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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
死滅の森開拓&サルーン都市化計画編
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69話

ルルが座っているカウンターの所には、複数のカップとは別に液体らしい物が入っている容器がいくつも並べられていた。

商業ギルドのギルド員は今迄にその容器(ボトル)を見た事が無かった為、容器そのものに興味を引く。


「ホズミ様、失礼ですがあちらに並べられた液体が入っている容器と思われる物は…?」


「あれらがお酒になります。皆さんに味を知って貰おうと思いまして、今は無料で少しだけ飲める様にしてます。今後はこちらの酒場で販売する予定の商品ですね。」


「ほう!実は私それなりにお酒を嗜むのですよ。これからの楽しみが増えますね。…因みになのですが、あの容器ごと買う事は可能でしょうか?」


「うーん…ストレートで飲むって意味では可能と言えば可能です。ですがロックで飲んだり、水や炭酸水、それにレモン果汁やお湯で割ったりして飲む方法もありますからねぇ…。買った物を自宅で飲むとなると、割り材が無いので難しいかも知れません。」


「ストレート?ロック?割り材?申し訳ございません。いずれも初めて聞く言葉ばかりなのですが…、それは一体何なのでしょうか?」


「同じお酒を色々な方法で楽しむ事ですね。実際に説明しますと…。」


凛はベータ(2番機)に頼んで魔導冷蔵庫から氷等を用意して貰い、商業ギルド員に説明しながら実際に作って見せる。

凛が色々な方法でお酒を用意する様子をダニエルだけで無く、ガイウスやゴーガンやルル、それと周りにいた全員が注目していた。


因みに商業ギルド員の男性には、建物購入の際にフルネームでサインをした事で名字で呼ばれる様になった。




「こちらの容器の事をペットボトルと言います。その中に入っているのはお酒では無く水や、水に炭酸を加えた物になります。どちらも今飲んでも仕事に差しさわりはありません。飲みたい方がいましたら飲んで貰って大丈夫ですよ。」


その途中でと凛がそう伝えると、興味がある者はペットボトルに入った水や炭酸水をカップに移して飲んでみる。

炭酸水を飲んだ者は一様いちようにして、透明にも関わらずエールの様に口の中で弾ける事に驚く。

しかし飲んだ者の中には、これはこれで有りかも知れないと言う者もいた。




「…成程。申し遅れました、わたくしダニエルと申します。ホズミ様の口振りからして、こちらのお酒等を用意したのも貴方様なのですね?」


「そうですね。これらは僕が用意しました。」


その後、炭酸水を飲んで驚いていたダニエルからカウンターの向こうに設置してある、魔導冷蔵庫の存在や機能について尋ねられ、他にも色々と話をする様になる。


「そう言えば、ホズミ様が昨日商業ギルドの受付に紙とクッキーを置いて行かれた事でギルド内が騒然としたんですよ。」


「あー…そうなんですね。今度お詫びをしに、そちらのギルドへまた伺わせて頂きますね。」


そして話の中でダニエルが苦笑いを浮かべてそう言い、凛もつられて苦笑いで答える。




ダニエルは凛と話している内に凛の人柄に惹かれたのと、見た事の無い形状の容器…(ボトル)やペットボトル、紙に入っている未知のお酒と言う存在に興味が湧いた。

そしてそのお酒を販売すれば非常に儲かりそうだと判断し、それも踏まえてビジネスパートナーを組みたいと思った様だ。


特に容器やキャップの構造が気になったのか、それらについて詳しく凛に尋ねる。

凛が分かる範囲で説明すると、ダニエルはそれを興味深そうに聞いていた。


「こちらのお酒が入っている瓶…でしたか、この容器自体に芸術的価値があるのではないでしょうか!」


「(確かに、お酒が入ってる瓶って綺麗だよね…。)」


他にもウイスキーやブランデー、ワインは瓶に入っていた為、ダニエルが興奮気味にそう言った。

しかし凛はそう思いながらも、やんわりと否定しておいた。




「ホズミ様とは、今後とも公私共に深い付き合いをして行きたいと思っております。」


「ありがとうございます。僕は普段街にいませんが、何かあればこちらのベータに伝えて下さい。彼女から直ぐに僕へと連絡が行く様になってます。」


「分かりました。ホズミ様も何かございましたら、商業ギルドにて私を呼んで頂ければ直ぐに参ります。」


「分かりました。」


「それでは大分時間が経ってしまいましたが、ホズミ様が購入予定の屋敷へと戻りましょうか。」


すっかり意気投合した凛とダニエルはお互いにそう言った後、揃って冒険者ギルドを後にする。




屋敷へと着いた凛はダニエルと一緒に屋敷の中へと入り、屋敷に異常が無いか等の確認を行う。

その後凛とダニエルは手続き等を行い、屋敷は凛の所有物となった。

屋敷は横長で2階建ての建物で、通常のコンビニ位の大きさの建物が縦に2列、横に5列並ぶ位の広さだ。


「ホズミ様。屋敷を壊して建て直すと仰っていましたが、職人の手配等をこちらで致しましょうか?」


「お気遣いありがとうございます。ですが僕は、土魔法を使って建物を建てる事が出来るので大丈夫ですよ。」


凛とダニエルは一先ず契約を終えた為、外へと出る。

ダニエルは凛へそう言うが、凛はにこっと笑いそう伝える。




「そうですか…。ホズミ様が良ければですが、私このままホズミ様が行う作業を拝見させて頂いても宜しいでしょうか?」


「僕は構いませんが…。ですが屋敷の中の家具や調度品等を片付けた後に屋敷を壊し、その後建て直す作業を行うので少し時間が掛かりますよ?」


「私は構いません。」


「それなら俺も見てみようか。」


「僕も残るよ。」


「そうですか…。(どうしてこうなった…。)」


ダニエルは恩を売る事が出来ず少し残念そうにしていた。

しかしこのまま帰ってしまうと後悔する様な気がした為、凛へと尋ねる。

凛はそう説明するがダニエルは問題無いとばかりにそう答える。


するとガイウスとゴーガンがそう言い出した為、凛はそう言って少し困った表情になる。




凛はあまり時間をかけるとガイウス、ゴーガン、ダニエルの仕事に、支障ししょうきたすかも知れないと判断した。

凛は美羽と2人で素早く屋敷の中にあった家具や調度品を無限収納に収め、その後屋敷の中を空っぽにして屋敷の中に人がいない事を確認し、凛と美羽は外へ出る。


そして凛は屋敷の外側から屋敷全体を魔法障壁で覆い、魔法障壁内に直径1メートル程の風系初級魔法ウインドカッター(風の刃)を無数に放ち、屋敷を切り刻んで行く。


凛はそのまま1分程、ひたすら魔法障壁内にウインドカッターを放つ。

凛はウインドカッターを放つのを止めて目を閉じ、魔法障壁を展開して両手を動かす作業に集中する。


魔法障壁内では切り刻まれ過ぎて砂の様になった石材等が、凛によって集められる。

そしてまるでアメーバの様にぐねぐね動いているかと思うと10分後には大きく膨らみ、左右でおもむきの異なる横長の建物が出来上がる。


ギルドの正面から見て左側は商店の様な建物が、右側は飲食店の様に見える建物だ。

どちらもこの世界には無い様な建物の為、見ている人はどんな建物なのだろうかと首を傾げていた。

人々の心配を余所よそにして、凛はその後も内装の作業を続ける。

そして20分程経つと作業が終わったのか、凛は魔法障壁を解除する。


「思っていたよりも屋敷が広かったので商店だけではなく喫茶店も開こうと思います。」


凛は作業を見ていた人達に向け、そう言ったのだった。

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