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種族:人間ではじまるクソゲー攻略! ~レベルとスキルで終末世界をクリアする~  作者: 灰島シゲル
【第一部】 緑の古王とプレイヤーズギルド

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五日目・朝 身体と心の影響

 


「……話を戻そう」


 と俺は二人に言った。



「【星辰の英雄】は間違いなく種族スキルだな。ミコト、何か種族スキルで気になることがあったのか?」


 と俺は、ミコトに問いかけた。



「あ、えっと……。はい」


 脱線した話を戻されて、ミコトは慌てて頷いた。



「種族スキルの数が、種族同化率に関係しているのかなって考えていたんです。ユウマさんはその……」


 と言って、ミコトは確認するように俺の顔色を伺ってきた。



 その顔に、俺は頷きを返す。

 俺の頷きを確認してから、ミコトは言葉を続ける。



「種族スキルを、もうすでに一つ持っていたので……。新しく種族スキルを獲得しているなら、それが同化率に影響しているんじゃないかなと」


「お主、やはりか」


 とクロエはミコトの言葉に呟いた。



「すまん、隠していた」


 と俺はクロエに言う。



 クロエは俺の言葉に首を横に振った。



「別に、構わぬ。警戒するのは当たり前のことじゃ。出会ったばかりの信用出来ぬ相手に、手の内をすべて晒すような馬鹿者はこの世界にはおらんじゃろ」


 とクロエは喉を小さく鳴らして笑う。



「――ろん、――もじゃが」


 クロエはそのあとに、何かを小さな声で呟いたが、俺にはその言葉を聞き取ることが出来なかった。



「クロエ?」


「何でもないわ」


 首を傾げると、クロエが気を取り直すように笑った。



「それよりも、お主はもうすでに種族スキルを二つ、持っておるということじゃな?」


 クロエが確認をするように言った。


「……獲得したスキルは他にもあるが。多分だけど、そうだ」


 と俺は言った。



 今回の戦いで、俺が新しく獲得したスキルは【星辰の英雄】【雷走】【瞬間筋力増大】【一閃】の四つだ。

 【星辰の英雄】が、種族スキルであるということは今しがた判明した。残りのスキルは三つだが、そのどれもが、名前通りの効果だろうと推察することが出来る。



 唯一分かりにくいのは【一閃】と名前が付いたスキルだが、これは【刀剣術】と一纏めにされている。

【刀剣術】の効果は、刀剣に関する一定の技術が身に付くことで刀剣術に関するスキルを獲得することだ。

 その効果を考えるに、【一閃】は【刀剣術】に関連したスキルである可能性が高い。


 画面に表示された残りのスキルも一つずつタップして、その説明文へと目を通していく。



 ≫【雷走】

 ≫このスキルの所持者は、誰よりも速さを欲し、誰よりも速さを追い求めた。

 ≫スキル発動の際に毎秒MPを1消費する代わりに、自分のAGIを15%増加させる。



 ≫【瞬間筋力増大】

 ≫限界を超えて発揮されたその筋力は、人ならざる力を発揮する。

 ≫自分の限界を超えて発揮されたその力は、その者が持つ全開の力を発揮する。このスキルの所持者は、瞬時に自身の持つ最大筋力を超えた力を発揮することが出来る。



 ≫【一閃】

 ≫刀剣に対する技術が高まり、その技術は一つの技となった。

 ≫このスキルの所持者は、刀剣による一撃目の攻撃の際に、威力上昇の効果を得る。



「…………」



 そこに書かれたスキルは、どれも即戦力となりうるレベルのスキルだった。



 【雷走】は、これまでステータスの肥やしとなっていたMPを消費する代わりに、俺のAGIを一時的とは言え、上昇させてくれるスキルのようだ。

 AGIが上がれば、敏捷が高くなり俺の動きはそれこそ速くなる。単純な移動だけでなく、相手の動きを見切り避けることも容易くなる。

 いくら【視覚強化】で強化された動体視力が相手の動きを捉えても、それに対応できる身体がなければ意味がない。

 そう考えれば、【雷走】スキルは【視覚強化】スキルとの相性がいいのかも知れない。



【瞬間最大筋力】は、以前クロエが聞いたという筋力系の限界突破スキルだ。その効果も、その反動も、俺はホブゴブリンとの戦いで経験している。



【集中強化】とは違って、反動が目に見えて大きなスキルだ。一度使えば、ミコトの【回復】を貰うまではまともに戦うことが出来ないだろう。



【一閃】、これについてはスキル説明文を読んだだけではよく分からない。

 効果を読むかぎり、刀剣での攻撃の際に攻撃威力上昇の付加が掛かるようだ。その効果を確かめるには、実際に試してみるしかないだろう。




「種族スキルが二つに、種族同化率が20%か……」



 スキルの性能について考えていると、唸りながらクロエが言葉を発した。

 目を向けると、クロエもミコトも難しい顔で考え込んでいる。



「単純に考えれば、種族スキル一つで同化率が10%上がってるように思えますね」


 とミコトがクロエの言葉に対して呟いた。


 クロエがその言葉に頷く。


「……そうじゃの。他に判断材料がないからなんとも言えんが」


 とクロエはそう言葉を区切って、俺を見つめた。



「もし、その数値より下に種族同化率が下がらないのであれば、我らプレイヤーは、種族スキルを獲得するごとにより種族同化が進むようになっておる……のかもしれん」


「待て。それだと、さっきの話はどうなる。種族スキルは身体の変化、種族同化は心の変化、という話だっただろ」


「だからこそじゃ。ストレスが高まれば人間は病気をしやすいように。心と身体は一つに繋がっておる。身体がその種族の特徴へと変われば変わるほど、その身体の持ち主の心も種族へと同化が進む。……あながち、間違っていない予想だと思うがの」


 そう言うと、クロエはくくっと喉を鳴らした。



 俺は、その言葉に考え込む。


 心と身体は繋がっている。その考えは理解できなくもない。

 だが、断定することが出来ないのも事実だ。

 結論付けるには、まだ情報が足りない。

 現状において、種族スキルが増えれば同化率が上がるなんて言い切れない。


 何しろ、自分の種族同化率がこうして数値として目に見えるのは、一度50%を超えて『人間』と同化を果たした俺だけなのだ。

 ミコトやクロエも数値で出ていれば、持っている種族スキルの数とその数値で、その仮説も断定はできるだろうが……。



 ――とりあえずは一旦保留だな。



「種族に関係する情報はまだ少ないし、断定するのはまだ早いだろ。ひとまず、この話はここまでにして、一旦置いておこう」


 と俺は二人に言った。



「それよりも、まずは現状の把握をしたい。ボスモンスターを倒して、ストーリークエストはクリアしただろ? 何か報酬は出たのか?」



 話題を変えて、俺は二人に問いかけた。

 クロエとミコトは顔を見合わせる。



「出るには出たな」


 とクロエは言った。


「……正直、私やクロエさんにとって半分は必要のない物でしたが」


 とミコトがクロエの言葉を引き継ぐ。


「半分、必要のない物?」


 と俺は首を傾げる。



 どうやら、二人は俺が気を失っている間、先に報酬の中身を確認していたらしい。

 俺はステータス画面から倉庫画面へと移行して、そこにあるものを見る。


 マス目に表示されたアイコンの絵は木箱だった。

 タップして表示された文字に目を通す。



「簡易サバイバルセット」


 思わずそこに書かれた文字を読み上げて、二度見をしてしまう。



 …………なんだ、これは。



 あまりにも、報酬がしょっぱい。

 リッチは間違いなく強敵だった。それなのにも関わらず、手に入れた報酬が〝簡易〟と名の付く報酬とは。


 ……まさか、報酬もランダムだったりするのか?


 そんなこと、ありえない。

 そう言いたいはずなのに、クソゲーが支配するこの現実では、ありえないと言い切ることができない。




 俺は、心の中で盛大なため息を吐き出して、気持ちを切り替える。



「とりあえず、開けてみるか」



 タップし、次いで表示される『Y/N』の確認に『Y』を押す。

 すると、五種類の絵が次々にマス目を埋めた。

 出てきたアイコンの絵を一つずつタップし、簡易サバイバルセットの中身を確認する。



「……食料10日分、水10日分、シャツ、ズボン、靴か」



 サバイバルセットではこれの他に、バックパックや火打ち石、ローブなんかが追加されていたが簡易サバイバルセットには入っていなかった。



 マス目を埋めたアイコンを見て、俺は唸り声をあげる。

 おそらくだが今回の報酬は、チュートリアルクエストを受けていないプレイヤーに向けたものだったのだろう。

 衣食住のうち、衣と食だけが簡易的に与えられた粗末なサバイバルセットだ。



 ミコトとクロエが、簡易サバイバルセットのことを半分は必要のない物、と評したのは食料や水を二人は必要としない身体だからだ。

 二人がこの中で使えるものと言えばシャツとズボン、靴ぐらいしかない。

 二人からすれば、今回の報酬は俺以上にクソみたいな報酬だった。



「……まあ、着替えと貴重な食料が手に入っただけマシか」


 そう呟いて、俺は自分の身体へと視線を落とす。



 度重なる戦闘で今着ているシャツやズボンはボロボロ。靴に至っては、たった四日しか履いていないのに革が破け始めている。

 『人間』である俺にとって、食料や水が必要なのは言うまでもない。



 俺はさっそく、シャツとズボン、靴を倉庫から取り出した。

 靴を脱ぎ捨てて、履き替える。

 シャツを脱ごうとしたところで二人の視線が俺に向けられていることに気が付いた。



「……なんだよ二人して」


「なんだよ、じゃなくて。もしかして、ここで着替えようとしてませんか?」


 とミコトが言った。


「さすがにのぅ……。こんな世界でも、人目は気にした方がいいと思うが」


 とクロエが苦笑する。



 ズボンならともかく、上半身なら別に構わないのでは……。


 とそんなことを思ったりもしたが、ここに居るのは年端もいかない少女二人だ。

 やはりそこは気にした方がいい部分なのだろう。



 俺は脱ごうとしていたシャツから手を離して、倉庫から取り出したシャツとズボンを手に持ち、回れ右をする。



「着替えてくる」


「「行ってらっしゃい」」



 綺麗に重なった、二人の言葉が俺の背中を見送った。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 個人的な感想なので、流していただければと思うのですが……。 未確認のスキルがあれば、生死のかかった環境下では、まずはすべてのスキルの効果効能を確認するのが先のような気がします。 その後…
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