腐っているのは私です。
ご存知の方はご存知かと思いますが、私、一時期腐っている作品たちを量産しておりました。今は、全年齢向けの作品が多いですけど。
時々ほのかにそういった香りのするお話を書きます。おほほ。
なので、今回はそういった萌目線で水滸伝を眺めてみました。
「そんなの、ありえない。許せん!」
という方は、この先は読んではいけません。
(あ、でも全く色っぽくはないので、逆に期待されても困ります)
考えてもみてくださいよ。
水滸伝って、男ばっかりなんですよ。
少しは女性もいますけど。
先の居酒屋のドロンジョ様、張青の妻孫二娘だとか、美人でありながら騎兵も率いたという、姐さんの扈三娘とか。
でも、男性に比べたら雀の涙ほどの少なさなんです。
もうね、腐った方々に、妄想してくれと言わんばかりのキャスティングじゃあないですか。
私が今の所、一番萌える設定なのは、虎殺しの武松ですよ。
彼には兄がいるんです。
武松は身体が大きく、がっしり男前なんですが、お兄さんの武大は、150センチ位しか身長がなくて
「うそでしょ、二人って、兄弟だったんですか!?」
って、言われちゃうくらい似てないんです。
大酒飲みで正義感が強くて喧嘩っ早い弟の武松。優しくて、真面目で弟思いの兄武大。
……おそらく、腐っていると言われる貴腐人の方々は、この設定を聞いただけでご飯三杯はいけるはず……。
「お兄ちゃん、もうお腹いっぱいだから、お前が食べなよ」
なんて言いながら、武大はいつだって、自分は我慢してきたんです。武松のために。
だからこそ、チビで周りから馬鹿にされている兄のことを、武松は大好きなわけですよ。
本当に水滸伝の作者さん、ツボを良く知ってらっしゃる。
武松は役人としての仕事で二ヶ月ほど出張するんですけど、それだって腐ったフィルターを通すと
「美人の奥さんと暮らす兄を、そばで見ていられなかったのね!」
となってしまいそう。
しかし、その美人の奥さまがくわせものだった!
官能小説「金瓶梅」の主人公のひとりでもある潘金蓮そのひとです。(←水滸伝のスピンオフ作品ってウィキさんには書いてあった! 私は読んだことはないです)
夫である武大がまんじゅうを売っている間に、薬問屋の西門慶と浮気三昧の日々。それどころか、夫の弟の武松にまで色目を使う好きものです。
武松が出張に行く前に
「姉さん、どうか兄を大切にしてやってください」
なんて言ったものだから、逆に潘金蓮の怒りの炎を燃え上がらせてしまうのです。
「なんですって! 私が夫を大切にしてないとでも言うの? 夫のやつが告げ口したのね!」
です。
あれですよ。虐待していた人が、虐待を指摘されると、余計に暴力がひどくなるという現象です。今も昔も同じなんですね。
そして、武松が留守の間に、浮気相手西門慶と共謀して、武大を殺してしまうのです。
水滸伝には、登場人物の豪傑たちが落ちる瞬間というのがあります。
もともと悪い奴らも多いのですが、林冲や武松は、もとはと言うと正義感が強く、役人だったり体制側の人間だったりするのです。そういった人物が、絶望し、落ちる瞬間。それも水滸伝の魅力でしょう。
林冲ですと、自分を暗殺しようとした牢番人の心臓を、棒で一突きにした、その瞬間でしょう。
そして武松が落ちるのは、兄が殺されたのだと、知ったときでしょう。
「今日限りで仕事を辞める」
と職を辞し、武松は義姉と西門慶を斬り殺します。
まるでただの作り物のように転がる二つの首。
その首を兄の墓前に供え、自首する武松。このとき、兄とともに、武松の中にあった何かが、一緒に消えたのかもしれません。
そしてその後、人肉饅頭売の張青夫妻とめぐりあうのです。




