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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
強化&アウドニア王国の街サルーン編
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46話

2人いる門番の内の片方(凛とやり取りしていない方)は、先程の13人と言う数字は凛が話を盛っただけだろうと思っていたらしく、実際に火燐達が来た事でかなり驚いていた。


「(おいおい!さっきの13人ってのは流石に冗談だと思ったのに…本当に来ちまったぞ!)」


「(分かったから!お前は黙って俺から離れろって!ほら!長がこっちを見てるだろうが!)」


その為もう片方の門番にしがみつきながら(本人は小声のつもり)そこそこの声量で話し、しがみつかれている門番は小声で話しつつ、なんとかして引き剥がそうとするが中々上手くいっていなかった。




ガイウスもポータルから13人もの男女が出て来た事に驚いたのか、しばらくの間呆けていた。

しかし後ろにいる門番2人が何やら騒いでいるのを見て、意識をしっかり持とうと感じた様だ。


「…凛殿、その者達が?」


凛の方向を向き直し、その様に尋ねた。


「ええ、僕の仲間達です。そこへ先程ギルドの解体場へ一緒に来た4人と、現在ギルドの宿直室で休ませている妖狐族の女の子を含めた5人の奴隷が加わりますね。」


「(初めて凛殿の事を聞いた時は攻撃を仕掛けようと思ったが…良かった。やらなくて本当に良かった…。)そうか…。」


『(また、増えたんだ…。)』


凛はガイウスへそう説明すると、ガイウスはもし凛に攻撃を仕掛けた場合、最悪サルーンの街が壊滅していたかも知れないと内心でかなりの冷や汗をかき、自分の選択肢は間違っていなかった事に安堵していた。


そして火燐、雫、翡翠、楓、エルマ、イルマは凛の発言を受け、内心でまた人が増えたんだなと少しだけ呆れていたりする。




「ガイウスさん、ゴーガンさん。あまりアルフォンスさん達を待たせるのも悪いですし、ひとまずギルドへ向かいましょうか。」


「あ、ああ。」


「う、うん。」


「門番さん、僕と美羽と紅葉と藍火以外は初めて見ると思いますが…このまま一緒に行っても宜しいですか?」


「「は、はひぃ!どうぞお通り下さい!」」


凛はギルドに残したニーナ達や妖狐族の少女、ニーナ達を預けているアルフォンスをいつまでも待たせると悪いと思った様だ。

ガイウス、ゴーガン、それと門番2人の方を向いて尋ねる。


ガイウスとゴーガンは少し歯切れの悪い返事を行い、門番2人は急いで定位置へ戻った後、必死な様子で敬礼しながら答えていた。




凛はポータルで移動してきた仲間の中にオーガの姿は見えなかった為、暁と話している少し黄色がかったオレンジ色のミディアムヘアーの髪型で、人懐っこそうで少し可愛らしい表情をした高校生位の男の子を旭、

紅葉と話をしており、紫がかった髪色を背中までと肩までの長さに伸ばし、キリッとした表情の姉妹を月夜と小夜だと認識し声を掛ける事にした。


「旭、月夜、小夜…だよね?無事に妖鬼へ進化出来たみたいで良かった。」


「「「はっ!ありがとうございます!」」」


「3人共紅葉や暁の予備の服みたいだし、明日にでも武器と服を用意させて貰うからさ、何か要望があれば帰ってから聞くから言ってね?それじゃ、僕は先に向かうね。」


「「「分かりました。」」」


凛は3人に声を掛け、旭、月夜、小夜は凛の方を向いて答える。

しかし紅葉と同じ身長の月夜はまだしも、旭と小夜は暁と紅葉と比べて少し小柄でぶかぶか気味だった為、凛は主に旭と小夜が着ている服を見ながら話して旭達の元から離れて行った。




「それではガイウスさん、しばらくの間ギルドの前を拝借させて頂きますね。」


「それは構わんが…凛殿。これから一体何をするつもりなのだ?」


「今回は皆さんへ振る舞う為、ここでバーベキューを行いたいと思います。バーベキューとは、簡単に言いますと家の外や川等で楽しむ調理法の事ですね。」


「ほう、面白そうだな。」


「皆でやるととても楽しいですよ。本来でしたら野菜等も一緒に焼くんですけどね。」


凛はギルドがあるサルーンのメイン通り、それもギルドを出てすぐの所を確保する為の人々の誘導を行う美羽達を見ながらガイウスへ説明を行い、ガイウスも屋外での料理と言う事に強い興味を示していた。

そして凛は無限収納からバーベキューグリルを取り出して美羽達へ渡してバーベキューの準備を進め、その間に藍火へニーナ達を迎えに行くように頼む。


凛達が冒険者ギルドの前を押さえてから藍火がいなくなり、ニーナ達と一緒に戻って来た後も含めてのバーベキューの準備が済むまでの間、終始近くにいる人々の注目の的となっていた。




今回はギルドの建物の正面に沿って4台のバーベキューグリルを置き、その横に土魔法で出来た肉を切る為の調理台をセットした。

そしてギルドの入口の横にある調理台の上に10キロ程にカットされた森林龍の肉の塊を乗せるのだが、巨大な肉の塊を台の上に乗せると言う光景に周囲からざわめきが起きる。

凛はざわめきを無視し、大きめのブッチャーナイフで厚さ2センチ程になる様にして切る。


凛はそれを熱した鉄板に乗せ、ジュゥ…っと音を立てながら香ばしい臭いをさせて焼いていく。

焼き加減がミディアム位になった所でペティナイフを無限収納から取り出して一口大にカットし、まずはシンプルにと考えた様だ。

塩・胡椒を振って更に焼き、しっかりと焼き目がついたのを確認して皿へ移した。


周りにいる人達が固唾を呑んで凛を見ている中、凛はカットされた森林龍の肉をゆっくりと口へ運ぶ。


「…!!(美味い、美味過ぎる…。オークキングの肉は脂が甘くて肉そのものも上品な味と言う感じだったけど、森林龍は肉汁が沢山出てるのにさっぱりしているし、肉自体が柔らかいのに美味しいのが凄い。なのに地球にいた時に食べた有名な牛肉よりもパンチのある美味さで、いくらでも食べれそうな位だ…。流石魔銀級の強さだけあって、金級のオークキングよりも数段上なんだなぁ…。)」


「マスター、周りの皆さんがじっと見ているよ?」


「…!」


凛はかなり驚いた表情になった後に1人で余韻に浸っていると、美羽にそう言われた事ではっと我に返った。


「…ガイウスさん。すみませんが、バーベキューを始める前に何か一言お願いしても宜しいですか?」


「…!(おっと、そうであった。俺とした事が森林龍の肉に魅せられておったわ。)…皆の者よ聞け!こちらにいる凛殿は先日のワイバーン事件を瞬時に解決した英雄だ!しかもそれだけではない!なんと!凛殿は死滅の森で得た魔銀級のドラゴンの肉を、この街の皆に振る舞ってくれるそうだ!決して肉の取り合い等せず、ありがたく食べさせて貰う様に!以上だ。」


『……ウォォォォォォ!!』


凛は自分で言うよりも街の長であるガイウスが伝えた方が混乱が生じにくいと思い、移動中にガイウスへ何か一言話して貰う様に頼んでいた。

ガイウスは凛が美味しそうに食べるのを見て頼まれていた事を忘れかけていたが、佇まいを正した後に大声で周囲にいる人々へ向け説明を行う。

すると、ギルドの周りにいた100人以上の者達が歓喜のあまり、一拍置いた後にかなりの大声で叫んでいた。


これを皮切りに街中の人が集まる様になり、凛は追加で作業台とグリルを用意し、料理の出来る美羽、翡翠、楓、エルマ、イルマ、リーリア、紅葉、月夜、小夜、それと一児の母であるニーナに手伝って貰いながら肉を焼いていく。


バーベキューが始まって少しの間、火燐、雫、藍火の3人は食べる側にいたのだが、調理を行っている美羽と翡翠に怒られてしまう。

その為、火燐達を含む調理が出来ないメンバーはフォークと受け皿、そして和風、ガーリックソース、わさび醤油、柚子胡椒、塩胡椒、おろし玉ねぎやおろし大根と言った調味料の用意をして貰う事に。


そして凛は調理を行いつつ、先程購入したばかりのニーナを働かせてしまい、内心ではかなり申し訳なく思っていた。

しかし代わりと言ってはなんだが、ニーナの娘であるナナやトーマス、コーラルは今回はお客様と言う事でギルドの入口近くのグリルの近くにいて貰い、傍で凛が肉を焼きながら軽く話しつつ、3人をもてなしていくのだった。

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