434話
ガイウスは進化の為に自らの屋敷へ戻り、ゴーガンはハンナとフューリエとルルを連れて再び死滅の森中層へと向かって行った。
残った美羽はリムネーを連れてスイーツ店へ向かった後、そこにいた雫にガイウスや新たに仲間となった者達が目覚めるまでの間、リムネーの魔力の扱いを手解きする様に頼み、雫はこれを了承して移動を始める。
因みに、雫は美羽達が来るまでひたすらプリンを食べており、テーブルの上には空になった容器を山積みにしていた為、周りがドン引きしていたりする。
「リム。ガイウスが目覚めるまでの間、私が貴方を鍛える。」
「はいです!雫様、宜しくお願いします!」
「…リム。ガイウスじゃなく、私の子にならない?」
「え?えっと…。」
美羽達は亜空間部屋に向かった後に雫とリムネーが向かい合い、雫がそう伝えた事でリムネーはやる気の表情で答える。
雫はリムネーの健気な様子に絆されたのか、自身の両手でリムネーの両手をそっと持ち上げながら話し、リムネーは困った様子で美羽の方向を向いた。
「雫ちゃん…ロゼちゃんがダメだったからって、リムちゃんにも声を掛けるなんて事をしちゃダメだよ。それに、雫ちゃんには同じリヴァイアサンって意味で渚ちゃんがいるじゃない。」
「渚、普段は悪くない。けど訓練の時は暑苦しいし、何より自由過ぎるから…。」
「あー、まぁ…うん。それは分かる…かも。」
「?」
美羽は苦笑いの表情で雫に突っ込みを入れるも、雫が悲しげに答えた事で言葉に詰まってしまう。
リムネーは明日から訓練に参加させようと言う事で今朝の訓練に参加していなかった為、渚が訓練中に罔象を楽しそうに振り回したり、派手好きな事もあって水系や氷系の上級・超級魔法をぶっ放す性格なのを知らない。
その為今の状況が全く飲み込めておらず、疑問を浮かべた表情となっていた。
「アーサー達も悪くない。けど、基本的に淡々としているから面白くない。」
「淡々とって、雫ちゃんがそれを言っちゃうんだね…。」
「ん、言う。だからここまでやる気になるリヴァイアサンは珍しい。…それに可愛い。」
「ひゃっ!」
雫がしれっとそう話した事で美羽は困った様に答え、話を続けながらリムネーを抱き寄せた為、リムネーは驚きの声を上げる。
「アーサー君達は進化の影響で、全員大人の姿になっちゃったもんねぇ。」
「ん。最近、私のいない所で可愛い子が増え過ぎている気がする…。」
「最近はハーレムだ護衛だって事で、仲間を増やす傾向が更に強くなってるもんね。」
「ん。私は後で(獣国漁業都市)アゼルの南にある海へ探しに行く。」
「そかそか。良い子が見付かると良いね。」
「ん。頑張る。幼女は愛でるもの。」
「…雫ちゃん、雫ちゃん自身が幼女みたいな見た目なのに、それも自分から言っちゃうんだね。」
「…!…。(すっ)」
「(あ…目を逸らした。)」
雫はキリッとした表情で言ったのにも関わらず再び美羽から突っ込まれ、すぐにあっ…と気付いた表情となった後に目を逸らす場面があったが、それからも2人は話を続けていた。
しかし雫は話をしながらリムネーの頭を撫で続けており、リムネーはそのまま眠ってしまいそうな位気持ち良さげにしていた。
「…zzz」
「…あ、雫ちゃん。リムちゃん軽く寝ちゃってるみたい。」
「本当。…よし、今日はここまでにしてリムをお持ち…。」
「いや、まだ何もしてないでしょ。…リムちゃん、リムちゃん起きて。」
「ふえっ!私寝ちゃってました…?」
「「…。(くすくす)」」
話が一段落ついた所で美羽はリムネーが眠ってしまっている事に気付き、雫はリムネーを抱き抱えて運ぼうとする。
そこを美羽が止めてからリムネーを起こすのだが、リムネーはわずかの間とは言え寝入ってしまい、いきなり起こされたと感じたのか一瞬驚いてしまう。
起きた後もすっかり寝ぼけ眼となっており、リムネーの様子を見た美羽達は少しの間見合った後に軽く笑い合っていた。
雫は一頻り笑った後、リムネーを床に下ろして魔力操作の手解きをし始める。
その途中で美羽もたまにアドバイスを送りつつ、正午になるまでリムネーの魔力の訓練を行うのだった。




