513話
一方、その頃
『強欲』は『嫉妬』達の所では姿を見せなかったが、実はルシファーから左へ500メートル程離れた位置にいた。
しかし、彼の頭の中は今もカジノの事で一杯らしく、涎をだらだらと垂らし、息を荒げながら恍惚の表情を浮かべていた。
ゼノン達はノーデンスから『強欲』の場所を教えて貰い、彼が確認出来る所まで移動する事にした。
しかし『強欲』の危ない様子を見てドン引きしたり、引き攣ったり、かなり驚いた表情となっていたりする。
「…探したぞ、エリックよ。お前を止めに来てやった。」
「「「………。」」」
しかし、話を進めなければと言う思いからかゼノンは真面目な表情となり、(ゼノン達から見て)左の方向を向いている『強欲』へ声を掛ける事に。
そんなゼノンの後ろにはレオン達が立っており、揃って複雑な顔を浮かべている。
「…ぬ?あぁ、其方達か。止めにとは、これ程までに力を得た余の事をか?…それは些か無理と言うものであろう。余はカジノを支配し、永遠に遊び続けるのだ。いかに其方であろうと邪魔はさせんよ。」
「…エリックお前、前から思ってはいたんだが、やる事が常にちっさいのな。」
「黙れ!!好きな事をやるのに文句を言われる筋合い等ないわ!…良いだろう。ならば、其方達で遊んでやるとしよう。」
『強欲』は我に返り、顔だけをゼノン達に向けて不思議そうな表情を浮かべ、つまらないものでも見たかの様子で再び前を向きながら返事を行う。
しかし呆れた表情のレオンがそう呟いた事で激昂した後、仕方がないと言いたそうな、面倒臭そうな様子でゼノン達の方に体を向ける。
「行くぜオラァァァァァ!」
「………。」
パシッ
「マジかよ!?」
レオンは『強欲』が構えた事で戦闘開始だと捉えたらしく、先制攻撃とばかりに地面を蹴り、その勢いで右腕を振りかぶって『強欲』に殴り掛かった。
しかし、結構な力を込めて殴ったのにも関わらず、落ち着いた様子を浮かべた『強欲』の左手で簡単に受け止められた為、驚愕を露にする。
「…レオンよ。こやつを今までのエリックと思わぬ事だ。むしろ全力で行かねば、やられるのはこちら側だと言う可能性も大いにある。」
「ちっ。確かにな。出し惜しみをしてる場合じゃなさそうだ。」
「やれやれ、これ程までに力の差があると言うのに諦めぬとは…非常に愚かでしかない。」
そこへ左右からゼノンとフィリップが斬り掛かり、『強欲』はレオンの左手を離して距離を取った。
ゼノンは大剣を肩に担ぎながらレオンへ話し、レオンは舌打ちを交えて悔しそうな表情を浮かべる。
『強欲』は離れた距離で肩を竦めて話すのだが、これにレオンがカチンと来た様だ。
「うるせぇよ!力を与えられただけの野郎が偉ぶってんじゃねぇ!!」
レオンは右手を『強欲』に突き出し、全力で突っ込みを入れた。
「…止めろレオン。それは俺達へ返って来る言葉にもなる。」
「あ!?何で俺達が………あ。」
しかし、微妙な顔のゼノンから右肩に左手を置かれ、逆に突っ込まれる形となった為、レオンは納得の行かない表情になる。
そしてレオンは『強欲』と同じになるのかと言い終える前に、自分達は凛の庇護下に入った事で強くなったのだと気付いた。
レオンは硬直し、ゼノンはこれ以上何も言うなと言わんばかりに目を閉じ、首を左右に振った。
「…良く分からんが、今の内に一網打尽にさせて貰おうか。」
「ちょっ、待てエリ…。」
「ニュークリアブレイズ。」
『強欲』は何とも言えない表情でレオン達を見ていたのだが、痺れを切らしたのか、右手を胸の前に持って来てエネルギーを溜め始める。
レオンはそれを止めようとするも、元々炎に対してそこそこ高い適性を持っていた事もあり、ほんの僅かな時間で作業を終えてしまう。
『強欲』は驚いた様子のレオン達に向け、炎系超級魔法ニュークリアブレイズを放つのだった。
いつもありがとうございます。
エリックが放ったニュークリアブレイズですが、これまでの核の炎から核の業火に変更させて頂こうかと思います。
その為、初めて載せた358話の所を修正も含めて載せ直しました。
ついでに50話もw




