431話
美羽は少しだけ遅めの昼食を摂る為、ガイウス達を連れて第1領地にあるVIP宿へと向かう。
するとそこではマリアを筆頭としたライアンハーレムズと、パトリシアを筆頭としたアレックスハーレムズが何故か張り合っていた。
そしてその中心にいる筈のライアンとアレックスは困った表情を浮かべており、ユリウスはそんな2人を楽しそうに眺めながらケーキを食べていた。
他にも、帝国冒険者組合総長のクラークはゴーガンの隣で一心不乱に酒に合う料理を食べてはワインやウイスキーを煽っており、ゴーガンの向かい側にいるハンナは不貞腐れながら料理を食べつつゴーガンに愚痴っていた。
ハンナの愚痴にクラークの両隣にいる凛とゴーガンは困った様子を浮かべ、ハンナの隣にいるエルフの女性は関係ないとばかりに鮭王のカルパッチョを幸せそうな表情で食べると言う、中々にカオスな状態となっていた。
「マスター、戻ったよー♪」
「あ、美羽、ステラお帰り。」
「うん♪」
「ただいまー。」
「そっちはどうだった?」
「僕はエリンさん達に割と楽しんで貰えたと思ってるよ。」
「そうなんだ。僕達の方はさ…。」
ナルはアレックスの反応が面白そうだと思ったのかアレックスがいる方へ向かい、美羽は凛に近付いた所で話し掛ける。
凛は美羽と後ろにいたステラに挨拶を行った後、美羽とステラが凛の近くに座って話をし始めた。
「ぬ。ゴーガンは分かるが、ハンナとフューリエもいるのか…。」
「…何よ。私がここにいちゃいけないって言うの?」
「おひさ~♪」
ガイウスも美羽達に遅れる形でゴーガンの元へ向かうのだが、その途中でハンナと昔のパーティーメンバーであるフューリエの姿が確認出来た。
ガイウスは2人が得意ではなかった為、歩きながら苦い表情で呟いた事でハンナにじと目で尋ねられ、フューリエはにこにことした表情で手をひらひらと振って来た。
「ガイウス、聞いたわよ。貴方ももうすぐ神輝金級の強さになるんですって?それにフューリエも私とそこまで変わらない強さって…3人共ずる過ぎない?」
「そう言われてもな、ハンナよりも早く凛殿と知り合えたからとしか説明のしようがあるまい。しかも俺達は王都へ行く用事もなかったのだ、こうなって仕方のない部分もあろうよ。」
「それはそうかも知れないけどさ…。そこを昔の仲間のよしみで…。」
「パーティーを組んでいた間散々引っ掻き回した挙げ句、俺の親父が亡くなってサルーンを引き継ぐかどうかってなった時に、自分は冒険者組合総長になるからって飛び出したお前がそれを言うのか?」
「うぐっ!悪かったわよ…。」
ガイウスが椅子に座ってから話をし始めるのだが、最初こそハンナがじと目だったものの、途中からガイウスからじと目で返される。
ハンナが飛び出した事が切欠でパーティーが解散した様なものだった為、ハンナはばつが悪そうにしていた。
「ん?あ、やっぱり。フューリエも来てたんだね。」
「あ~!お父様も来たんだ~。」
ガイウスの後ろいたリアムはフューリエの名前が出た事で横から顔を出し、その視線の先にフューリエがいると分かって話し掛ける。
フューリエは父であるリアムが来て少しだけ驚いた様子となるも、すぐに笑顔で答える。
「…お爺様?それにお母様までいる~。」
「あらぁ~♪リーリアちゃんじゃな~い♪それにヤイナちゃんもいるのね~。」
「お邪魔します。」
「リーリアちゃんといつも一緒にいる精霊ちゃんはどうしたの~?初めて見る子は肩に乗ってるみたいだけどぉ。」
「お母様~、その精霊さんがこの子なのよ~?凛君からアリアって名前を貰ってねぇ、大精霊になったの~♪」
「あらぁ~♪」
「リーリアは楽しそうで良いなぁ。僕の炎の精霊も頼んでみようかな?」
「良いわねぇ~!私の水の精霊もお願いしようかしらぁ?」
「多分凛様ならおかーさんやおじーちゃんのお願いを聞いてくれると思うよ!」
そこへ今度はアリアを肩に乗せた状態のリーリアとヤイナが到着し、リーリアはリアムとフューリエがいる事でこちらも少しだけ驚いた様子となる。
フューリエはリーリアやヤイナとも一緒になれてご機嫌となり、そこへアリアやリアムも交えて話をし始める。
しかしフューリエもリアムもリーリアと似た顔立ちをしているからか、とても親・子・孫の関係には見えないが、3人共雰囲気が非常に似ていたりする。
それから凛達の元へ火燐達や猛、大精霊等が来る等し、それぞれのテーブルで話を弾ませたり盛大にからかわれたりして昼食の時間を過ごすのだった。