504話
「反撃の狼煙て…えっ、凛様。僕は何をすれば良いの?」
「ふふっ。ステラ、そう身構えなくても大丈夫だよ。早い話が…これを使うんだ。」
「あー、分かった!凛様がやったみたいに、森へ向けて最大出力にしたアロンダイトのビームを発射すれば良いんだね!」
「そう言う事。あ、この銃剣、アロンダイトって名前にしたんだ。…うん、良いかも。」
「でしょー!…むふふ、まさか1番美味しい場面でアロンダイトを使えるなんて、夢にも思わなかったよ。」
ステラは少し警戒した様子で凛に尋ね、凛は笑顔を浮かべたまま無限収納から2振りの銃剣を取り出して答える。
すると、これにステラはピンと来た様だ。
凛の持つ銃剣にアロンダイトと名付け、そのアロンダイトを見ながら興奮気味に話した。
凛はそう言ってからアロンダイトをステラへ差し出し、ステラは返事をして受け取る。
そしてにまにまと笑いながら2本のアロンダイトを交互に見た後、嬉しそうに右手を掲げて話した。
「…アレックスよ。お前、あれを上手く扱える自信はあるか?」
「いやー無理だろ。大剣を振り回すだけならまだ何とかなるにしても、武器を前に構えての射撃?ははっ、んなもん外れて終わるのが関の山って所だろ。」
「やはりか。収集としてなら是非とも欲しいが…扱うとなると話が変わると思ってな。」
「一応、薙ぎ払ってる最中でもビームは出せるらしいが…俺がやったら味方にも当てちまいそうだしな。だからとてもじゃねぇけど怖くてよ、使いたいなんて言う奴はまずいねぇって。けどあんな感じで嬉しそうにしてるステラはすげぇっつーか、真似出来そうにねぇんだよなぁ…。」
「凛様に付いて行こうとする美羽様も大概だが、たまにステラはその上を行く時があるからな…。」
『(こくこく)』
その様子を見ていたゼノンとアレックスは、複雑そうな表情を浮かべながら話し込んでおり、その話を聞いていたレオン達も同意なのか頷いた。
「?」
その後、しれっとゼノン達からディスられた美羽に(凛とステラ以外の)視線が集まり、ゼノン達の視線を感じた美羽は不思議そうに首を傾げてゼノン達の事を見ていた。
「それじゃステラ、僕はサポートに回るよ。やりたい様にやっちゃって大丈夫だからね。」
「本当!?ならお言葉に甘えて思いっきりやらせて貰おうかな!」
凛は左右にアロンダイトを構えた状態のステラの背中に右手を添えて話すと、ステラはかなりやる気を浮かべた様子で答えた。
《それでは私も、張り切ってお二方のサポートをさせて頂きます!》
「「いや、ノディは止めてあげて。」」
《そんなー!不服ですぅー!!私だってルシファーは許せないんですよー?それに私だけ仲間外れしないで下さーい!》
「いや、仲間外れて…。勿論ルディも、ルシファーの事が許せないってのは分かるよ?」
「けどさ、ルディまでサポートに回っちゃったりしたら、下手するとエリックさん達に被害が行きそう…。」
そんなステラ以上にノーデンスがやる気となっていた為、凛とステラは揃って突っ込みを入れた。
するとこれにノーデンスが不満を露にした為、2人はノーデンスを宥め始めた。
「俺達も凛様から加護を受けてノディの声が聞こえる様にはなった。けどよ美羽様、その…ノディは色んな意味で大丈夫なのか?」
「あはは…これでもノディは本当に頼もしい存在なんだ。ただノディって、マスター以上に自重がない時が結構あってね…。」
「あー、うん。何となく言いたい事は分かった気がする。」
「苦労なされてるのですね…。」
「あははは…。」
ノディを宥めつつ、腫れ物扱いをしている2人を見て、レオンは不安そうな表情を浮かべて美羽に尋ねる。
これに美羽は苦笑いで答え、レオンが呆れた様子で、フィリップが労う様にして話し、美羽は更に困った様子となっていた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!」
ステラは真上に掲げた2本のアロンダイトに魔力を注ぎ、巨大で白いビーム砲を放った。
ビーム砲はぐんぐんと射程をのばしていき、上空1000メートル程の高さの所で止まった後、ステラは背中に添えられた凛の手から魔力を引っ張り始める。
そしてビーム砲に凛の魔力が加わった事で、2000メートル…3000メートルと射程が伸び、やがて5000メートル程の長さとなった。
「…いっっっっっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!ト○ンザムゥゥゥゥ・○イッッッザァァァァァァアアアアアアアアアアアアア!!」
やがて、ステラはかなりの大声で叫びながら、天高く発射した極太のビーム砲を傾け始める。
その速度はゆっくりで、少しずつ地面に近付いていった。
「まだだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ビーム砲が地面と水平になるまで下ろした辺りで、ステラは更に叫び、凛から大量の魔力を引っ張ってビーム砲の出力をかなり上げた。
凛はやっぱり言っちゃうんだ…等と思っている内に魔力が引っ張られるのを感じ、気持ちを切り替えてステラへ合わせる事に。
ドッ…ォォォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
そしてビーム砲は凛の魔力を受け、射程だけでなく威力も上がっていた。
そして空間すらも貫く様な音を立て、どこまでも真っ直ぐ森を進んで行く。
「良し!今の攻撃を反撃の狼煙とし、ただ今からルシファー討伐作戦を開始します!ノディのサポートがあるから大丈夫だとは思いますが、決して無理をしない様に!行くぞ皆!!」
『おおおおおおおおおおおおおおおお!!』
ステラがビーム砲の発射を終え、へたり込んだのを合図として凛が叫んだ。
配下達は雄叫びを上げて走り始め、それから少し遅れる形で凛達も進み出すのだった。




