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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
死滅の森開拓&サルーン都市化計画編
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80話 16日目

「今日は試食・試飲会を手伝って頂き、本当にありがとうございました。ですが済みません、明日も試食・試飲会がありますのでそのお手伝いを宜しくお願いしますね。」


昨日程では無いものの、いつもより少し遅めの夕食を摂る前に凛がそう言った事で夕食が始まる。




「あ、そうそう。紅葉には軽く伝えたんだけど、紅葉達5人が夜営をする時用に使って欲しいと思ってポータブルハウス(携帯用の家)と言う建物を作ったんだ。」


そして夕食を始めて少しした頃、凛が皆に向けてそう言った。


凛が用意したポータブルハウスには、入口から入って直ぐの所にあるダイニングとキッチンがセットになった15畳程の部屋と6畳程の浴室、それと浴室と同じ6畳程の個室を5つ設けている。

更にそれとは別に、既にポータルの設置が済んでいる部屋を用意している。


ポータブルハウスは6畳程の大きさの倉庫の様に見える建物となっているが、建物内部を空間拡張で広げてあるので見た目に反してかなり広く感じる。


「凛様、私達の為に申し訳ありません…。」


「紅葉達は大事な家族だからね。僕が紅葉達に使って欲しくて用意したから気にしなくて大丈夫だよ。無限収納やポータブルハウスの中に、これから王都に向けて役立ちそうな物を入れておいたからね。それとポータブルハウスの中にあるポータルで屋敷へ戻る事が出来るんだ。屋敷に用事があったりとか、朝食後の訓練に参加する用に移動するって感じで使ってね。」


「畏まりました。」


凛が紅葉達へポータブルハウスについての説明や使い方を伝え終えると、紅葉はそう言って凛に頭を下げる。

凛は笑顔でそう伝えると、紅葉も笑顔で答えた。


「4人共折角領地へ来て貰ったのに、全然相手出来なくてごめんね…。」


「ううん、凛様いつも忙しそうにしてる…。だから仕方無い。」


「「…。(こくこく)」」


「私は普段湖で泳いでいから気にしてないわ。私はここのご飯が良いけど、他の仲間は魔物が湖に水を飲みにやって来た所を狙って餌にしてるみたいだしね。」


「ありがとう。もう少し余裕が出来たら埋め合わせをさせて貰うね。」


凛は夕食を摂りながら、ポイズンスパイダーの少年とソードビーの少女2人、それとシーサーペントの女性へ向けて申し訳無さそうな表情でそう伝える。


それに対して少年は首を左右に振った後に凛へ向けてそう言い、少女2人が頷く。

そして女性はあっけらかんとした表情でそう言った事で凛は安堵したのか、苦笑いを浮かべてそう返事をする。




夕食後、凛は美羽、火燐、雫、翡翠、楓、エルマ、イルマ、紅葉、暁、旭、月夜、小夜を自室に呼んだ。


「明日からいなくなる紅葉達みたいに、今後は僕と別行動を取る場合があると思うんだ。丁度良い機会だから、来て貰った皆にポータルを出す権利と、サーチって言うのを使う権利を与えるね。」


『…?』


「ポータルはいつも見てるから分かると思うんだけど、サーチに関しては皆に言った事が無かったもんね。サーチって言うのはね…。」


凛は自室に来て貰った美羽達にそう伝える。

美羽達はポータルに関しては凛が出し入れをしているのを見ていた為分かっていたが、サーチの事は初耳だったからか互いを見て尋ねたり、首を傾げたりしていた。


凛はそう言った後、美羽達にサーチを展開すると自分を中心として(現在は)半径30キロ位迄ならその範囲内にいる存在が分かる様になる事、青や赤等の色が違うマーカーについての意味を説明する。


「紅葉達はこれから王都へ向かうからさ、夜営の時にも役立つかなって思ったんだ。それにサーチを展開した時に野盗が近くにいたら直ぐに対処出来るだろうしね。ここにいる皆は実力も責任感も強いからポータルとサーチを任せる事にしたんだ。皆、これからも宜しく頼むね。」


「ああ!」


『はい!』


凛はサーチの説明を終えて皆へそう伝えると、皆は嬉しそうに返事した後に凛へ向けて頭を下げる。




16日目 午前5時50分頃


凛と紅葉達はいつもより早く起き、無限収納内にある物で既に朝食を済ませる等して王都へ向かう為の準備をしていた。


「美羽、僕はこれから紅葉達を見送りに行って来るね。7時迄には戻って来るつもりだけど、もしそれ迄に戻って来なかった時は朝食後の訓練の行き来を美羽にお願いするよ。」


「はーい♪マスター、行ってらっしゃーい!」


そして凛は起きて来た後にキッチンで料理をしている美羽へそう伝えると、美羽は右手にお玉を持った状態で元気良くぶんぶんと振りながら返事する。

凛は紅葉達と一緒に美羽へ手を振った後にサルーンへと向かう事に。


凛達は屋敷からサルーンの冒険者ギルドへ移動し、酒場にいるベータと軽く話をする。

その後20分程移動に時間を使い、凛達は6時30分頃に北門に着く。

するとそこにはオズワルドとは別に、初めて見る少し小太りの体をした30代後半位の男性の商人と縦、横、高さが2メートル位の大きさの馬車とそれを引く2頭の馬がいた。


「お二人共おはようございます。」


「ホズミ様おはようございます。この者はエミリオと申しまして、こちらの馬車の御者も兼ねた商人です。」


「初めまして、エミリオと申します。王都迄の間ではありますが、これから宜しくお願いします。」


「「宜しくお願い(致)します。」」


「オズワルドさん、そちらにある袋は…?」


「こちらの袋はですね、中にこれから王都へ運ぶ予定の物が纏められております。」


「分かりました、こちらで預からせて頂きますね。紅葉、お願い。」


「畏まりました。」


凛達は2人に挨拶した後にオズワルドが商人のエミリオについて紹介を行うと、エミリオは自己紹介をした後に頭を下げる。

凛と紅葉がそう言って頭を下げ、暁達も一拍遅れてお辞儀する。


その後凛は複数の大きな袋状の物へ視線を送りながら尋ねると、オズワルドが複数の袋についての説明を行う。

凛は紅葉へ促し、袋を無限収納に直して貰った。

そしてそのままゴーガン達を待つと、集合時間の5分前に2人がやって来た。

凛達は先程と同様にゴーガンとルルへ挨拶を行う。




「ゴーガンさん達が来る前に紅葉が王都迄運ぶ予定の物を預からせて頂きました。馬車に積む予定の物がない分早く進むので、恐らくですが10日位で着くんじゃないかと思います。それと簡単な造りではありますが、紅葉達に家を与えてますので夜はそちらで休ませますね。」


「「「「…家?」」」」


「説明だと難しいので実物をお見せしますね。このまま一緒にサルーンから外へ出ましょうか。」


凛がゴーガン達へそう伝えるとゴーガン達は10日で着く事に喜ぶが、家を与えると言う意味が分からなかった様だ。

凛は軽くにこりと笑いながらそう言った後、皆を連れて北門から外へ出る。


「紅葉。」


「はい、こちらでございます。」


「見た目はこの大きさですが、中は空間拡張で広げてあるのでそこそこ広いんですよ。」


「「「………。」」」


「…はぁ。」


凛は街から少し離れた所で土魔法で土台を作り、紅葉へ促して土台の上にポータブルハウスを出して貰った。

凛はポータブルハウスを左手で指し示しながら説明すると、オズワルド、商人、ルルの3人はポータブルハウスを見て固まってしまう。

ゴーガンは何度も驚かされていたからか、またやらかしてくれたんだねと言いたそうな表情で溜め息をつきながら凛を見ている。


「宜しければ家の中を案内しましょうか?」


「…いや、止めとこうかな。空間拡張と言う言葉を初めて聞いたけど、多分凛君の家と同じ様な造りになっていると予想がつくんだよね。僕だけじゃ無く皆もだけど、建物の中を見たら外で休めなくなってしまうだろうから見る事を禁止させて貰うよ。」


「えっ!?」


「…。(ぶんぶん)」


「…。(しゅん)」


凛は皆の方を向いて尋ねるが、ゴーガンが首を横に振って答えた。

ルルはこの流れで中を見ないの?と言いたそうな、信じられない物を見た様な表情でゴーガンを見る。

ゴーガンはそれに気付いてルルの方を向いて首を横に振ると、ルルはそれを見て項垂れてしまう。




その後、凛はそのままその場で馬車に乗り込んだ皆を見送ってから使い捨てのポータルを使い屋敷へと戻る。

凛はそのまま領地の南にある湖へと向かうと、女性を含めたシーサーペント達が楽しそうに泳いでいた。


「(今晩から明日にかけて人化スキルで貴方(がた)を人間にした後、強くなる為に訓練や討伐を行って貰いますね。)」


『(…!)』


「(皆さんへの人化スキルはあの子と違ってゆっくり行います。ですので痛みはほとんど感じないのでご安心下さい。)」


「(…それなら構わない。)」


「(ワイバーンが進化したら火竜になる様に、貴方方(シーサーペント)が進化したら水竜とかになりそうですよね。)」


『(…!)』


凛はシーサーペント達に念話でそう説明すると、シーサーペント達はビクッと体を強張らせて何か言いたそうな表情をする。

しかし続けて凛がそう伝えた事でシーサーペント達は安堵したのか、一転してそう答えた。


凛が笑顔でそう伝えると、シーサーペント達は水竜に憧れがあるのか少しやる気になった様だ。




その後凛は湖から離れ、領地を見て回りながら皆へ挨拶する。

最後に屋敷へ入ると朝食を終えたからか、ダイニングにあるソファーでまったりとしている少年達3人がいた。


「僕はこれから訓練に向かうけど、良ければ君達も一緒に行くかい?」


「…?凛様に付いて行く。」


「「…。(こくこく)」」


「分かった、それじゃ一緒に行こうか。」


凛は3人に尋ねると、少年達は訓練の意味が分からなかった様だ。

しかしそれでも凛と一緒にいたいらしく、少年が答えた後に少女2人が頷く。


凛はそう言った後に少年を肩車にして乗せ、左右の手を少女達と繋いで訓練部屋へ向かう。


「あれ?藍火が倒れてる…。」


凛は少年少女達と一緒に訓練部屋に入ると、そこには藍火がぼろぼろの状態でうつ伏せのまま倒れていた。

そして美羽が慌てた表情で藍火の背中に回復魔法を当てているのだった。

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