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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
死滅の森開拓&サルーン都市化計画編
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76話 15日目

15日目


「「「(じー…)」」」


「3人共、おはよう。」


「「「…!」」」


凛達はキッチンで朝食の用意をしていると、その途中で3人の見慣れない少年少女達が凛達の様子を見ていた。

その事に気付いた凛は彼らへ向けて挨拶を行うが、男の子達は近くの壁に隠れてしまう。


「「「(お、おはよ…)」」」


「そこにいたままだと疲れるでしょ?ここ(キッチン)の前のカウンターに椅子があるから座って大丈夫だよ。こっちへおいで。」


「「………。」」


「うん。良く出来ました!」


「「えへへ…。」」


そして男の子達は再び顔を出し、恥ずかしそうにしながら挨拶を行う。

凛は笑顔で手招きをしながら言うと、先ずは双子の様に似ている姉妹が凛の元へとやって来る。

凛は褒めながら2人の頭を撫でると、女の子達はくすぐったそうにしながらも喜んでいた。




「………(良いなぁ)。」


「ほら、君もこっちへおいで。」


男の子は物陰からその様子を羨ましそうに見ていた。

凛は男の子を自分の所へ招くと、男の子はおずおずとしながらも凛の元へとやって来た。

凛は先程の女の子達と同じ様に、男の子の頭を撫でるとこちらも嬉しそうにする。


どうやら3人共裸の様なので、凛は取り敢えず男の子に白いシャツとベージュの半ズボン、女の子には白いワンピースを着て貰う事にした。


男の子は凛が人化スキルを施したポイズンスパイダーで、紫色の少しボサボサした髪型の男の子になっていた。

年の頃は8歳位。雫と同様にやや眠たそうな表情をしている。


双子の姉妹の様に似ている少女達は本当に双子の姉妹のソードビーだった様だ。

片方の少女が髪色が黄色で瞳は黒、

もう片方の少女は髪色が黒で瞳は黄色だった。

年の頃は9歳位。どちらも肩にかかる位の髪の長さだ。




「ガイウスさん、ゴーガンさん、おはようございます。」


「凛殿、おはよう。無事に戻って来たのだな。」


「凛君、おはよう。凛君達の事だから大丈夫だと思ってはいるんだけど、死滅の森の情報が少ないからかどうしても心配になるんだよ。とは言え凛君達が無事で良かった。」


そして朝食が大分出来上がって来た所で、ガイウスとゴーガンの2人がやって来た。

凛が屋敷の入口でガイウス達を挨拶して迎えると、彼らはそう言いながら凛が無事に死滅の森中層から戻って来た事を喜ぶ。


「少し予想外ではありましたが、今回の戦闘で成長したからか出来る事が増えたんですよ。」


「凛殿が成長する位の魔物となると、以前の様な森林龍みたいな魔物なのか?」


「僕が倒したのはアダマンタートルと、ベヒーモスと言う魔物ですね。」


「「何ーーーーっ!?」」


そして凛が2人へ向けてそう言うと、ゴーガンからそう尋ねられる。

凛はその様にして答えると、2人は屋敷の入口で叫びながら盛大にずっこけた。




「ベヒーモスは非常に危険な魔物でね。魔銀級の冒険者でもベヒーモスに遭遇したら生きて戻って来なかったと、昔の記録に書かれているんだ。凛君は無事に帰って来たけど、ベヒーモスは災厄と恐れられる位有名な魔物なんだよ。」


「そうだったんですね。」


凛は朝食の前に湖にいる女性へ念話で呼び、ガイウス、ゴーガン、少年少女、それと女性も一緒に朝食を摂っていた。

その際に凛はゴーガンからベヒーモスについての説明を受けると、凛は複雑そうな表情で返事する。


その後凛はガイウスとゴーガンへ女性と少年少女がここにいる経緯を話した後、女性は急いで人化スキルを施したので痛みに苦しむ事になったが、少年少女は一晩かけてゆっくり人化スキルを施した為痛みはほとんど無いまま人間へなれた事を説明する。


「ちょっと!何で私の時はそうしなかったのよ!私は痛い思いをしたのに、この子達は痛みが無いなんて狡いわよ!」


「あの時貴方達は僕の話を聞こうとしませんでしたし、ベヒーモスがこちらへ向かって来ると言う非常事態でもありました。それに、この子達も貴方と同じ様に痛い思いをさせるのは可哀想ですよ。」


「うっ…そうよね。あの痛みをこの子達に受けさせるのは流石に可哀想だと思うわ、ごめんなさい…。非常事態…そうか!貴方達が来なかったら、私達は昨日の内にベヒーモスに食べられていたかも知れないのね。」


「ベヒーモスはそう遠くない位置にいましたし、その可能性もあったかも知れませんね。」


「そう…。」


「とは言え、僕ももう少し考えて行動すればと反省しています。お詫びと言ってはなんですが、昨日飲ませた果物の味がする水を沢山差し上げます。それで許しては貰えませんか?」


「(昨日の水が沢山…!)し、仕方ないわね。それで許してあげるわ!」


『(この人(こいつ)簡単に丸め込まれたな(チョロいな)…。)』


しかし女性は説明が不服だったからか、憤慨した様子で凛へそう叫ぶ。

凛は両側にいる少女達の頭を撫でながら言うと、女性は言葉に詰まった後に凛へ謝罪する。


凛は少し申し訳無さそうにして言うと、女性はそう言いながらも凛から飲ませて貰った水が気に入ったのか口元がにやけていた。

その様子を見てこの場にいたほとんどの人が内心思っていたが、呆れていた部分もあった為口に出さなかった。




凛達は少し早目に朝食を済ませた後に軽い準備を行い、ポータルを潜って再び森の中層にある湖へとやって来た。


ガイウスとゴーガンの訓練は、一先(ひとま)ず火燐が残って相手してくれる事となった。

火燐は炎の精から進化こそしていないが、もう直ぐ魔銀級の強さになろうとしている事を2人へ伝えると充分だと言われる。


「ガイウスさん、ゴーガンさん。僕達はこれから、昨日の様に死滅の森中層へ行って来ます。午前9時頃になったら街へ向かいますので、その際に商業ギルドへ向かってベヒーモスを討伐した事を伝えようと思っています。それと10時からの試食・試飲会なのですが、非常に混雑するかと思われます。警備にお願いして希望者の案内や整理をして頂けるとありがたいのですが…。」


「商業ギルドの件は、訓練が終わったら僕が向かう事にするよ。凛君は少しでも時間に余裕が欲しいだろうからね。」


「それなら俺はアルフォンスへ伝えておこう。」


「お二人共、ありがとうございます。」


そして凛は訓練に向かおうとするガイウスとゴーガンへそう伝えると、2人は了承する。

それを聞いて凛は安心したのかお礼を言うと、2人は軽く頷いて訓練へと向かって行った。




『…!』


「皆ー。あまり時間も無いし、散策を始めるよー。」


エルマ達5人は昨日の火燐達と同様に、いつもの森と雰囲気が異なるからか辺りを警戒しながらきょろきょろと見回していた。

エルマ達は凛に促され、森の探索を始める。




「やったー!まさか今日中に進化出来るなんて思わなかったよー!」


「良かったね、エルマちゃん!」


凛達は1時間半程探索を行い、エルマとイルマが進化出来る様になった。

エルマとイルマはそう言って互いに手を繋いで喜び合う。




「はっはっはっはっ…。あ、危なかったっす…。」


藍火は肘から先、それから膝から先を人ではなく龍の状態へと変えて殴る、蹴る等して戦っていた。

しかしまだ部分的に龍へと変えてからの動き方や、魔力による身体強化が上手くいってないのか、先程も自分に近い強さのデスグリズリーを相手に苦労しながら戦っていた。

周りから見ていて少々危なっかしかったが、最後は蒼い炎を纏わせた右手の爪でデスグリズリーの心臓部分を貫いて倒した。


藍火は危なげに倒した事で少し過呼吸気味になるが、そう言った後に少しずつ落ち着きを取り戻していく。




「ははは!これは楽しいな!」


篝は新しい刀(炎刀・焔)に炎を纏わせて戦うのが気に入った様だ。


「行け!あ、しまった…。」


「篝ーっ!炎を扱う時は周りを良く見てから使って!」


「済まない…。」


ただ、篝は少し調子に乗って刀に炎を纏わせた飛ぶ斬撃をアイアンアント数匹に向けて飛ばしてしまい、勢い余ってアイアンアントだけでは無く森の木迄斬ってしまう。

そして火力が高かった為か木が燃え始めてしまい、消火した凛によって軽く怒られる事になる。




「翡翠ちゃん程じゃ無いけどぉ、私も結構上手く扱える様になれたわぁ~♪」


リーリアはハイエルフに進化した事で風の精霊との親和性が高まった様だ。

ある程度離れた位置なら風を纏わせた矢を放った後、その矢を自在に操れる様になった。


先程も正面から真っ直ぐ頭へ放った矢をキラースコーピオンに避けられてしまうが、直ぐに矢を操作してキラースコーピオンの頭上から落として倒す事に成功している。

その後、リーリアと風の精霊はいえーいと言いながらハイタッチをしていた。


「(最初は美羽以外の戦闘組は中層に対してどうなる事かと思っていたけど、しっかりと対処すれば中層でもなんとかなりそうだね。)」


凛はエルマ達が喜びあっている様子を見て、内心安堵していた。




午前9時前になった為凛達は屋敷へと戻ると、紅葉だけ先に進化が済んでいたのか屋敷の前で待っていた。

紅葉はどうやら魔銀級の強さを持つ鬼姫へと進化した様だ。

進化した事により背丈が変わると言う事は無かったが、姫の名に相応ふさわしく可愛さに更に磨きが掛かっており、頭に生えた2本の角も少しだけ伸びていた。


「私は特殊(ユニーク個体)な為か、魔銀級の鬼姫となりましても進化が可能の様でございます。ですが私が目覚めた後も暁達が起きなかった事を考えますと、恐らく次の進化が最後になるかも知れませんね…。」


「そうなんだ。暁達もそうだけど、紅葉も鬼姫からどう進化するのか楽しみだね。」


「はい!」


「とは言え、暁達は進化が終わるのに暫く時間が掛かるかも知れないんだね。紅葉、進化したばかりで悪いんだけど、今後の事を含めての打ち合わせをしても良いかな?」


「勿論でございます。」


紅葉は凛へそう伝えると、凛は笑顔で紅葉に答える。

紅葉はにこりと笑って返事を行い、凛がそう言った後に紅葉へ尋ねて了承を得る。


その後エルマとイルマは進化に備えて自室へと向かい、藍火と篝とリーリアはまだ動き足り無かったのか訓練部屋へと向かう。

凛は紅葉とこれから王都へ向かうに当たっての打ち合わせを少しだけした所で9時前になった。


火燐達は10時前まで一旦休んで貰い、凛、美羽、紅葉の3人は街へと向かうのだった。

ポイズンスパイダーの男の子が自分も頭を撫でて欲しそうにこちらを見ている…。


男の子の頭も撫でますか?


はい ←

いいえ


ここでも書いてみるw

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