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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
死滅の森開拓&サルーン都市化計画編
75/594

72話

凛と美羽の2人は森の中層上空へと辿たどり着き、魔物がいない場所を見付けて森の中へと降り立った。


そして今後もこの場所へ来るだろうと言う意見になり、2人は協力して小さな倉庫の様な形をした建物を建てる。

その新しく立てた建物の外壁は、以前森林龍が体当たりしていた時よりも頑丈に出来ている。

凛は建物が完成した後に建物の中へと入り、ポータルの設置を行う。


その後、凛は美羽に火燐、雫、翡翠、楓の4人と、今回の主役である紅葉、暁、旭、月夜、小夜の5人を呼ぶ様に伝える。

呼ばなかったメンバーは、今回は時間が無かった為また今度と言う事になった。




「マスター、火燐ちゃん達を連れて来たよー♪」


『………。』


「皆。真剣になってくれてるのはありがたいんだけど、あまり時間も無いし森の中を進もうか。」


『…!……。(こくり)』


美羽は元気良くそう言って、ポータルから火燐達を連れて来た。

火燐達は森の雰囲気がいつもと違うと分かった為か、少し緊張した様子で辺りをキョロキョロと見回し始める。

凛は皆にそう伝えると皆はっと我に返って頷き、先頭を進む凛に続いて歩き出す。


凛達が現在いる死滅の森の中層は、金級の魔物は当たり前の様に出て少しの頻度で魔銀級の魔物も出て来る様になる。

以前凛が討伐した森林龍も本来なら、これから進むであろう中層にいた筈の魔物だった。


「多分無いとは思うんだけど、魔銀級上位や神輝金級の強さを持った魔物が急に出て来るかも知れない。皆、僕から離れ過ぎない様に頼むね?」


「…。(こくり)」


凛は集中して辺りを見ている皆へそう伝え、皆も頷いて答えた。




凛達が移動を始めて直ぐに、全長1メートルの大きさで紫陽花あじさいの様な鮮やかな紫色の体をした蜘蛛くもの魔物が現れた。

その蜘蛛は銀級の強さでポイズンスパイダーと言う、毒を持った魔物の様だ。

どうやらポイズンスパイダーは単体では無く群れで行動しているのか、凛達の元へと一気に集まって来た。


そして群れの最後尾にて、ポイズンスパイダーよりも体が2回り程大きくなった蜘蛛の魔物が現れる。

その蜘蛛は体の色が少し黒みがかった紫色となり、金級の強さで女王のクイーンポイズンスパイダーだった。

しかし凛達は他のポイズンスパイダーと同様に、クイーンポイズンスパイダーを難なく討伐する。


ポイズンスパイダー達の討伐を行っている場所から少し離れた所で、戦闘が始まってからこちらの事をじっと見ているポイズンスパイダーがいた。

その事に気付いた凛が、自分達の事を見ているポイズンスパイダーへと少しずつ近付いてみる。

しかし大分凛が近付いても逃げる素振りが無かった為、凛はそのままポイズンスパイダーへと念話で接触を試みる事に。

その後、凛はポイズンスパイダーに気に入られたのか付いて来る事になった。




その後も森を進むとポイズンスパイダーと同じく、全長1メートル程の大きさの巨大な蜂の魔物が現れた。

その蜂の魔物は地球の蜂と同じ様に、黒と黄色の模様の蜂の魔物で銀級の強さを持つソードビーと言う魔物だ。

ソードビーは両手とお尻部分にそれぞれ鋭そうな剣と長い針を携えており、先程のポイズンスパイダーと同様に群れで現れた。


そしてその群れの中にも女王がおり、ソードビーをそのまま1回り大きくした様な姿だった。

その女王は頭に小さな王冠の様な物をかぶり、首もとにはマフラーの様な物を巻いていた。

凛達は金級の強さを持つクイーンソードビーを、ソードビーの群れと共に討伐する。


すると先程のポイズンスパイダーと同様に、凛達の戦闘の様子を近くで見ていた2体のソードビーがいた。

凛がソードビー2体に近付くと、今度は一定の距離を取られる様になった。

凛は一定の距離を取ってソードビー達に念話で接触を行った後、そのソードビー達も付いて来る事になった。


凛達と一緒に行動する様になったポイズンスパイダーとソードビー2体の説明によると、自分達は群れの最下層にいて常日頃から仲間達に馬鹿にされ、時には仲間から虐げられていたそうだ。

普段は仲間達から少しだけ離れた距離にいて、仲間達の食べ残し等を口にして生きているとの事。


そしてこの3体は凛を見て、自分達の女王よりも強いのに優しそうな雰囲気持つこの存在なら自分達を助けてくれるかも知れない、

それがダメで殺されてしまうなら仕方無いと思い、自分の直感を信じて凛と接触をする事にした。

3体共凛達があっさりと同族や女王を倒しているのを見てしまい、最初は怖いと思っていたが逃げずに凛と念話のやり取りを行う。

その結果、凛の事を信用してみようと思って付いて来たのだそうだ。




その後も足早にではあるが、凛達は森の中層の探索や討伐を進める。


《マスター。申し訳ありませんが、私が指定した場所へと向かっては頂けないでしょうか?》


「ナビが主張するなんて珍しいね。勿論良いよ。」


その途中でナビからそう言われた為、凛はそう言って皆と一緒にナビに指定された場所へと向かう。


するとそこには全長10メートル以上の大きさで、鉄紺てつこん色の巨大な亀の魔物がいた。


《あの魔物は魔銀級の強さを持つ、アダマンタートルと言う魔物です。アダマンタートルの甲羅部分はアダマンタイトと言うかなり硬い金属で出来ており、是非今後の為にサンプルとして頂きたいです。》


「分かった。けど、その肝心のアダマンタートルが甲羅の中に頭や手足を引っ込めちゃったからなぁ。ナビが欲しがる位の硬さだろうし、こうやってビットで撃つ位じゃそう簡単に…あ、倒しちゃった…。」


ナビは心做こころなしか嬉しそうに凛へそう言った。


幸いアダマンタートルは防御力が高いだけで、森林龍の様に暴れる訳でも特別足が速い訳でも無かった。

アダマンタートルは凛達に気付き体を守ろうと首と手足を引っ込める。

凛は甲羅へ引っ込めた状態のアダマンタートルの頭へ向け、そう言って駄目元でビットでの射撃を行う。

するとアダマンタートルの頭蓋骨を貫通したのか、あっさりと倒してしまった事で凛は複雑な表情となる。


「(甲羅に籠ったままアダマンタートルを倒してしまったけど、これで良かったのかなぁ…。まあでも時短にはなったし、これでまた自分達が強化されるのなら良いか。)」


凛は引き続き微妙な顔でそう考えていたが、切り替えて割り切る事にした。

その後凛が倒したアダマンタートルを無限収納へ直すと、ナビは嬉しそうに解析を始める。


他にも凛が今討伐したアダマンタートルとは別に、他のアダマンタートルが2体とアダマンタートルへと進化する前のハードロックタートルと呼ばれる魔物が複数いた。


ハードロックタートルは全長8メートル程の大きさで、金級の強さと黒っぽい体を持つ魔物だ。

ハードロックタートルは強硬石と言う、アダマンタイト程では無いものの結構硬い石で出来た甲羅を持つ亀の魔物だ。

ハードロックタートルの甲羅は、かなり良質な石材として取引されるとの事。


《マスター達のおかげで、ハードロックタートルもサンプルを得る事が出来ました。アダマンタートルの解析が終わりましたら、ハードロックタートルの解析へと移行します。》


凛達が無限収納へとハードロックタートル達を直すと、ナビが嬉しそうにそう言った。




凛達は更に森の中を進むと、今度は直径500メートル程の湖を見付ける。

その湖の中には10メートル位から20メートル位と大小様々なシーサーペント(大海蛇)の群れがいた。


シーサーペントは銀級の強さの魔物で、蛇の様な細長い体にギザギザの歯と目の後ろにえらを持つ下位竜(レッサードラゴン)だ。

彼らは水を好む為か、よく湖や海と言った場所の水辺にいる事が多い。

そして今回は湖の中にいると言う有利な状況の為か、湖の水を飲みに来て油断している魔物を狙って狩りを行うと言う、少し狡猾こうかつな考えを持つ魔物の様だ。


『(どう見ても今いるのは湖なのに、何故名前は大()蛇なんだろう…。)』


一同はそう思ったが、敢えて誰も口にしなかった。




「凛。あの子達を凛の配下にしよう。」


「今度は雫か。ナビもそうだったけど、雫が要望を出すのは珍しいよね。彼らと接触してみて、可能な様ならそうしてみるよ。」


「火燐や翡翠、楓には配下や同じ属性の仲間がいるのに、私にはいなかったからずっとモヤモヤしていた…。だから、目の前にいるシーサーペントを凛や私の配下にしたいの。」


「そっか…。雫、寂しい思いをさせてしまってごめんね?」


「大丈夫。…でもありがとう。」


シーサーペントを見付けた雫が鼻息を荒くしながら凛の目の前に来てそう言う為、凛は苦笑いを浮かべて答える。


雫は悲しそうな表情で凛にそう言った後、今度はじと目のままキラキラとした表情で言う。

凛はそう言って雫の頭を撫でると、雫は照れながらそう答えていた。




「(すいませーん!少し話をお伺いしても良いですかー?)」


凛が1人でシーサーペントの群れへと向かい、そう言って念話を拡散させて接触を試みる。


「(人間が何の用だ!)」

「(帰れ帰れ!)」

「(今直ぐ帰らないとお前も他の奴らみたいに殺し、餌にして食べてしまうぞ!)」


しかしシーサーペント達は凛の話を全く聞く気が無いのか、そう言って口から高圧の水のブレスを凛へ向けて吐いたり、初級や中級の水魔法や氷魔法を放って来たりした。


凛はシーサーペントが攻撃して来る可能性も考えていた為、直ぐ様自身の前方部分に10基のビットを配置する。

そして凛は配置したビット1つ1つの前に、直径1メートル程の縦長の六角形の形をした防御壁を展開し始める。

その防御壁はビー○シールドの様に少し透明がかったピンク色をしており、上級魔法でも長時間持ち堪える事が可能だ。

その為、シーサーペント達が放った様々な攻撃を簡単に防いで行く。




「(うーん、全然こちらの話を聞こうとしてくれないな。これからどうしようか…。)」


「………。」


凛はシーサーペントの攻撃を防ぎながらそう考えていると、後ろから雫が下を向きながら凛の近くへとやって来た。


「………。」


『…!………。』


「これ以上、凛の手をわずらわせるな。これを落とされて死にたいのであれば止めはしない。しかしそうでないのなら、黙って話を聞きなさい。」


「(…だそうです。)」


「(ぶんぶんぶんぶん)」


雫は黙ったまま右手に持ったブルーを掲げ、初級魔法のアイスニードルに魔力をかなり注いで湖が埋まる程の超巨大な氷を自身の頭上にて生成し、湖の上空に移動させる。

それを見たシーサーペント達は攻撃を止め、あんぐりと口を開けながら空を見上げていた。

雫は非常に冷めた目付きでそう言い、凛が念話でそのままシーサーペントへと伝える。


するとシーサーペント達は、言われた通りにしないと間違い無く超巨大な氷を落とされて死んでしまうと言う恐怖からか、高速で頭を上下に動かして頷く。




「凛が話し掛けようとしているのに、ろくに話を聞かず一方的に攻撃されたのでカッとなってやった。反省も後悔もしてない。」


「…だそうです。仲間が済みません…。」


『(………。)』


「(えっと…話と言うのはですね、皆さんが今いる湖よりも安全で快適な場所をご用意致します。ですので宜しければ、僕達の仲間になりませんかと言う内容なんですよ。)」


「凛の作る料理はどれも美味しい。きっと貴方達も気に入る筈。」


「(…だそうです。って、自分で自分を褒めるって何だか変な感じだね…。)」


『………。』


超巨大なアイスニードルを引っ込めた雫は、腰に両手を当ててどや顔でそう言った。


凛の念話によってそう伝えられたシーサーペント達は、えぇ~と言いたそうな表情でどんよりとしていた。

凛はシーサーペント達にそう伝えると、雫が続けてそう言った。

凛がシーサーペント達に伝えると、シーサーペント達は美味しい食事と安全な棲み家と言う単語に惹かれたのか悩み始める。

凛は凛で複雑な表情となっていた。




「(あ、でも来る来ないに関係無く何かしら行動しないと、ここから東へ3キロ程の所にベヒーモスがいますよ。)」


『(…!?)』


「(そのベヒーモスが、先程の超巨大なアイスニードルを見たのかも知れませんね。こちらへと向かって来ています。)」


「(何と言う事をしてくれたんだ!)」

「(どうしてくれるんだ!)」


しかし凛がそう伝えると、シーサーペント達は一転して慌てだす。

凛は続けてシーサーペント達へと伝えると、シーサーペント達はそう言っていきどおる。


「凛。シーサーペント達の様子が変わったけど、何かあった?」


「さっき雫が生成した巨大な氷の塊の影響か分からないんだけど、東からベヒーモスが向かって来てるんだ。その事をシーサーペント達に伝えたら怒り出しちゃってね。」


「そう…。でも最初から貴方達が凛の話を聞こうとしていれば、こんな事にはならなかったとも思う。」


「(…だそうです。)」


「(………。)」


雫はシーサーペント達が怒り出した事を不思議に思い凛に尋ねると、凛は少し困った表情で答える。

しかし雫がそう言った事を凛がシーサーペント達へ伝えると、シーサーペント達はうぐっと言って言葉に詰まる。


「でも私達が来なかった場合、どのみち貴方達は無事では済まなかったと思う。」


「(…だそうです。)」


「(………。)」


更に雫がそう言った事を凛が伝えると、シーサーペント達は項垂れてしまう。




シーサーペント達によるとベヒーモスは本来、死滅の森の中層の中部よりも内側にいる筈の魔物だそうだ。


しかしはぐれたのか単独で行動しているのか不明だが、少し前にこの湖にベヒーモスがやって来てシーサーペント達に結構な被害を出した。

そのベヒーモスは何時間かの間湖の中と外で暴れ回り、その間に仲間を餌として何体も食べられてしまう。

やがてベヒーモスは満足したのか、その場を離れて行ったとの事。


「(お前達の配下でも何でもなってやるから、こっちに向かって来るベヒーモスをどうにかしてくれ…!)」


「(………。)」


シーサーペント達はそう言って凛に懇願して来た。


「皆、こっちに向かって来るベヒーモスの相手は僕がするよ。皆はその間、全方向からこの湖へと向かっている魔物の相手を頼むね。」


凛は後ろを向いて皆の方を向き、そう伝えたのだった。

ポイズンスパイダーとソードビー達が仲間になりたそうにこちらを見ている…。


彼らを仲間にしますか?


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[一言] シーサーペントって海じゃなかった?湖にも生息してたんだ
2019/11/16 15:31 退会済み
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