水着姿は全然違うと思いますよ!
責任って……何をどう取るんですか……。
こんなの、エロすぎて動画に撮れねぇってば。
「ミャーマチョイスはナース衣装かー。なるほどねー、そういう趣味かー」
「……スカート短いな……まぁ、キッチンの向こうから撮るから、下は見えないし、いいか」
「うわぁ、みんな可愛い! お揃いで着れるとは思っていなかったから、すっごく嬉しい!」
とりあえず、あまりにエロいのは除外。
紳士諸君には悲しいお知らせだが、配信のルールもあるし、許してくれ。
最初に藤浪桃世さんが着ていた、ナース衣装に天使の羽がついたやつ、ここにある中ではまぁまぁ露出が少な目で、三人が揃って着れば、かなり見栄えするのでは、と俺が選んでみた。
その、俺の好み、も含まれては、いる。
大きなカラー入りサングラスを付け、メイクでそれぞれ「1」「2」「3」と頬に書いてもらう。
どうにも西崎華さんが子供のころに見ていた、三人のナース衣装天使が悪を倒すとか、そういうアニメのキャラクターらしいぞ。
赤色で「1」と書いたのがリーダーで、伊江里クロワさん。
黄色で「2」と書いたのが火力特化キャラ役、まぁ藤浪桃世さんだろう。
水色で「3」と書いたのが頭の回転が速い役で、西崎華さん。
髪にも、ワンポイントでそれぞれのカラーのウイッグをつけてもらう。
完成したコスプレを見るが……これはすごい。
そのアニメは知らないので、どれだけ原作に寄せられたかは分からないが、この三人がやると、マジで見栄えする。
「す、すごい……コスプレってすごいんだね……俺、初めて間近で見たよ」
よくコスプレイベントを各地でやっているが、なるほど、確かにこれは見応えがある。
「フハハハハ! すごいだろう? だが侮ってもらっては困る、これはまだ30%といったところだ。私の本気の100%、見たいかね? フハハハハ!」
何かのヒーローのポーズっぽいものを決めながら、藤浪桃世さんが何か言っている。
はて、「2」の黄色って、そういうキャラなの?
「各キャラを呼ぶときは、「1号」「2号」「3号」って呼ぶの、そうすれば名前も出さずに済むし、それでやろうよ。ふふ」
西崎華さんがキャラ付け指導。
ああ、そうか、本名で呼び合うより、そのほうが匿名性は出せるか。
「分かった。つか美山進太、これ、お前がやりたいって言うからやってるんだからな。普段なら絶対にやってない。だから……褒めろ」
金髪ヤンキー女子、伊江里クロワさんが俺をじーっと睨んでくるが、あれ? やりたいって言い出したの藤浪桃世さんで、コスプレを用意したのは西崎華さんだけど……まぁやってみようとか言ったのは俺か。
「あ、うん、みんなとても似合っているよ。とりあえず試しで動画を撮ってみるけど、本音を言わせてもらえるなら、みんなのこの姿は、俺が独り占めしたいところだよ。あはは」
マジでこれやばいって。
似合っているどころの話ではない。これでお金が取れるレベルのクオリティ。
「フハハ! いいぞ、ミャーマには特別に動画に撮れないサービスをしてやろう! 夜に使ってもいい許可も出そうじゃないか、フハハハハハ!」
藤浪桃世さんが、さっきから何かのキャラが降臨でもしたのかって状態なのは、なぜ。
結構どころか、一番楽しんでいるレベル。
許可だのなんだのは、プライベートなのでスルーさせていただきます。
「ふふ、美山君に喜んでもらえたのが一番嬉しいかも。じゃあ試しに今夜のカレー作りを撮ってみましょうか。美山君の家のキッチン、すっごく綺麗だから、そのままで大丈夫でしょうし」
「マジでやるのか……ああもう、覚悟決めるか!」
「フハハ! さぁ行こうか1号3号、この世の悪をカレーに変えるのだ、フハハハハ!」
西崎華さん、伊江里クロワさん、藤浪桃世さんがキッチンへ向かうが……これは……撮っちゃいけないよな。
コスプレナース衣装のスカート丈はかなり短くて、三人の後ろ姿がとんでもなく……エロい。
ああ、すまない視聴者諸君、動画配信の画角は正面からと決まっているので、この映像を見れるのは俺だけなんだ。
一生鮮明に思い出せるように、脳裏にバッチリ焼き付けておこう──
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影木とふ




