432話
午後4時半頃 ガイウスの屋敷にある執務室にて
凛達が見守る中、ガイウスは椅子に座りながら13歳位の見た目をした青い髪の少女と向き合っていた。
「…あの、やっぱり迷惑でしょうか。」
「何とも言えん。正直俺1人だけでも充分…と言いたい所だが、最近は物騒だからな。護衛はありがたいと思う。しかし、えぇっと…。」
「ガイウス様。リムネーです。」
少女ことリムネーは俯きながら話し、ガイウスは困った様子で答える。
その途中でリムネーの名前が出て来なかった事で考える素振りを見せた為、凛が代わりに答えた。
「そうそう、リムネーだった。その、リムネーの見た目がどうしてもな…。と言うかゴーガンよ、先程から笑いを堪え過ぎではないか?」
「ごめんごめん、あまりにも違和感が凄くてさ。端から見たら悪人面のお爺ちゃんと可愛い孫と言う風にしか見えないんだよ。」
「ぐぬ…。だから困っておるのだ。せめてリムネーがもう少し年上であれば…。」
「ごめんなさい…。」
ガイウスは話しながら思い出した事で驚いたり、再び困った表情になった後、先程から明後日の方を向いて笑いを堪えているゴーガンに白い目を向ける。
ガイウスは笑顔のゴーガンからそう答えられた事で呻き声を上げ、腕組みをしながら困った様に話し、リムネーは更に申し訳なさそうに謝罪した。
リムネーは昼頃に美羽の説得で仲間となった洪水龍で、昼食後に凛が名付けを行ってから3時間程で水神龍リヴァイアサンに進化し、今の少女の姿となった。
先程の洞窟でリムネーはガイウスが自分の事を守ってくれた(と思い込んでいる)為、その恩に報いたい事も兼ねてガイウスの傍に付きたいと申し出た。
と言うのも、ガイウスは今でも仕事終わりに冒険者ギルドでロイド達と合流しての飲み会を行っているのだが、つい最近その行き来で襲われる様になった。
そしてガイウスが襲撃者に対し、応戦したり戦闘不能にさせている間に異変に気付いた警備達が来た後、襲撃者達を取り押さえたりそのまま詰所へ連行する。
しかし当然ながら彼らは口を割ろうとしなかった。
その為、ここ2~3日はガイウスの身辺警護についてが飲み会の話題の中心となっており、昨日も凛に頼んで用意して貰うかと話をしていた所だった。
因みに、ゴーガンはかなり強そうな相手と対峙さえしなければ穏やかな性格だったり、最近は周辺や世界中から冒険者が訪れる様になった事が関係し、30代の冒険者3人と付き合う様になっていたりする。
女性側も初めはギスギスしていたものの、ゴーガンの強さを知ってからはとても自分1人だとゴーガンに釣り合わないとし、武器も槍、片手剣と盾、魔法とバラバラだった為に3人で協力し合う事に。
「王国の貴族達はガイウスが昇爵するかも知れないって焦ったんだろうね。だから今の内に君を亡き者にし、自分が代わりにサルーンを治めようとでも思ってるのかも。」
「下らん。そんな事をする暇があれば、自領を繁栄させるのに意識を向けろと言いたい。」
「まぁ君の立場からすればそうなるよね。とは言え、君もこれからはライアン君達の様なハーレムとやらに…。」
「いや、俺はならないからな!?」
「ははは、分かってるって。」
「いやお前、絶対にこの状況を楽しんでるだろ!?」
ゴーガンは終始笑顔のままで話すのだが、ガイウスは不機嫌そうになったり、ゴーガンへ盛大に突っ込んだりしていた。
しかし話し合いを重ね、リムネーを切欠とした身辺警護をこれから増やそうと言う事になる。
ガイウスはこれから自分もハーレムだと揶揄されると想像したらしく、溜め息混じりでこれを了承するのだった。