546話
いつもありがとうございます。
明日は土曜日ですが、今年は昨年と違ってハロウィンネタ(?)があったので投稿させて頂こうかと思います。
戦いが始まってすぐ、邪樹龍クリフォト達は命樹龍セフィロトを庇う様な態勢を取り始める。
そして命樹龍セフィロトだが、光魔法を用いて邪樹龍クリフォトへ強化を、中級や上級の魔法による遠距離攻撃をアイル達へ仕掛けて来た。
「クリフォト達はセフィロトを守る為の盾って所か…皆!セフィロトの攻撃を避けつつ、クリフォト達を攻撃。クリフォトは私達みたいに強化されてるから、くれぐれも気を付ける様にね!」
『了解!』
セティが状況を判断して皆に指示を出すと、アイル達は返事の後にその場から散開する。
ただ、ベックは俺のセリフ…と言い、1人だけ凹んでいた。
アイル達はボス部屋へ入る前に、邪樹龍クリフォトと何度も戦った経験を持つ。
邪樹龍クリフォトは10本の尻尾を切り離し、使い魔スキルを用いて操作しながら戦うのだが、先程まではその使い魔を攻撃と防御の半々に分けていた。
しかしボス部屋では戦い方を変え、全ての使い魔を攻撃に回し、自身は命樹龍セフィロトの盾となってアイル達に攻撃を仕掛けると言うスタイルになっていた。
アイル達は邪樹龍クリフォト達の猛攻を掻い潜ったり消滅させて全員倒し、今度は命樹龍セフィロトへ攻撃を仕掛けようとする。
所がそのタイミングで命樹龍セフィロトに異変が起き、体の周りを結界術による結界で覆い始めた。
そしてその影響でなのか、命樹龍セフィロトに対し、いかなる攻撃も受け付けなくなってしまう。
ガキィィン
「ちっ、これもあかんか。癪やけど結界が解けるまで待たな…って、嘘やろ!?消滅させた筈のクリフォトが全員復活しよった!!」
アイルは幾つかの魔法を放ち、駄目だと分かって水氷のチャクラムを投擲してみるも、あっさりと跳ね返された。
アイルは戻って来た水氷のチャクラムを手に取り、舌打ち混じりに呟こうとする。
しかし、そのタイミングで先程消滅させた邪樹龍クリフォトが5体共復活し、アイルは驚きを露にする。
それはセティ達も同じらしく、揃って目を見開いていた。
命樹龍セフィロトは、ドラゴンブラッドツリーがアークドラゴンブラッドツリーではなく、ツリーオブライフへ進化し、更に進化を加えたものとなっている。
そして強さも神輝金級中位に近い下位の強さとなり、(ボスと言う事で結界術も付与されてはいるが)『蘇生』と言うスキルを得た。
蘇生は色々と制限はあるものの、死んでしまった者を生き返らせる効果を持つ。
因みに今回の場合だと、邪樹龍クリフォトの全滅をトリガーにして自身を結界で覆い、30秒経つと邪樹龍クリフォトを蘇生。
しかも弱っている個体を含め、邪樹龍クリフォト達全員を完全回復させたりする。
「作戦変更!クリフォトは1体だけ残して残りを殲滅、その後セフィロトに対して集中攻撃を仕掛けるよ!」
『了解!』
「いや、だから、それ俺のセリフだって。俺、リーダー辞めようかなぁ…。」
「まぁまぁ。ベック君、僕達も行くよ。」
「はぁ…分かりました。」
今度はイーノックが指示を出し、皆が了承する。
しかしベックだけは泣きそうな表情になった為、アルバートが苦笑いを浮かべながらベックを宥めていた。
その後、1分程で4体の邪樹龍クリフォトを討伐。
アイル達は身を挺しながら守ろうとする邪樹龍クリフォトに苦労しつつ、命樹龍セフィロトに攻撃を仕掛け始める。
対する命樹龍セフィロトは、自らが狙われていると分かると、それまでの上級以下に加え、超級の光魔法も使う様になってきた。
しかも邪樹龍クリフォトの弱点が光属性とあって、例え味方が放った魔法だとしても、超級の場合はダメージを受けると言う設定らしい。
邪樹龍クリフォトはディバインパニッシュメントの余波で少しずつ弱体化し、それに気付いたアイル達は急いで命樹龍セフィロトを討伐。
倒した命樹龍セフィロトだけでなく、残った邪樹龍クリフォトも消滅した事で一行は安堵の表情を浮かべた。
「(アイル達にとって)あんま強ないとは言え、2度と戦いとうない位面倒な相手やったな…。」
『(こくこく)』
アイルは引き攣った様子で呟き、イーノック達も同意なのか何度も頷く形で肯定していた。
アイルは気を取り直し、部屋の中央に現れた金と銀の宝箱の元へ向かい、他の者達もアイルの後を付いて行った。
そしてイーノック達、それとイーノック達が映るモニター越しに観衆達が固唾を呑んで観ている中、最早恒例行事となりつつある、アイルによる宝箱を開ける作業へ入る。
「えーと、銀色の宝箱は光適性上昇(小)か、まぁまぁやな。…んで、こっちの金色の宝箱は…白い木で出来たペンダント?の様やな。白い木って事はセフィロトやろか?」
《その通りです!》
「うぉっ!ノディ様、いきなり叫ばれるとビックリするんやけど…。」
アイルは確定ドロップである銀色の宝箱を開け、中身が光の適性を上げるスキルだと確認し、隣にある金色の宝箱へ移る。
その金色の宝箱はドロップ率5%の筈なのに、当たり前の様にアイルがドロップした為、ノーデンスさんは少しお怒りになった様だ。
アイルの呟きに大声で参加し、アイルだけでなくサーシャとココまでビックリさせていた。
《失礼。そのペンダントは『生命のペンダント』と申します。効果は自動回復に加え、例え手足が失われた場合でも、時間が経てば元通りになると言う優れものです♪あ、アイル様達の様な不死者にも効果を発揮しますよー。》
「…また、とんでもないものを作りよったでこの人(?)達…。」
ノーデンスはアイルの反応で少し溜飲が下がったらしく、少しご機嫌な様子で説明を行う。
反対にアイルはテンションがだだ下がりし、説明を受けたイーノック達はかなり驚いた様子を見せた。
それからアイル達は話し合った結果、光適性上昇(小)はアルバートへ、生命のペンダントはイーノックにそれぞれ割り振られる事に。
アイル達は小休憩を今いるボス部屋で取るか、次のエリアである魔導列車の車内へ移動してから取るかを軽く話し合った。
その結果、参考も兼ねて移動後に取ると決まり、一行は転移魔方陣の上に乗って消えるのだった。




