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種族:人間ではじまるクソゲー攻略! ~レベルとスキルで終末世界をクリアする~  作者: 灰島シゲル
【第一部】 極夜の街と幼い吸血鬼

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三日目・夜 ステ振りと適応

「はぁっ!?」


 ミコトのステータスを見て声が裏返った。



 えっ、何してんのこの子。

 貴重なSPだよ? それを極振り!?

 しかも、これまで全く割り振っていなかったLUKに?



 …………えぇ?



「これで、私もバンバン回復スキルを覚えることが出来ますね!」



 ミコトは無駄に胸を張っていた。

 俺は思わず頭を抱える。



「何やってんだよ……」

「何って、ユウマさんも言ってたじゃないですか。回復スキルの需要は大きいって」

「いや、そりゃ言ったけどさ」


 だからって、15もあったSPすべてを、一つのステータスにつぎ込むか?


「……それに、私のスキルで回復スキルと言えば【回復(ヒール)】だけです。でも、これから先、私たちはモンスターと戦い続けますよね? レベルだって、いっぱい上がります。そしたら、ユウマさんがもっと、もっと強くなります。その時に、今の【回復】だけじゃきっと、不安になる時が来ると思うんです」


 とミコトはそう言うと、俺の目を見つめてニコリと笑った。



「だったら、今の内からバンバンと回復系のスキルを取得しておこうかな、と思いまして。今回は思い切っちゃいました」


「思い切っちゃいました、って。他のステータスは良いのか?」


「他は……。まあ、今回は諦めます。でも、レベルさえ上がればレベルアップボーナスで、他のステータスも伸びますからね! やはり、レベル上げは積極的に行うべきです!」


 鼻息荒くミコトは言った。



 忘れてたわ。この子、レベルアップ狂(レベルジャンキー)だったわ。

 しかも回復スキル持ちのレベルアップ狂とか手が付けられないでしょ。MPが切れるまでずっと狩り続けてそうだ。

 誰だよ、コイツが今後SPの割り振りに悩むことだろうとか思ってたやつ。


「俺だよ……」


 誰にも聞こえることがない小さな声で、俺は俺自身にツッコミを入れた。



 俺はため息を吐き出す。

 割り振ったSPはもう元に戻せない。

 割り振った以上、このステータスで次のレベルアップまでは頑張らなくてはいけないのだ。



「……でもまあ、ミコトの言ってることも間違ってないしな」


 と俺は独り言ちる。



 確かに。レベルが上がれば上がるほど、俺とミコトのステータスの差は大きくなる。

 もうすでに、俺のHPは【回復】を使用しても全快にはならないのだ。

 もともと、ミコトは中衛型ビルドで俺の援護が中心だった。LUKの重要性が改めて分かった今、俺との連携を意識してステータスを調整していくよりかは、種族の特性を生かしながらビルドしていく方向に切り替えた方が楽なのかもしれない。



「まあ、もしこれでステータスが足りずに私がモンスターに襲われていたら、ユウマさんだったらきっと、()()私のことを助けてくれますよね?」


 ミコトは冗談交じりに悪戯っぽく笑った。

 俺はミコトの笑みを見て、口元を吊り上げる。


「そうだな。その時はまた、助けてやるよ」


 ミコトは俺の言葉に口元を綻ばせると、小さく笑った。


「はい、よろしくお願いします。…………あの、ところで」


 それから、ミコトはそう口にすると、ずっと気になっていたのか。俺の手にあるスマホへと目を向けた。


「ユウマさんはSPを割り振らないんですか?」

「俺か? 俺は……そうだな」



 ミコトの言葉に答えて、俺は自分のステータス画面へと目を落とした。

 そこに表示された数値を見ながら、言葉を続ける。



「割り振ってもいいけど、時間が掛かるぞ? いいのか?」

「私は構いませんよ。いつもみたいに一人で星をぼんやりと眺めているよりかは、ユウマさんがステータスを割り振っている姿を見ている方が面白そうです」


 とミコトは笑った。



 天使であるミコトは睡眠をあまり必要としない。

 今日は夜更かしをしているが、これまでの俺は早々に寝ていたし、どうやら夜は相当暇だったようだ。


(まあ、ミコトの暇つぶしになるなら、いいか)


 と俺は納得をすると、ステータス画面へと向き合った。



「んー」



 声を出して唸る。

 スキルの存在と、LUKの重要性が分かったのだ。

 とりあえずまずは、改めてLUKを上げておくことにしよう。




 古賀 ユウマ  Lv:9 SP:30→25

 HP:44/44

 MP:12/12

 STR:22

 DEF:17

 DEX:16

 AGI:19

 INT:12

 VIT:18

 LUK:31→42

 所持スキル:未知の開拓者 曙光 夜目 集中強化 視覚強化 




 SPを5消費してLUKに振り分けた。


 ……相変わらず、LUKの上がり幅は大きい。SPを一つ割り振るごとに、2から3は上昇している。


 他のステータスに比べて頭一つ分飛びぬけたLUKの数値に、俺はLUKへSPを割り振るのを一旦やめた。



「……INTも上げとくか」



 INTにSPを三つ振り分ける。

 これで、INT数値は15。INTが上がったことでMPの上限も15になる。




 古賀 ユウマ  Lv:9 SP:25→22

 HP:44/44

 MP:12/12→15/15

 STR:22

 DEF:17

 DEX:16

 AGI:19

 INT:12→15

 VIT:18

 LUK:42

 所持スキル:未知の開拓者 曙光 夜目 集中強化 視覚強化




「あとは、いつものステータス調整だな」



 今日のナイトハンティングでの動きを思い出す。

 何と言っても、今回苦戦したモンスターはグラスホッパーラビットだ。

 想像以上に素早い動きと、固い皮膚や肉。性能のいい武器でも、それを扱う俺の腕が未熟なばかりに一撃でトドメを刺すことは終始できなかった。


 まあ、こればっかりは仕方がないだろう。

 何せ、小太刀を使ったのが初めてだったのだ。


 ――どうせだったら、剣術、みたいなスキルが手に入れば良かったのに。


 俺はそんなことを思いながらも、それぞれのステータス項目にSPを割り振っていく。




 古賀 ユウマ  Lv:9 SP:22→1

 HP:44/44→52/52

 MP:15/15

 STR:22→27

 DEF:17→20

 DEX:16→21

 AGI:19→23

 INT:15

 VIT:18→22

 LUK:42

 所持スキル:未知の開拓者 曙光 夜目 集中強化 視覚強化




「うーん……」


 残りSPは1。

 取っておいても、割り振っても良いがどうしようか。


「終わったんですか?」



 スマホの画面を見つめながら眉根に皺を寄せていると、ミコトがそう声を掛けてきた。

 俺は首を横に振って答える。



「いや、残りのSPを割り振るかどうか悩んでて」

「割り振れば良いじゃないですか。ステータスの数値一つ変わるだけで、生死に直結する世界なんですし」

「それは、そうなんだけど」


 俺はミコトの言葉に頷いて、再度ステータス画面を見つめた。


「残りSPが1ってなると、どれに割り振ろうかなって」


 貴重なSPなだけに、適当には割り振りたくはない。


「んん~…………。いや、残しとこうかな」



 悩みに悩んで、俺はステータスを確定させた。

 残ったSPは、モンスターと戦ってみて足りないところがあればそこに入れよう。

 そもそも、新しく入手したスキルを意識しながらモンスターと戦っていないのだ。

 今すぐ使い切る必要性もないだろう。



「よし、これでいいだろ」

「終わったんですね。どれどれ……」


 俺の手元を、ミコトが興味津々と横から覗き込んできた。


「うわー……。もはや人間やめてそうなステータスですね」


 俺のステータスを見てミコトが苦笑した。


「あながち間違いじゃないかもな」


 と俺はミコトの言葉に同意する。



 レベルが上がり、ステータスが増えるごとに人間を辞めている感覚は常にあるのだ。

 この世界に来た頃は瓦礫なんて持ち上げることがやっとだったのに、いつの間にか瓦礫を持ち上げることぐらい何ともなくなっている。


 それだけじゃない。グラスホッパーラビットなどといった明らかに格が違うモンスターを除けば、これまで出会ったモンスターも、今の俺が全力で殴ればその身体を拳が貫通するかもしれない。……いや、ゴブリンぐらいだったら貫通するだろうと妙な確信がある。


 ――これじゃあ、どっちがモンスターか分からないな。


 俺は自分自身の変化に苦い笑みを浮かべるしかなかった。



「まあ、ゴブリンとか弱いモンスター側からすれば、今の俺の方がモンスターにでも見えてるかもしれない」

「あー、それはあるかもしれませんね。モンスターを相手にしている時のユウマさん、容赦ないですし」


 ミコトが苦笑いを浮かべた。


「そりゃあ、そうだろ。相手はモンスターだ。容赦する方がおかしい」

「そうですね」


 とミコトは頷いた。


「モンスターは殲滅すべきです」



 ……まさか、あの時にモンスターを庇っていたミコトの口からそんな言葉が出るなんて。


 狩りに行こうとか、レベルアップに拘るところとか、あの時のミコトからは考えられない変化だ。



 ――本当に、この世界に染まったなぁ、この子。





シウィンさんから、レビューを頂きました! 本当に、ありがとうございます。

初めて頂いたレビューに、私のテンションはぶち上げでした。

また、皆様から多くのブックマークや評価もいただき、深く感謝申し上げます。

皆様の評価や応援を、執筆の力とさせていただいてます。

ありがとうございます。

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