496話
「今のは、ボク…で良いんだよね?けど、どうしてボクはここにいるのにもう1人が…?」
「うーん…。衝撃過ぎてほとんど話を聞いてなかったんだけど、美羽を見て『過去のボク』…とか言ってた様な…。」
「つまり…さっきのボクは未来のボクで、今のボク達を助ける為にここへ来た…とか?」
「多分としか…。」
凛と美羽は互いに困惑した様子で見合う等し、軽く話をしてからもう1人の美羽が向かったであろう方向を向く。
ルシファーは美羽の飛び蹴りを喰らった影響で1キロ程吹き飛ばれ、不機嫌そうに起き上がった後、左手で蹴られた頬を撫でる。
「いきなりとは…やってくれるではないかぁ!!」
「はぁぁぁあああああっ!!」
そしてルシファーは話しながら自分の方へ向かって来る美羽を忌々しく見上げ、そう叫んで斜め上方向に跳躍する。
美羽は双剣を携え、同じく叫びながらルシファーへ真っ直ぐ向かい、空中で衝突する形で戦いが始まった。
ルシファーは手足による攻撃や黒い球、それと先程まで放つ事がなかった炎や黒い炎、雷、氷を加えての攻撃を。
対する美羽は、天歩や翼をはためかせながらの高速移動、それとディメンションムーブを用い、双剣による斬撃や足技、背中に生えた翼の様に見えるシールドソードビット…『ヴァリアブルシールドソードビット』を駆使し、ルシファーに攻撃を仕掛けていった。
現在、ヴァリアブルシールドソードビットは翼の状態となっているものの、通常(と言っても改良されて一回り大きくなっている)のシールドソードビットへ戻す事が可能。
それに加え、腕を動かす感覚で翼をルシファーへ伸ばし、斬撃や突き攻撃を行ったり、ルシファーから繰り出される拳や蹴りを防いだり、翼に生えた羽を飛ばす攻撃が行える。
「貴方の…貴方のせいで!未来はぁぁっ!!」
「貴様!何を意味の分からぬ事を言っておるのだ!!」
美羽はルシファーの周りを動き回る様にして攻撃を仕掛け、ルシファーはもう1人の美羽に似ているとは思いつつ、強さが全然違う事に戸惑い、それぞれ怒りを露にしながら叫んでいた。
力や防御はルシファーが勝っているものの、素早さに関しては美羽の方がかなり上だった。
その為、美羽がルシファーの攻撃をかわすか防ぎ、その後に反撃を行い、ルシファーに少しずつ傷を作っていく。
ルシファーは自身の周りを動き回る美羽が鬱陶しく感じ、自分を中心に闇系超級魔法デスプレッシャーを放とうと判断する。
「ええい、ちょこまかと!!ならばこれはどうだ!」
ルシファーはそう叫びながら右腕を斜め下に向けて突き出し、掌に闇のエネルギーを溜め始め、デスプレッシャーを放つ準備に入ろうとする。
この戦法は滅神龍テュポーンも自爆用で行ったりする事があるのだが、滅神龍テュポーンが自らを巻き込んでデスプレッシャーを放ち、それをルシファーが咄嗟に魔力障壁で凌ぐ形で体験していた。
それに対し、ルシファーはデスプレッシャーを放った直後にインマテリアルイーターを発動させ、自分だけは魔法の影響を受けずに周りにだけ被害がいくと言う戦法を取っている。
その為、過去に死滅の森最深部で使った時も、ルシファー自身は全くダメージを受けず、自分以外の者達を滅ぼしていたりする。
「それを待ってた!」
「何…?」
しかし美羽が叫んだ事で意識が逸れ、どう言う意味だと言わんばかりの視線を美羽に送る。
美羽はルシファーが自らを巻き込んでデスプレッシャーを放とうとする時、今の仕草を取る事を知っていた。
美羽はルシファーがいずれ今の仕草を取ると予想し、右手はひたすら力を溜めるだけでフェイントするに留め、攻撃は右手以外の箇所で行っていたりする。
「…しまった!おのれ!時間稼ぎとは…小癪な!!」
「はぁぁぁぁぁああああああ…アルティメット…ディメンションスラッシュ!!」
ルシファーは我に返り、急いだ様子を浮かべ、かなり不完全な状態のデスプレッシャーを放とうとする。
しかしそれよりも先に、美羽がルシファーに向け、ライトブリンガーから渾身の力を込めたディメンションスラッシュを放ったのだった。




