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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
死滅の森開拓&サルーン都市化計画編
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81話

「…何があったの?まさか美羽…。」


「マスターごめんなさーい!ボク暴走しちゃったみたーい!!」


「あー、やっぱり…。事情を聞く前に、先ずは藍火を回復させようか。」


「うん…。」


凛がそう言うと、美羽は泣きそうな表情で凛へ説明を行う。

凛はいつかこうなるだろうなとは思っていた為、藍火に対してもっときちんと美羽とは手合わせを行わない様にと説明しておけば良かったと後悔する。


凛と美羽はそう言った後、凛はごめんねと謝りながら両手に繋いだ少女達の手を離して少年を肩車から下ろし、美羽と一緒に藍火の治療を行った。




「ううっ、酷い目にあったっす…。」


「藍火ちゃん、ごめんね…?」


「美羽さん、あれを自分が対処するのはとてもじゃないけど無理っす…。」


回復を終えた藍火がそう言って頭を押さえながら体を起こし、正座の様な座り方をする。

美羽が藍火に謝ると、藍火は苦い顔をしながらそう言って首を横に振る。


そして藍火と美羽の2人は、凛に事の経緯の説明をし始める。




藍火は昨日デスグリズリーと戦った際、自分と同格の相手として実際に手足だけを部分的に龍へ戻して戦ってみようとするも、上手く戻す事が出来ずピンチにおちいっていた。

藍火はデスグリズリーの爪により頬や腕等全身に切り傷が増えてきた事で不味まずいと感じたが、直ぐに自分だけが足を引っ張る訳にいかないと言う考えへと切り替えた様だ。

訓練の時よりも集中力を高めた事で部分的に龍化する事を成功させ、更に手足に蒼い炎を纏わせた事で攻撃力を上げた事で右手でデスグリズリーの心臓部分を貫いて倒す事が出来た。


しかし訓練で部分龍化を行おうとすると10回に1回位の成功率だった為、藍火は緊急時だけでは無く普段から使える様になろうと考えていた。


今日は他の人達は魔法訓練部屋や他の訓練部屋へ向かって集団で訓練しており、この訓練部屋は藍火が1人で集中して訓練しようとしていたのもあってか1人だけだった。

藍火はあの時の感覚を思い出して再現しようとして訓練を行うも、中々思う様に上手くいかないのかやきもきしていた。


「やっほー藍火ちゃん♪調子はどう?」


そこへ美羽が藍火がいる訓練部屋へとやって来てそう言った。


藍火は美羽が素手で戦っているのを見た事は無いが、凛と訓練を行っている時によく足技を使っているのを見ていた。

それに美羽は凛の次に強い為、自分が強くなれるきっかけになるかも知れないと言う考えに至る。


「美羽さん!自分に指南して欲しいっす!」


「えぇ…?ボクは止めといた方が良いと思うんだけどな…。」


「そこを何とか頼むっす!自分今、本っっっ当に困ってるんすよ!」


「…分かったよ。それじゃ、軽くだけだからね?」


「助かるっす!」


藍火は美羽に指南して欲しいと頼んだ。(この時、凛が以前美羽と手合わせしない様に言っていた事を藍火は忘れていた。)

美羽は最初断ったのだが藍火がぐいぐいと頼み込んで来る事に根負けしたのか、渋々教える事になった。


美羽は自分が藍火へ軽く教えた後、そろそろ来るであろう凛と代わろうと思っていた。

しかし教えている内に、自分よりも格上である美羽と相手をしている事で藍火の調子が少しずつ出たのか、良い攻撃を繰り出す頻度が時間が経つに連れて上がって来た。

これに美羽も火が点いてしまったのか少しずつ本気になって行ってしまったのか、美羽がある程度本気になった所で少し俯いてしまう。


美羽は凛の次に素手での戦いが強い。

強いのだが何故か美羽は素手でのみ、訓練や戦いによって気分が高まってくると性格が変わるだけで無く、『暴走』してしまう様だ…。


その事を勿論知らない藍火はこれを好機(チャンス)と捉えたのか美羽の左頬へ向け右の拳を繰り出すのだが、美羽はそれを左手で滑らせる様にして払う。

藍火は今の攻撃が払われた事で少しムッとなるが、一旦距離を置こうと思ったのか少しバックステップを行って離れた。


そして藍火が少し離れた所で美羽を見てみると、美羽はまだ俯いたままだった。

しかししゅ、しゅ、と音を立てながら美羽の周りに無数の拳の残像らしき物が見えた為、藍火は見間違いだろうかと思ったのか目をごしごしとこすってみる。

そして目を擦った後に再度美羽を見てみると先程迄あった拳の残像らしき物が消えていた為、藍火は首を傾げて不思議そうにしていた。




「み………。」


「み?」


「みっうみうにしてやんよぉぉぉぉぉっ!!」


「なっ!?ちょっ!ぎゃああああぁぁぁ!!」


その後美羽は少し俯いたままで何かを呟いていた為、藍火は何だろうと思ったのかそう言ってゆっくりと前に歩き出そうとしていた。

しかし美羽がクワッと顔を上げたかと思うと、某ゴム人間のガ○リングの様にボボボボッと前方向に無数の拳を叩き出しながら、瞬時に藍火の目の前に迄距離を詰めて来た。

これに藍火は対処出来なかった様で、走って来た勢いをそのままにドガガガガと音を立てて一方的に美羽からぼっこぼこにされた事で悲鳴を上げた後、止めとばかりに殴り飛ばされて気を失ってしまったそうだ。




「僕がきちんと美羽の暴走の事を藍火に伝えていれば、こんな事にはならなかったよね。藍火、ゴメンよ…。」


「いやっ、自分が調子に乗っていたからバチが当たっただけっすよ!けど当分の間、訓練の相手は主様だけでお願いするっす…。」


「藍火ちゃん、本当にゴメン!」


凛が自分の説明不足で藍火がぼこぼこにされてしまったと思い、申し訳無さそうな表情で藍火へ頭を下げる。

藍火は両手を自身の前にやってそう言い、そう言いながらこちらも申し訳無さそうに頭を下げる。

美羽は両手を自身の前でパンッと合わせた後に藍火へ向けて深く謝罪した事で、3人揃って頭を下げると言う不思議な光景となった。


因みに美羽が我に返った時、藍火は今の体勢でピクピクと小さく動きながら白目を向いて気絶していた為慌てて回復に向かったとの事。




その後凛は藍火には手足を龍に戻す訓練、少年へは手を人間の物に近い状態にしつつ蜘蛛の爪の鋭さを持ち合わせる訓練、少女2人には肘から先をソードビーの剣状の爪に戻す訓練を中心に行う。

ポイズンスパイダーは爪の他に糸や毒を使う事が出来るし、ソードビーは背中の羽も刃状の物で出来ている為か相手と擦れ違うだけで細切れに出来るそうだ。


しかし糸は兎も角他の毒等は解体の妨げになる為、凛はピンチの時以外は使わない方が良いと判断し、少年少女達に糸以外は極力使わない様に伝える。

少年少女達はこれに二つ返事で了承した為、凛は分かってくれてありがとうと言う意味を込めて彼らの頭を撫でる。


「マスター。その子達ばかりじゃ無く、ボクの事も撫でて欲しいなー?」


「あ、それなら自分もお願いするっす。何となくいたわって欲しい気分っす。」


「…分かった、2人がそう言うのなら撫でさせて貰うね。(僕よりも身長が高い人の頭を撫でるってどうなんだろう…。)」


「「えへへ(っす)…。」」


「(まぁでも2人共嬉しそうにしているみたいだし、良しとするか。)」


それを羨ましそうに美羽と藍火の2人が見ており、揃っておねだりをされた為凛はそう思いながら2人の頭を撫でる事に。

凛は内心複雑だったが、2人の嬉しそうな表情を見てそう思う事にした。


その後午前9時半頃まで訓練を行い、凛達はサルーンへと向かう。




「まもなく2日目の試食・試飲会が始まりますが、その前にお知らせです!以前約束した森林龍の肉のバーベキューを明日の正午から行いますので、参加出来る方は是非いらして下さい!」


『うぉぉぉぉぉぉ!!』


そして10時から始まる試食・試飲会を前に、凛は会場に集まった人達へ向けて大声でそう伝えると、参加者達からは大歓声が起きる。

その後始まった試食・試飲会をエルマとイルマを加えて無事に終わらせ、テーブル等を含めた片付けを全て済ませた後に皆で屋敷へと戻る。


「明日は同じ場所で試食・試飲会では無く、バーベキューと言う物を行います。しかし料理組とニーナさんコーラルさんを含めた10人で行う予定にしていますので、参加される方々を分散させ易いと思います。それとそれぞれ何人かで固まって作業して貰いますが、手が足りない所等があれば僕がフォローに入りますのでご安心下さいね。」


凛は晩御飯が始まる前に皆へ向けてそう伝える。

ニーナは明日のバーベキューも肉を焼く側に回ると思っていたので特に驚きはしなかったが、コーラルは予想外だったのかえっ、私も焼くの?と言いたそうな顔で凛を見ていたりする。


そして晩御飯が終わった後に凛は湖へと向かい、1体ずつシーサーペントの頭へ触れてゆっくりと人化スキルを施して1日を終えるのだった。

藍火は美羽によりみっ○み○にされましたw

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