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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
死滅の森開拓&サルーン都市化計画編
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74話

凛はベヒーモスを無限収納へと直し、皆がいる湖へと飛んで向かう。

そして凛が湖へ戻ると、皆は既に戦闘や収納が終わっていたのか1ヵ所に集まっていた。


しかしそこでは大学生位に見える水色の髪を腰まで伸ばした裸の女性が美羽達へ向け、何やら叫んでいる様に見える。

美羽が苦笑いを浮かべながら、叫ぶ女性をひたすら宥めていた。


因みに暁と旭の2人は、直ぐ横で紅葉と月夜が自分達を睨んでいるからか、女性の方では無く後ろを向いていた。




「ちょっと貴方!助けてくれるんじゃなかったの!?さっきので私、本当に死ぬかと思ったんだからね!!」


「まあまあ。取り敢えずこれでも飲んで、落ち着いて下さい。」


「こんな変な容器に入った水で私が誤魔化せると…美味しいわねこれ。」


凛が美羽の近くに着地すると、女性が今度は凛の方へと向いて文句を言い始める。

凛は無限収納から少し桃の味がする水が入ったペットボトルを出し、ペットボトルの蓋を開けて女性へと渡す。


女性は湖の水と同じ物だと思っていたが、予想に反して甘く美味しかったからか一気に飲み干した。

そして女性は凛へ他に無いかを尋ね、凛は今度は蜜柑の味がする水のペットボトルを無限収納から出して女性へと渡す。


「さっきとは違う味だけど、これも悪くないわね。」


女性はそう言って、凛が新たに渡した水も一気に飲み干す。




「さっきは急いでいたとは言え、貴女に苦しい思いをさせてしまいましたね。ごめんなさい。」


「…もう良いわよ。それより無事に戻って来たって事はベヒーモスを倒したのよね。貴方って見かけによらず凄く強いのね!」


凛は美羽に白いワンピースを渡して女性に着せて貰った後、苦しい思いをさせてしまった事に対し女性へと頭を下げる。

女性はかなり痛い思いをしたものの、もう済んだ事と言うのもあるし意外と今の状況(人間になった事)も悪くないと思った様だ。

そして女性は凛がベヒーモスを倒した事で興味を持つ。




「ありがとうございます。それでなんですけど、貴方の後ろからこちらの様子を見ているシーサーペント達とは会話が出来るのでしょうか?」


「ん?…貴方達、私の言う事は分かる?」


「(ああ、伝わっている。あの人間の言葉は全く伝わらないのに、お前の言葉は分かると言うのは不思議なものだがな。先程迄あの人間と話をしていたのだろう?)」


「そうなの?私は貴方達と話すみたいにしてあの人間と話しているのだけれど…。」


凛は女性にお礼を言った後、後ろで黙って見ているシーサーペント達を見ながら尋ねた。

女性は軽く疑問を浮かべ、後ろを振り向いて仲間達と会話を始める。

女性は普通に凛達と同じ様にして話すが、シーサーペント達はきゅいきゅいと可愛らしい声で鳴く。

女性とシーサーペント達の会話のやり取りは、その後も軽く続いていた。




「私は何故かこのままの姿でも仲間と会話が出来るみたいね。」


「んー、同じ種族で伝わる何かがあるのかも知れませんね…。それでは改めて尋ねますが、貴方を含めた皆さんで僕が住んでる所へと来ては貰えないでしょうか?」


「皆でこの人間の住んでる所へ来ないか、ですって。」


『………。』


「なんだかんだでこの人間のおかげで死なずに済んだし、私は行こうと思うわ。」


「(…そうか。お前が行くのであれば、我等も付いて行かねばならないな。)」


女性は凛へそう伝え、凛は女性も含めたシーサーペント達に改めて尋ねる。

女性は仲間へ伝えるとシーサーペント達はお互いに見合ってどうする?と言いたそうな表情で互いを見合う。

しかし女性がそう言った事で他のシーサーペント達も着いて行く事になった。




「紅葉達はこれ迄の戦闘で進化出来る様になれたかな?」


「私は出来る様になりました。」


「紅葉様に同じく、俺も進化出来る様になりました。」


「俺もですね。」


「…凛様、申し訳ありません。私はまだの様です。金級の魔物を数体倒したら進化出来るとは思うのですが…。」


「凛様ごめんなさい、私も…。」


凛は紅葉達の方を向いて尋ねると、紅葉、暁、旭の3人は頷いて答える。

しかし月夜と小夜の2人は申し訳無さそうな表情でそう答える。




「(あ、そう言えば湖を作ろうにも、今は領地の周りは切り株で一杯になっちゃってるんだったっけ。このまま月夜と小夜が進化出来る迄、シーサーペントさん達をここで待たせるのも悪いよね。これからはシーサーペントさん達が仲間になるんだし、領地の南側にここと同じ様な湖を作ろうか。僕達が西側と東側にある切り株を回収している間、月夜と小夜を中心に南側の間引きをして貰えばタイミング的に丁度良くなるかも知れないね。)」


凛はここ最近、アルファ(1番機)に領地を守りつつ屋敷を中心として北以外の西、南、東の3方向へと森を切り開く様に頼んでいた。

アルファは魔力を込めた大剣を用いて森の木を伐採し、現在は北以外の方向へ毎日50メートルずつ拓いている。


凛は領地の端が切り株だらけの状態になっている事を思い出し、領地の南側に湖を作りながら紅葉達に魔物を間引いて貰う事を決める。




「僕達が住んでいる所を拓いてここよりも大きな湖を作り、そこへシーサーペントさん達に住んで貰おうと思う。湖は領地の南側に用意したいんだけど、その場所は現在切り株だらけだし近くには魔物もいるんだ。僕達は領地の西側と東側の切り株の回収を終えたら、そのまま南側へ向かおうと思う。紅葉達は先に領地の南側へ向かって魔物の間引きをして欲しいんだけど、今回はもう少しで進化しそうな月夜と小夜を中心でお願い。紅葉、暁、旭の3人は月夜と小夜のフォローをしつつ、周りの木を伐採して欲しいんだけど頼めるかな?」


「「「分かりました。」」」


「「凛様、ありがとうございます。」」


凛が紅葉達へそう伝えると、紅葉、暁、旭の3人は頷き、月夜と小夜の2人は頭を下げる。

その後凛は湖の傍に先程と同様に頑丈な倉庫の様な建物を建て、建物の中へ入りポータルを設置する。


「僕達はこれから湖の用意をする為、住んでいる所へ一旦帰ろうと思います。貴方はここで皆と一緒に待っていますか?」


「折角この姿になれたのに、このままここで待っているだけなんて詰まらないわよ。それに貴方達がやろうとしている事を仲間へ伝えたいから、私も一緒に行くわ!」


「分かりました。(んー、さっき美羽達が魔物の討伐をしてくれたおかげか、この辺りには弱い魔物しかいないみたいだね。これなら大丈夫そうかな。)…それじゃ行きましょうか。」


凛は女性へ尋ねると、女性はさう言って付いて行く事が決まる。

凛は念の為にサーチで周囲を確認すると、湖から1キロ位迄離れた所なら魔物は数える程しかおらず、来たとしてもシーサーペント達だけで充分対処出来ると判断する。

凛はそう言って女性と一緒にポータルで領地へと向かう。




「皆。休んでる所悪いんだけど、今から領地の周りの木を伐採するから手伝って欲しいんだ。」


凛は領地へ戻った後、屋敷にいるエルマ、イルマ、藍火、リーリア、篝へそう頼んだ。

エルマ達は了承し、火燐、雫、翡翠と共に領地の南側の木を1本ずつ武器や魔法を使い、木を切断しては無限収納へと直して行く。

凛、美羽、楓はそれらを含めた切り株を地面ごと掘り起こし、余分な土を軽く落としてからこちらも無限収納へと直す。

紅葉達は領地から少し南に離れた所にて、月夜と小夜を中心に魔物達の討伐を行っては森を拓く。


凛達はそうした作業を1時間程繰り返す。

そして横長ではあるが、湖を作るのに充分な場所が用意出来た。

凛は美羽と楓と共に一帯の地面を土魔法で掘り起こしたり、削ったりした後に固める。

そこへ雫を加えて水を満たし、作業を始めてから30分程で湖が完成した。


女性は凛達が行っている作業をずっと見ており、あまり時間を掛けずに湖が出来上がった事でおぉー!と感心していた。





「これで湖が完成となりましたが、貴方から見て出来はどうでしょうか?」


「…そうね。問題無いと思うわ。」


凛は湖を完成させた後に後ろを振り向いて女性へ尋ね、女性は少しの間湖の周りや中を見て回る。

やがて女性は湖に満足したのか、凛の方を向いてそう答える。


その後凛達はシーサーペント達を迎えに行き、新しい湖へと案内したのだった。

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