446話
この話で章が終わります。
章の始めに登場人物紹介を載せておきますので参考にどうぞ。
午後3時頃
合同訓練に関する話が少し前に終わり、明日から行うとして纏めてからレナードの治療を行って皆で談笑していた所、凛はナビからミゲルの進化がそろそろ終わりそうとの報告を受ける。
凛は皆に改めて解散と告げ、美羽達と一緒に屋敷へ戻る事に。
「…。」
「ミゲル、おはよう。ぼーっとしているみたいだけど…大丈夫?」
「おはよう。進化して光の適性が更に上がってると分かってな。驚いていた所だったんだ。後は、感覚が少し鋭くなった…お前達、(サーチを使わなくても)そこに隠れているのは分かってるぞ。」
「…ちょっ!押すな、押すなって!あ、あははは…。」
「全く…揃いも揃って良い大人が何をやっているんだか。」
「…そう言ってやるな。初めての事で皆お前がどうなるか心配していたんだ。」
「ああ、分かってるさ。」
凛は美羽を連れて部屋に入ると、ミゲルは起き上がってはいるものの黙ったまま俯いていた為、少し不思議そうな表情を浮かべて話し掛ける。
ミゲルは凛に答えつつ、話の最後辺りでじと目になりながら入口を見る。
すると部屋を出た右側から、そう言って部下のクリフ達が苦笑いの表情を浮かべ、重なる様にして床に倒れていた為、ミゲルは呆れた様子で呟く。
そこへクリフ達の反対側からギルバートが姿を現し、部屋に入ってすぐの所で説明を行うとミゲルは左目を閉じながら答えた。
ミゲルは聖人から進化し、一般的な神輝金級の中で最高位にあたる『聖王』となった。
聖人の時よりも更に光属性の適性が上がり、寿命が千年単位で伸びただけでなくサンクチュアリバリアと言うスキルを得る。
これは自身を中心に、最大で半径1キロの範囲でアンデッドを浄化したりする結界を張れる様になり、範囲内であれば状態異常の治癒や無効化、ついでに軽い傷なら治していく自動回復効果がある。
サンクチュアリバリアは全身鎧の様にして纏わせる事も出来、余程でなければ状態異常に掛かる事はなくなる為、風・光複合中級魔法エアピュリフィケイションの上位互換となるものの様だ。
「よぉ、ミゲル。無事に進化出来たみたいだな。おめでとう。」
「ありがとう。しかし…私は一応女なのに、女王ではなく王と言うのが不思議でならないがな。」
「王…?」
「ああ。凛様によると、私は聖王と言うものになったらしいぞ。」
「聖王、それが俺達の目指す所になるのか。…ミゲルの口調が男っぽいから王になったって事はないよな?」
「なっ!?…口調は関係ないだろう。」
「冗談だよ。ミゲル、今日のパーティーの主役はお前だ。今の内に何を話すか決めておけよ。」
「うっ、人前に立って何かを話すと言うのは苦手なんだがな…。」
「うちの場合、単純に人数が多過ぎるからって事も充分に考えられるんだけどな。」
「(くすくす)確かに。」
凛達は先に部屋を出て少しした後にミゲルが下へ降りると、トーマスがダイニングにあるソファーで座って待っていた。
トーマスは左手を軽く挙げてミゲルに話し掛け、ミゲルは少しだけ緊張した様子でトーマスと同じソファー(ただし距離を空けて)に座って答える。
それから2人は互いに喜怒哀楽や(キッチンでパーティー用の料理を作っている為)ひそひそ話を交えて会話を行い、そこへニーナやキュレア、マーサが加わって話を弾ませていった。
午後5時
「ミゲルさんは先程、無事に進化を終えて聖王となりました。」
『(聖『王』…?)』
「(皆、間違いなく何で女王じゃなく王なのかって顔をしているな…。)」
凛の挨拶から始まってミゲルのお祝いが始まるのだが、凛が聖王と言った辺りから皆の視線がミゲルに集まった。
ミゲルは内心で溜め息交じりでその様な事を考えている内に凛から一言話す様に頼まれ、その場に立ち上がって話をし始めるのだった。