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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
死滅の森開拓&サルーン都市化計画編
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65話

「あっ、もうこんな時間か。僕はサルーンへ行って、酒場のマスターとお酒の交渉をしてくるね。」


「あ、ボクも行くよー!」


「火燐達は…楽しそうにしているからそのままにしとこう。それじゃ美羽、行こうか。」


「うん!」


「(ナビ、どうやらまだまだ訓練部屋が必要みたいだよ?)」


《畏まりました。準備をしておきます。》


10時になりギルドの酒場も営業しているだろうと思った凛は皆にそう伝える。


美羽は着いて行くと言ったが他の皆は少し前までみたく周りや自然に配慮する事無く思いっきり訓練出来るのが楽しい様だ。


凛は火燐達の様子を見た後に苦笑いを浮かべながらナビにそう伝え、ギルドへと向かう事にした。


凛は作成して皆へ紹介した後直ぐに無限収納へと戻し、取り敢えず調整が済んで何故かメイド服を着せられているベータ(2番機)を屋敷の前で再度無限収納から出した。


「ナビ、前に出した時と違ってメイド服になってるんだけど?」


《こちらはパーラー(給仕)メイド用の仕事着です。必要と判断し着用させておきました。》


「(…良く分からないけど、ナビが言うならそうなのかな?)」


凛、美羽、それとベータの3人(?)で移動しながら凛はナビにそう尋ねると、ナビからそう返事が来る。

凛はそう思いながら首を傾げていたのだった。




「ワッズさん、今晩道具の改良を行うので、一旦道具を預りますね。」


「おう!済まねえが宜しく頼むぜ!」


凛は宿直室から出て解体場のワッズを尋ね、そう言いながら解体用の道具を預かるとワッズからそう返事をされる。


「ここにぬえとキマイラ、それとロッククラブを置いておきますね。こちらはいずれも売却して頂いて大丈夫です。」


「分かった!その通りにしておくな!」


そして凛は無限収納から鵺とキマイラ、それとロッククラブと言う甲殻が石で出来た1メートル程の蟹を床に全部出してワッズにそう伝える。


ロッククラブは倒して暫くすると全身が石に変わり石材として利用される事もある銀級の魔物だ。

その後ロッククラブが進化すると120センチ程の大きさの金級のアイアンクラブに、更に進化すると150センチ程の大きさの魔銀級のミスリルクラブになるそうだ。


「(ひょっとして、以前森林龍の胃袋に入っていたミスリルの塊って、時間が経って全身ミスリルの塊になってしまったミスリルクラブだったのかな?)」


《その可能性も充分あります。》


凛はナビにそう尋ねると、ナビはそう答える。




「ゴーガンさん、おはようございます。今日はお酒の件で来ました。」


「凛君おはよう。最初に昨日のミノタウロスの素材の代金を渡しておくね。…それじゃ、一緒に酒場へ向かうとしようか。」


「ありがとうございます。分かりました。」


凛はその後ゴーガンの元を訪れてそう伝えると、凛はゴーガンからミノタウロスのお代として金貨2枚を貰い、酒場のマスターに凛の事を紹介しようと思ったゴーガンは凛と一緒に酒場へと向かう。




「初めまして、僕は凛と言います。ガイウスさんとゴーガンさんのお願いもあって、ここで販売するお酒の種類を増やそうと思い伺わせて頂きました。ですが、実際に商品を用意するのは僕ではなくこちらのベータになります。ベータには色々と勉強をさせたいので、接客もやらせて貰えると助かります。」


凛はそう言いながらお辞儀をすると、美羽とベータもつられてお辞儀をする。


その後凛は色々なお酒を無限収納から出してカウンターに並べ、ベータに魔石の魔力補充して貰う形でカウンターの横に魔導冷蔵庫を設置する。


ゴーガンは昨日飲んだので分かるのだが、マスターは初めて見る物ばかりな為に色々と判断に迷う。

凛も知って貰う事を第一優先にしている為、値段については任せる事を伝える。

ゴーガンも酒が飲めれば良いので値段の事は考えていなかった。


なので凛は今日から明日にかけてお酒の試飲会を開き、お酒を飲んだ人達がどれくらいまでなら出せるかを聞く。

そしてそれを判断材料にして、少し安い値段で販売するのはどうかと提案すると、二人はそれで納得した。


お酒の試飲会の結果を言えば、日本の飲み屋の2~3倍位の値段(銅貨1枚を100円とした場合)で販売される事になり、凛が用意したお酒の販売がきっかけで酒場が賑わう事になる。


しかし結構な頻度でガイウスとゴーガンが来る為、その近くの客は少し居心地が悪そうにしていた。

それと、お酒が飲めないけどそれっぽい物が飲みたいと要望があったので、ノンアルコールタイプのビールとチューハイも追加で販売する事になった。


「色々やって貰って助かってるんだけど、客に対してもう少し明るく接して欲しい。それと動きも早くして貰えると助かるかな?」


「分かりました、その様にしておきますね。」


凛が次の日の夕方に酒場へ訪れた際に、マスターへ感想を尋ねるとそう言われたので凛はそう返事をする。

その後ナビに調整して貰う事にした。




凛達はその後商店の建設予定地を探そうと思いギルドを出る。


「そう言えば前から聞こうと思っていたんですけど、この建物は一体…?」


「この建物は恐らくだけど、不動産物件じゃないかな?この建物が物件だとしたら取り扱ってそうな所があるんだけど、一緒に行ってみるかい?」


「(この建物が仮に不動産だとしたら、ここを押さえて商店として立て直せば色々とメリットになりそうだな。)はい、お願いします。」


「分かった、こっちだよ。」


ギルドを出てすぐ正面にあまり使われていない様に見える大きな建物があったので、気になった凛はゴーガンへ尋ねるとゴーガンはそう答える。

凛は内心そう考えてから了承すると、ゴーガン案内の元で移動した先は不動産屋…ではなく商業ギルドだった。



「(ここが商業ギルドなんだ。この世界の商業ギルドって、不動産も扱ってるんだね。)」



凛は商業ギルドと書かれている結構な大きさの建物の入口に設置されている看板を見た後に、内心そう思いながらゴーガンへ着いて行き建物の中へと入る。

そしてそのままゴーガン先導の元で建物に入って直ぐに、受付のお姉さんがゴーガンに気付きペコペコと頭を下げながらゴーガンへと挨拶をする。


「今日は僕は客ではなく、こちらの凛君がギルドで取り扱っている不動産を見たいと言う事で一緒に来たんだ。」


「畏まりました、ご案内しますね。こちらになります。」


ゴーガンがそう説明すると、受付のお姉さんがそう言いながら不動産を扱う部署まで案内してくれた。

受付のお姉さんに案内されて少し歩くと、ギルドの制服をピシッと着こなして真面目を通り越して少し固そうな表情をした男性が受付をしている所へと着く。




「いらっしゃいませ。本日はどう言ったご用件でしょうか?」


「あ、はい。ギルドの正面にある物件を見たいと思いまして。」


「畏まりました、少々お待ち下さい。…こちらでございます。」


商業ギルド員の男性が挨拶をした後に凛がそう言うと、男性はそう言って羊皮紙に纏めた物を取り出して見せてくれた。




「(これが羊皮紙か…初めて見たな。えっと…。)」



凛は内心そう思いながら資料を見ると、冒険者ギルドの正面に建っている屋敷はかつて貴族が所有していた物件だが今は維持が困難な為に売りに出したと記載してあった。


「こちらの建物はサルーンの街の一等地に建てられた元貴族の物件でして、今でも白金貨2枚と高価な為か中々買い手がいらっしゃらないんですよ。」


「因みになんですけど、こちらの建物は購入した後に壊してまた新たに作り直しても宜しいのでしょうか?」


「購入後でしたら問題ございません。建物も数十年前に建てられたので少し古くなっておりますし、土地代も込めてのお値段となっております。ですのでどうされるかは購入者様の自由となります。」


「でしたらこの場で買わせて頂きたいと思います!こちらが代金の白金貨2枚になりますので確認をお願いします。」


羊皮紙を見ている凛へとギルド員がそう言った。

凛はギルド員へそう尋ねると、直ぐに男性からそう返事をされたので凛は迷う事無く購入する事に決める。


「確かに。私共はこれから所有者の御家族様等と手続き等を行って参ります。明日の朝には終わると思いますので、午前10時頃に購入した建物の前でお会いすると言う事で宜しいでしょうか?」


「分かりました、午前10時ですね。それでお願いします。」


男性は凛から代金を貰った後に凛へそう伝えると、凛は頷いてそう言った。


凛は目的を達成したので商業ギルドを出ようと思い、先程同様にゴーガン先導の元で移動していた。

すると、入口付近の受付の近くに先程はいなかった中年の男性が立っていた。

そして男性は凛…ではなく、ゴーガンを見掛けると真っ直ぐこちらへと向かって来る。


ゴーガンは嫌な顔をしながらどうしたものかと考える。

しかし間に合わず男性がゴーガンへちょっとこちらへ、と言いながらどこかへと連れて行ってしまった。




「(ゴーガンさんどうしたんだろうな…あ。)」



凛は内心そう考えながら視線を先程案内してくれたお姉さんへと向けると、お姉さんと目が合ってしまった。

2人はお互いに顔を少し傾けながら微笑む。


「今度、冒険者ギルドの正面に商店を建てて、商品としてそちらの紙も扱おうと思っています。こちらはサービスですので良かったら買って下さいね。それとこのクッキーもお渡ししますので、良ければ皆さんで食べて下さい。」


「か、畏まりました。上司へその様に伝えておきますね…。あ、でもこの入れ物可愛らしいですね。」


その後凛は商店のアピールも兼ねてお姉さんが座っている机の上に無限収納からA4サイズのコピー紙500枚入った束を4つ出して乗せ、その次に50グラム程のクッキーを白い小さな袋に詰めて赤いリボンで結んだ物を乗せる。

そして凛はお姉さんへそう言うと、お姉さんは頬を引きつらせながらそう答えた後、クッキーが入った袋を見て微笑みながらそう言った所で丁度ゴーガンが戻って来た。


「凛君お待たせ、それじゃ出ようか。」


「あ、はい。それではお姉さん、僕達は失礼しますね。」


ゴーガンがそう言いながら外へ出ようとしたので、凛はそういってお姉さんに軽く会釈をして商業ギルドを出る。


先程ゴーガンに話し掛けていた男性…商業ギルドのサブマスターは、凛達がいなくなってから受付の所に見慣れない物が乗っている事に気付く。

封を開けてみると中に入っているのは白くて薄い物だった。


副マスターは受付嬢にこれは何かを尋ねると、受付嬢は受け取った物は紙だと答える。

副マスターは今持っている物が紙だと聞いて1枚1枚(めく)って確かめたが、この紙が高品質で形も揃っている事に衝撃を受けた為、この後商業ギルド内で一悶着あったりするが凛には関係無いので割愛する。

ついでだがクッキーの争奪戦が起きた様だ。




「そう言えば、仲間が今も屋敷の訓練部屋で訓練をしていると思うので、良ければ見に来ませんか?」


「お、そうかい?それじゃ折角なのでお邪魔させて貰おうかな。」


凛達は商業ギルドから出た後、雑談しながら冒険者ギルドへと戻って来た。

凛はゴーガンにそう尋ねると、以前から凛の強さに興味があったゴーガンはそう言って喜んで凛に着いて来た。

凛達は屋敷へと戻り訓練部屋へと向かう。


「おお、これは…。」


ゴーガンは昨日来た時にはなかったポータル、そして訓練部屋の存在に驚いたものの凛と一緒に訓練部屋へと入る。

訓練部屋では自分に近しい強さの者達が、熱心に指導を受けながら訓練していた。

ゴーガンはその様子を見た後、そう言いながらゾクゾクしていた。


「凛君!僕も明日の訓練に参加したいと思うんだけど良いかな?」


「んー…。ちょっと待ってて下さいね。」


少し興奮気味のゴーガンは凛にそう伝えると、凛はそう言って考える素振りを見せ万物創造で何かを作り始める。

ゴーガンは凛が何をしているのか分からなかったが、30秒程経つとカードの様な物が2枚出来上がった。


「これは僕が設置しているポータルが使える様になるパスカードです。片手でこのカードを持ちながらもう片手でポータルに触れたらポータルが開いて使える様になります。これはゴーガンさんとガイウスさんに渡しますので無くさない様にお願いしますね?」


「おおっ、ありがとう!これを使って遊びに来ても良いかい?」


「勿論構いませんが、こちらも準備をしたいですし、なるべく早く映像水晶等で連絡頂けると助かります。」


「分かったよ!」


凛からパスカードを渡されたゴーガンは、非常に嬉しそうにしながら早速パスカードを使って帰って行ったのだった。

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