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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
スタンピード、そして…美羽消失編
512/594

498話

エリックこと『強欲』は、カジノが営業中止になり、もっともっとカジノで遊びたいと言う不満や欲望で頭が一杯になっていた所を、

レナードこと『憤怒』は、アレックスのせいでベルガー公爵家を継げなくなってしまっただけでなく、今もこうして自分1人だけが辛い目に遭い、スタンピードの影響で自分は死ぬのかと言う怒りで溢れそうになった。


そこを黒いラタトスクの姿をした『色欲』が見付け、騒ぎに乗じて2人に近付き、眠らせたと言う流れとなる。


そしてジェフこと『嫉妬』だが、死んでも尚、まだまだ殺し足りないと言う未練が残っていた。

しかし、勘の良さも残っていた事から、危うく紅葉に察知されそうになったのを感知し、じっと耐える形で潜む様になる。


そこを『色欲』に察知され、掘り起こされてルシファーから肉体を得るまでに至った。




「フゥーッ、フゥーッ…カジノ…カジノはどこだ…。余を、余をもっとカジノで遊ばせろぉぉぉぉぉおおお!!」


「ハァァァ…アレックスのクソガキはどこだ?見付け次第すぐに殺してやる!!」


「はーはっはぁ!良いね良いねぇ!!さて…死にたい奴はどいつだ?ああ!?」


『強欲』は息を荒くしながら、『憤怒』は口から黒い煙の様なものを吐きながら、『嫉妬』は力が沸き上がって来るのを嬉しそうにし、それぞれ叫び声を上げる。


「楽しそうにしている所を悪いが…帰るぞ。貴様達も付いて来い。」


「あ?はっ、冗談じゃねぇ!そんなの興醒めも良い所だ。俺ぁ1人でも残るぜ。」


「黙れ。…それとも、今すぐこの場で消してやろうか?」


『…!!』


ルシファーはやる気になって凛達の方を向いている『嫉妬』の後ろから声を掛けるのだが、『嫉妬』から鼻で笑われる形で返事を返されてしまう。

ルシファーはそんな『嫉妬』の態度が頭に来たらしく、威圧を含ませたどす黒いオーラを展開し、『嫉妬』達4体を驚かせる。


「…ちっ、分かったよ。」


「心配せずとも、すぐに暴れさせてやるさ…存分にな。」


「本当か!へへっ、それなら俺から言う事は何もねぇな。」


「そうか。…行くぞ。」


それからもルシファーと『嫉妬』は話を続け、ルシファーが展開した転移魔方陣により、彼らは帰っていった。




カランカラン…ドサッ


「美羽!?」


「大丈夫!?」


ルシファー達がいなくなった後、ヴァリアブルシールドソードビットがそれまでの翼から、通常の板状に変化する形で地面に落下した。

そして、それまで片膝を突いていたもう1人の美羽がふらりと傾き、髪色や服装が美羽と同じものに変化していきながら、その場に倒れてしまう。


凛と美羽は驚きの声を上げ、急いでもう1人の美羽の元に向かう。


美羽の元に辿り着いた凛は左手を使い、もう1人の美羽を抱き起こすも、美羽はかなり辛そうな表情を浮かべていた。


「美羽!しっかりして!?美羽!!」


「マスター、ごめんね…。同じ時間軸に2人が存在すると言うのは、実はかなり無理が生じる事なの。だから多分…ボクはこのまま消えていくんだと思う。」


凛はもう1人の美羽に呼び掛け、美羽は儚げな笑顔を浮かべながらゆっくりと説明を行った。


「そんな…君が、君が消える必要なんて、どこにも…!?」


凛は美羽の説明を聞いた後に俯き、首を左右に振った。

そして悲しげな表情で顔を上げ、目に涙を浮かべて美羽に話そうとする。


しかし美羽から優しくキスをされた事で、凛だけでなく近くに立っていた方の美羽も驚いた表情となる。




「…ふふっ。やっと夢を叶える事が出来た。」


美羽は凛から離れた後、涙を浮かべた笑顔で話す。


「マスター。ボクはね、マスターや皆がいない世界でずっと…ずっと1人で戦って来たんだ。何度も挫けそうになった。何回も何回も…それこそ数え切れない位、死にそうな目にも遭った。けど、きっといつかマスターや皆に会える。そんな時が来ると信じ、どうにか持ち直しては先に進んで…ここまでやって来れたんだよ。」


そして少しづつ体が薄くなり始め、涙を溜めたまま凛の右頬に左手を添えつつ、笑顔で説明を行う。

凛と美羽はひたすら涙を流し、ただただ黙りながら話を聞いていた。


「…そろそろ時間みたい。傍にいれないのは残念だな…。だけど、これからもボクと仲良くしてくれると嬉しい…。」


美羽の体が大分透明に近付いてきた。

美羽は涙を浮かべたまま、苦笑いの表情で話す。


「マスター、今までありがとう。大好きだよ…。」


美羽は笑顔でそう言った後に光輝き、分裂して光の粒子となる。

分裂した粒子は少しづつ地面から離れ、空へ舞い上がっていった。


「あ…あぁ…………。」


凛は呻き声を上げ、光の粒子となった美羽を掬おうと、左手を空に向けて突き出す。


しかし、それが叶う事はなかった。


凛は左手を下ろし、涙を流したまま呆然とした様子でへたり込んでしまう。


そんな凛を、美羽は涙を流しながら、動ける様になった火燐達は肩を貸し合ったりして心配そうに見つめていた。




━━━━マスター、泣かないで。これからはずっと一緒に━━━━


消えた美羽の声が辺りに響いた後、舞い上がっていった光の粒子が空中で集まり始める。


そして直径30センチ程の大きさの球になり、一気に高度を下げ、背中越しに凛の中に吸い込まれた。


━━━━キミにもお裾分け。これからも、マスターを助けてあげて━━━━


それと同時に、野球ボール位の大きさの球に集まってもいた。


白い球は美羽の前に真っ直ぐ向かい、目の前でふよふよと浮かびながらそう言った後に美羽の胸へ吸い込まれるのだった。

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