506話
30分後
凛達は深層に入ってすぐにポータルを使い、配下達の邪魔にならない様にと言う事や、今日中にルシファーと決着を付ける為、一気に2000キロ程進んだ所へ移動した。
そして先程ステラ達が超特大のビーム砲を放った事で出来た、ひたすら真っ直ぐに拓けた道を凛達は進み始める。
凛と美羽は地上5メートル程の高さに浮く形で先行し、凛達からほんの少し遅れる形でゼノン達やミゲル達、アレックス達が走って付いて行く。
凛達は6車線程の広さに広がった道を進みつつ、凛と美羽が空中にいる魔物を蹴散らす。
そして地上では、先程リンクを得たばかりのゼノン達を筆頭に、辛うじて残った状態の木々を避けたり、道の横にある森から出て来た魔物達を倒していた。
その途中、道を塞ぐ形で神輝金級中位~上位の魔物達が十数体現れたものの、倒したゼノン達本人がかなり拍子抜けする位、あっさりと片付いてしまった。
「先程から分かってはいた事だが…いくら凛様から加護を得て強くなったとは言え、余りにも歯応えがなさ過ぎる。」
「全くだぜ。だが、それはあいつらも同じ事が言えるんだろうよ。」
「そうですね。以前(ルシファーと)お会いした際、全く動けずにいましたが…今は多少なりとも戦えそうな気がします。」
「ふぅ…ふぅ…。この調子で強くならないとですね!」
その為、ゼノンとレオンは不満そうに、フィリップはやや嬉しそうに話す。
そして、ポールはしばらく走っては戦闘を繰り返すと言うのがキツいらしく、少し息が上がりながらも笑顔を作って話をしていた。
「…親父、戦い始めてからそろそろ1時間が経つ。準備運動はもう充分だろ?俺だってレナードと会う前に強くなっておきてぇんだ、いい加減俺にも戦わせやがれ。」
それから30分程道なりに進んだ所で痺れを切らしたのか、アレックスがゼノンの事をじと目で見ながら呟いた。
「何を言っておる。どれもこれもすぐに終わってしまうからな…逆に物足りない位だぞ?それに、そこまで戦いたいと言うのであれば、外れた所でやると良いのではないか?」
「ならそうさせて貰うか。ユリウス、ナル、パティ、アイシャ行くぞ。」
「(こくっ)」
「…私達も分かれた方が良さそうだな。ギル、クリフ。」
「…ああ。」
「行きましょう。」
「あ、僕も一緒に行くよ。フォローは任せて。」
「ステラ、済まないな。」
ゼノンからの返答を受け、アレックスとミゲルはそれぞれ後ろを付いて来た者達の方を向いて話す。
ユリウス達は頷き、ギルバートとクリフが返事をした後にステラが加わる等し、そのまま左右に分かれていった。
因みに、フラム達もアレックスと行きたがっていたが、来ても特にやる事がないからとして却下され、今はぶつぶつと文句を言いながら配下達に混じって魔物の討伐を行っていたりする。
凛達は3方向へ分かれたのを合図に、走ったり飛ぶ事からポータルでの移動に切り替えた。
そして死滅の森最深部の方向へ向け、ある程度水平に向かいつつ、飛び石の様な感覚でグループ毎の移動を行い、なるべく魔物の群れを探しながら進んで行く。
今回同行したゼノン達の中でも、戦闘が好きな者達は魔物を倒す度に超絶効率化の恩恵で強さがぐんと増し、更に物足りなさを感じる様になっていた。
戦闘好きの者達は不満を露にしつつ、少しでも早く強くなる為だと割り切り、それならば少しでも多くの魔物を倒す事にシフトし、森を進んで行った。
やがて正午を過ぎ、凛は戦い続けた体を休ませる目的も兼ね、別行動を取っていたアレックス達やミゲル達を召集する事に。
そして皆を1ヵ所に纏め、軽く周囲を警戒しながら昼食を摂り始めるのだった。




