表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
種族:人間ではじまるクソゲー攻略! ~レベルとスキルで終末世界をクリアする~  作者: 灰島シゲル
【第一部】 緑の古王とプレイヤーズギルド

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/246

六日目・深夜 彼の覚悟、鬨の声

 



 ≫≫ストーリークエストを受信しました。

 ≫≫ストーリークエスト:緑の古王 を受諾しました。


 ≫≫ストーリークエスト:緑の古王 の開始条件を確認しました。

 ≫≫ストーリークエスト:緑の古王 を開始します。


 ≫≫ストーリークエストの完了条件は、エルダートレントの討伐です。




 有楽町付近で狩りを続けて、東京駅へと戻るとすぐにストーリークエストが始まったことを、俺たちのスマホは同時に伝えてきた。

 浦野さんの言っていた通り、この辺りのストーリークエストは『緑の古王』だけらしい。


 俺たちは顔を見合わせて頷き、東京駅地下街へと進む。


 浦野さんと顔を合わせた一画に近づくと、そこにはもうすでに何人かのプレイヤーが集まっていて、その中では浦野さんが次々と指示を出していた。



「そろそろ、山岡さんと会田さんは動けるプレイヤーを纏めておいてください。寺田さんはかき集めた武器になりそうなものを遊撃及び主戦力隊へ配布し始めてください。歌川さんは主戦力隊を纏めて、最後の作戦の確認を――ああ、あなた方ですか。ストーリークエストは無事に受けられましたか?」



 俺たちに気が付いたのだろう、浦野さんはそう言って俺たちの方へと視線を向けた。


 俺はその言葉に頷きを返す。


 すると、浦野さんは傍にいる男性のプレイヤーに――そのプレイヤーは昼間見た蜥蜴のプレイヤーだった――へ何かを伝えると俺たちの元へと歩いてきた。



「準備は大丈夫ですか?」

「ああ、問題ない」


 言って、俺はポケットに手を突っ込む。そこには、先程仕入れた跳弾に適した小石が詰められている。数は全部で二十個。それと、小太刀が俺の今の武器だ。


 浦野さんは俺の言葉に頷くと、俺たちの顔を見渡しながら言った。



「こちらの準備が終わるまで、もう少々――十分ほどかかります。駅前でお待ちください。すぐに準備を終わらせます。それと、これをあなた方に渡しておきますね」


 言って、浦野さんは四つ折りにされた紙きれを手渡してきた。


 受け取り、四つ折りを開くとそれが福岡県福岡市内の地図であることがすぐに分かった。いくつかの地名に赤ペンで丸が付けられている。


「これは……?」


「報酬です。【地図】スキルの条件は〝どこかの地図を頭に入れること〟です。それは、気を失う前に私が握り締めていた、出張鞄に入っていた観光地図の切れ端です。先に、お渡ししておきます」


「……どうして、これを先に渡すんだ? ボスモンスターを倒してからでも十分だろ」


「ボスモンスターを倒した時、私が生きているとは限りませんから」


 そう言うと、浦野さんは小さな笑みを口元に浮かべた。


「私がクゼさんの元へご案内する約束でしたが、それももう手配済みです。私が取得していたスキルを、このギルドに残った方に取得していただきました。私が死んでも、あなた方をちゃんとクゼさんの元へご案内できますので安心してください」


「浦野さん……」



 俺はそれ以上の言葉が出なかった。

 浦野さんは俺の表情にまた笑うと、視線で俺たちの退席を促す。



「では、私は準備に戻ります。十分後に、駅前で会いましょう」



 そう言って、浦野さんは再びプレイヤー達へと指示を出し始める。

 俺は、受け取った地図を握りしめて、後ろの二人へと振り返った。



「…………二人とも、絶対に勝つぞ」

「ああ、そうじゃの」

「もちろんです」


 俺の言葉に、ミコトとクロエが力強い頷きを返してくる。


 彼らの思惑は分かっている。


 けれど、だからと言って。この世界に死んでもいいプレイヤーなど誰ひとりとして存在はしていないはずだ。



                     ▽



 ギルドの彼らには厳しい場所なのかもしれないが、この辺りのモンスターは新宿に比べれば適正レベルも高く、レベルとステータスがあれば新宿よりもレベリングがしやすい。


 加えて、パーティが三人となったことで狩りによる経験値効率が単純に増え、共有化された経験値によって俺たちは短時間でありながらレベルを上げることが出来た。


 とはいえ、さすがに俺とミコト、クロエのレベル差は開きがある。


 そうなると、次のレベルに上がる経験値量もやはりと言うべきか変わってくるようで、ストーリークエストを受ける直前にまで行ったレベリングでは、俺とミコトはレベルが一つ、クロエは三つもレベルが上がっていた。



 浦野さんたちを待つ間、俺たちはステータスの割り振りを行う。



 俺はAGIに全てのSPを割り振り、STRと同じ数値にした。

 ミコトはAGIとDEFに割り振り、クロエはSTR、DEX、AGIに割り振ったようだが、その中でもSTRを重視した割り振りにしたようだ。


 俺たちは、このステータスで『緑の古王』に挑むこととなる。




 古賀 ユウマ  Lv:23→24 SP:10→0

 HP:134/134→138/138

 MP:57/57→60/60

 STR:70(+7)→71(+7)

 DEF:54(+5)→55(+6)

 DEX:52(+5)→53(+5)

 AGI:60(+6)→71(+7)

 INT:54(+5)→55(+6)

 VIT:54(+5)→55(+6)

 LUK:89(+9)→91(+9)

 所持スキル:未知の開拓者 曙光 星辰の英雄 夜目 雷走 集中強化 瞬間筋力増大 視覚強化 空間識強化 刀剣術 / 一閃

 種族同化率:29%




 柊 ミコト  Lv:22→23 SP:5→0

 HP:64/64→66/66

 MP:90/90

 STR:36→37

 DEF:35→38

 DEX:35→36

 AGI:45→49

 INT:90→92

 VIT:35→36

 LUK:40→41

 所持スキル:天の贈り物 回復 聖域展開 遅延 夜目 槍術





 クロエ・フォン・アルムホルト Lv16→19 SP:15→0

 HP:122/122→134/134

 MP:24/24→27/27

 STR:48→59

 DEF:61→67

 DEX:43→50

 AGI:54→60

 INT:26→29

 VIT:61→67

 LUK:45→48

 所持スキル:暗夜の支配者 吸血転化 身体変化 暗闇同化 夜目 免疫強化 格闘術 





 ステータスの割り振りが終わり、俺たちは浦野さんを待つ。


 昼間から降り続けていた雨は、いつしか止んでいた。

 それでも、空には分厚い曇天が広がっており、月明かりを遮っている。

 まるで新月のような暗闇を見て、俺は心の中で安堵する。


 月明りがあれば視界は確保できるが、それはモンスターも同じだ。

 これから大人数で移動するのであれば、出来るだけ闇に紛れたほうがいい。



「遅いですね」


 とミコトが呟いた。



 約束の十分が過ぎたが、浦野さんたちはまだ現れていない。

 俺たちは丸の内広場で待ちぼうけを食らっていた。



「準備に手間取ってるんじゃないか」


 と俺は言いながら、手元の地図から目を動かす。


 暇だったから、浦野さんから先程貰った地図を眺めていたのだ。

 すると、俺の手元の地図に気が付いたミコトが、横から地図を覗き込んできた。


「コレを覚えれば、【地図】スキルが取得できるんですか?」


「そうらしい。東京の地図じゃないが、【地図】スキルの取得条件が〝地図〟そのものを頭に入れることなら、どこの地図でも良いんだろうな」



【地図】スキルの取得条件は、地図を頭に入れること、という漠然とした条件だった。

 ひとまず、貰った地図を頭に叩き込むしかない。

 そう思って、俺は空いた時間で地図を覚えていた。


 ミコトは俺と同じ様に地図を真剣に眺めていたが、ちらりと俺に視線を向けた。


「ちなみに、ユウマさんは地図を覚えました?」

「まあ、なんとなくだけど。流石に細部までは覚えちゃいないが、だいたいの道とかは覚えたぞ」


「スキルはどうですか? ユウマさん、LUKが高いんですし、すぐに【地図】スキルを覚えそうですけど」


 ミコトに言われて、俺はステータス画面を確認してみる。


「……お、本当だ。【地図】スキルが出てる」


 そこに現れたスキルを見て、俺は声をあげた。

 さっそく、その効果を確認してみる。



 ≫【地図】

 ≫紙面上で地形を覚えたその者に送られる証。

 ≫スキルを発動することで、この世界の地形が目に見えて分かるようになる。



 簡素的な説明文だ。

 けれど、その効果はすでに浦野さんから聞いている。


 俺はさっそくスキルを発動してみた。


「【地図】」


 すると、スマホ画面上に自分を中心とした周囲の地形が表示される。

 道は白く、周囲の建物は灰色に、森は緑で水辺は青に色分けされたその地図は、検索エンジンで有名なあの会社の地図アプリにそっくりだった。


 俺はスマホ画面上に写った地図を見て、画面に触れてスライドしてみる。

 けれど、その画面は動くことがない。

 拡大や縮小を試してみるが、やはり画面は動かない。


 どうやら、【地図】スキルは自分を中心とした範囲の表示を変えることができないらしい。

 これまで街をぶらつき、分かった地形を考えればその効果は半径一キロと言ったところだろうか。



「……なるほど」


 と俺はスマホの画面を見ながら頷いた。


「どうしたんです? 【地図】スキルは使わないんですか?」


 とミコトが首を傾げてくる。



「使ってるよ。ほら」


 と俺はスマホの画面をミコトに向けた。


 ミコトは俺の画面へと目を向けると、不思議そうな顔をして首を傾げた。


「あの……? 私には、何も映っていない真っ暗な画面にしか見えませんが?」

「いや、ちゃんと映ってるだろ」


 言いながら、俺は自分のスマホ画面へと目を向ける。

 すると、そこにはちゃんと、この周囲の地図が明確に表示されていた。


「……もしかすると、【地図】スキルを発動させた者にしか見えないようになっているのかも知れぬの」


 とクロエが俺たちのやり取りを見ながら言った。



「私も地図を見るなら、【地図】スキルを発動しないと見れないということですか?」


「ユウマに見えて、お主に見えないということは、そうじゃないかと思う。ちなみに、我にもユウマが言っておる地図とやらは見えておらん」


 クロエはそう言って、喉を鳴らして笑う。



 これが地図機能なら全員の目に見えてもおかしくはないだろうが、これは地図()()()だ。スキルの発動者にしか地図が見えない、とそう言われれば納得が出来る。



「とりあえず、二人も【地図】スキルを覚えたらどうだ」


 そう言って、俺が地図をミコトに手渡したその時だ。



「――ぉおおおおおおおおおおお!!」


 東京駅の中から多くのプレイヤーの鬨の声が響く。



 何事かと目を向けると、ぞろぞろと東京駅からプレイヤーが出てきた。

 その中には、浦野さんの姿もある。

 浦野さんの手には、鉄塊と見間違う棍棒――おそらく、それが浦野さんの武器なのだろう――が握られていた。



 浦野さんは俺たちを見つけると、真剣な表情で言った。


「お待たせしました。準備が整いました。行きましょう」



 その言葉に、俺は二人の顔を見渡して、一度頷き口を開く。


「ああ、それじゃあクエストをクリアしに行こう」



 総プレイヤー四十名。

 たった一つのストーリークエストのクリアに向けた、レイド戦が始まる。






本編補足

 

 東京駅周囲のモンスターは適正レベル12~15ぐらいです。

 ギルドの彼らがレベル上げをする場合は、千代田区から新宿区へ向かうか、銀座など適正レベルの低いモンスターがいる場所で狩りを行っていました。

 

 明らかに自分たちのレベルよりも強いモンスターがいる東京駅に拠点を構えていたのは、増えすぎたギルドのプレイヤーを収容できる廃墟が、東京駅ぐらいしか彼らが見つけられなかったからです。背に腹は代えられないってやつですね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] クロエの吸血鬼は、レベルによる上昇値そのものは普通なんですね。吸血によるステアップは敵が強くなってきてからが本番かな。
[気になる点] ゆうまのレベルアップのラックは1しかあがらないのでしょうか? [一言] おもしろいですー!
[気になる点] 浦のん、それ死亡フラg・・・ いや、生存・・・? どっちだ・・・? [一言] 物覚え悪くてステータスは傾向しか見れない勢です。 INT50でスキル1つ習得とか無いし、細かい数値は今のと…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ