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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
更なる世界の発展&意外な者達との再会編
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468話

それから10分後


「あ、いたいた。凛様ー。冒険者の人達が結構無茶をする様になってさー。部下から自分達だけでは手が足りないって報告を何回か受けてるんだよ。」


「こっちもだ。私達は地上から、ステラ達は木の上から10人づつで冒険者達の手助け(サポート)を行っているが…正直それでは厳しくなってきてな。他の所(世界中)にいる部下を森に集めた方が良いのか、凛様の意見を仰ぎに来た。」


目元とネコミミと尻尾以外が黒い忍装束姿(と言ってもネコミミも尻尾も真っ黒な為全身黒尽くめだったり)のステラと、首から下がステラと似た感じの服装をしたミゲルが揃って入口からVIP宿の中へ入る。

そして辺りを軽く見回して凛の存在に気付いたらしく、2人は凛の元へ向かいながらそれぞれ報告を行った。




「…2人共疲れてるね。」


「やっぱり凛様には分かっちゃうか…。最初は木伝いだったんだけど、途中から間に合わなくなってね。助けた人達が見えなくなる位置へ移動してからポータルでって感じになったんだ…。」


「あまりにも連続でポータルを使ったからか酔ってしまってな。本当の事を言えば気分が悪い…。」


「あー…ポータルで移動すると(森の中だろうが)景色が変わるもんね。それに状況の把握を行う度に疲れが(脳に)溜まる、それを午前中だけで何度も繰り返したら疲れるのは当然の事だよ。多少の無茶は付き物なんだろうけど…やり過ぎると周りに迷惑が掛かると言うのを、皆に分かって貰う必要がありそうだね。」


凛は何とも言えない表情で返事を行い、それまでなるべく明るく振る舞う様に努めていた2人は、困った表情や気分の悪そうな表情となって説明を加える。

凛は苦笑いになった後に考える素振りを見せ、2人と話を始めた。


現在、領地から100キロ以上も離れた場所で男性3人組の冒険者パーティーが魔物と戦っており、半ば孤軍奮闘状態になりながらも、進化の為に頑張ると言う事で未だ森を進んでいた。

それに加え、先程の男性達以外にも領地から十キロ以上離れた地点にいるパーティーは、軽く見積もっても1000は存在している。


しかもそれだけでなく、ステラ達やミゲル達が折角ポータルで近くへ移動した後に冒険者のパーティーを助けても、彼らは危険だから帰ると言う選択肢はないのか、更に森を進んで行った。

そして再び窮地に陥った所を離れた位置にいるステラ達がまたポータルを通じて助けに来るを繰り返した事で、ステラ達は心身共に疲れてしまい、自分達だけでは手に負えなくなっていった様だ。




30分後 第1056領地から100キロ程離れた地点にて


そこには魔銀級上位の強さを持つ男性3人組がおり、現在は炎神龍ファフニールを筆頭とした業火龍(インフェルノドラゴン)数体と戦っていた。

彼らはどうにか業火龍を全部倒し終えたのだが、仲間の1人がファフニールからブレスを受けて全身大火傷を負い、瀕死の状態となって倒れている。

そして残る2人も、連戦に次ぐ連戦の為か満身創痍となっていた。


「はぁ…はぁ…はぁ…。グエン、どうやら、俺達はここまでの様だぞ。」


「…そうみてえだ。ナッシュが大盾であいつ(ファフニール)のブレスを防いでくれなかったら、とっくに全滅してたけどな。」


「ははっ、確かにな。…それじゃ死ぬ前に、あいつと一暴れでもしてやろうぜ。」


「…ああ。」


大剣使いのアズールがあ大剣を杖代わりにしながら低い高度ながらも上空にいるファフニールの方を見て話すと、弓使いのグエンも同じくファフニールを見つつ、倒れてしまったナッシュの方をちらっと見て答える。

アズールは軽く笑い、大剣を持ち直して戦闘態勢に入りながら話し、グエンも答えながら矢を番え始めた。


「…若者がそう死に急ぐものではない。」


「「…え?」」


ズバッ ドドォォン


すると、2人がどこからか声が聞こえたとでも思ったのか、呆けている内にファフニールの首が空中で落とされ、少し遅れる形で体も地上に落下していった。


「…余は貴様らはここで死ぬべきではないと言ったのだ。」


「「こっ、ここここ皇帝陛下ーーー!?」」


「何だ?余がここにいてはおかしいとでも申すのか?」


「め、滅相もございません!ただ…皇帝陛下程の方が何故このような危険な所にいらっしゃるのかと思いまして…。」


ファフニールを倒した人物…ゼノンがシュタッと地面に着地した後、火炎の大剣を鞘に収めながら2人に話すと、2人は揃って驚きの声を上げてその場に跪いた。

ゼノンは不思議そうにして尋ね、アズールが非常に恐縮した様子で答えるのだが、己の醜態を晒してしまったからかもごもごとした話し方となる。


「ふむ…貴様達。余があのトカゲを倒さなければ、ここで死ぬつもりだったのであろう?」


「「(あれ程の強さを持ったドラゴンをトカゲ呼ばわり…)はい、仰る通りです。」」


「はっきり言えば、そんな真似をされても迷惑だ…と同時に、国や世界にとって貴様達は大事な財産でもある。…要は死ぬ程に危険を(おか)して一気に強くなろうとするのではなく、身の丈にあった戦い方で少しづつ強くなれと言う事だな。」


「「皇帝陛下…。」」


ゼノンは少し呆れた様子で2人に追及を行い、2人は内心苦笑いを浮かべつつ、ゼノンから何かしらの罰を受けると思ったらしく、びくびくとした様子で返事を返した。

しかしゼノンは最初こそ少し怒った表情になるも、すぐにふっと優しげな表情となり、2人へ諭す様にして説明を行った。


その事で2人は自分の事を大事に思ってくれていると思い、感極まった様子でゼノンを見つめたのだった。

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