462話
午後4時過ぎ
凛は闘技場での作業を終え、再び自室にいた所で(先程ガイウスが凛を呼び出した際、使っているのを見て各国代表達にねだられた)映像水晶に着信が入った。
凛はナビから連絡を受け、作業を中断して無限収納から映像水晶を取り出して通話に出た。
するとそこに映し出された相手はポールで、どうやら相談があるとの事だった。
「魔物闘技場内で一儲け…ですか?」
「はい。カジノを利用するしないに関係なく、今や魔物闘技場は皆様が楽しむ場となりました。先程凛様がこちらのカジノでの作業を終えてから闘技場の様子を1時間程見ていたのですが、今いる場所から動かないで魔物同士が戦う所を見続ける方がほとんどでして。」
「つまり、その場に座ったまま…或いは立った状態でも飲み食いしやすい物を販売すれば、観ている方達が購入するかも知れないと言う事ですね?」
「凛様の仰る通りでございます。」
「となると、野球の試合とかで見るビールの売り子みたいな感じに、って事か…。」
「野球がどう言ったものなのかは分かりませんが、ビールを販売するのは面白そうですね!凛様、他にも何かご存知でしょうか?」
「あ、すみません。思った事がそのまま口に出ちゃってました。そうですね…ソフトドリンクやハンバーガー、フライドポテト、ホットドッグ、ポップコーン、フライドチキンの様に手軽な物が良いかと。」
「お、おお…?初めて聞くものがほとんどですが、意外とあるものなのですね!後はどの様にして販売するか…。」
「あ、それでしたら僕に考えがあります。先程作業をしていた時に、今までなかったトイレを闘技場内に設置するのと併せて、新たにやってみたいと思う事が出来たんですよ。ポールさんから連絡が来るまで、その製作をしている所でした。」
「凛様、その話是非詳しく!」
凛はポールと映像水晶越しに話し合いを行い、それからもしばらく魔物闘技場の今後について話していた。
ポールは凛が異世界人である事を知っている為、凛から出た知らない単語に驚きや興味津々と言った感じとなる。
その後、ポールが明日から楽しみですねと話したのを最後に、2人は通信を終えた。
午後6時過ぎ
現在、エルマ達が最終進化を終えた事によるパーティーを行っているのだが、凛はミゲルから貴族と貴族に雇われた者達によるトラブルが最近相次いでいるとの報告を受ける。
貴族は雇った者達に対し、今よりも階級の高い魔物を沢山持って来る様に指示を出し、雇われた者達は今でもギリギリなのに無茶を言うなと言ってこれを断っている。
しかも雇われた者達のほとんどが貴族から装備や生活面と言った援助を特に受けていない為、付き合い切れないとして契約を解除しようとするも、今度は貴族側が契約違反だと言ってこれを断っていた。
雇われた者達にも生活があり、死滅の森に向かって出来るだけ多くの魔物を狩って売却した後、自分の家へ帰る前に貴族の元へ売却したお金を納めに行くのだが、貴族が全然足りないと文句を言って来る事で暴動になりそうな所をミゲル達が入って仲裁を行う。
「貴族の奴ら、自分達はVIP宿での食事や高級な店の利用、終いにはカジノで遊ぶと言った贅沢を行う足しにしたいが為に、雇った者達へ利益を出させようと強要するみたいでな。こんな事なら契約を結ぶんじゃなかった、と言う声を何度も聞いているんだ。」
「成程…。」
「生活が豊かになったと言うのに、まだまだ問題は片付きそうにないのか…。」
「そうだね…。」
ミゲルは困った表情で報告を終え、凛と2人して頭を悩ませるのだった。