412話
カジノは地上部分と違い、縦に2キロ程、横に3キロ程の空間が広がっている。
カジノ内にはスロットマシン、簡単なコインゲーム、トランプを使ったカードゲーム各種、ルーレット、それと(カジノ初心者から上級者まで楽しめると言う意味で)サイコロを使ったクラップスと言うゲームが行われている。
そしてカジノ内の面積を3割程使って『魔物闘技場』を造り、その中では試合が行われる度に4種類の魔物が争っていた。
今回の場合は金級の強さを持つデスグリズリー、カースドラゴン、アークドラゴンブラッドツリー、キラーマンティスが戦っており、その様子を周りの人達が見ながら、どの魔物が勝つかと言った賭け事を含めて盛り上がりを見せている。
凛達が来た時に魔物闘技場で戦っていた魔物達はデスグリズリー達となっていたが、これらは凛が今まで倒した事がある魔物を呼び出す事が出来るスキル『眷属召喚』を用いている。
凛は元々魔力を使って生き物を生み出すと言う事に忌避感を覚えていたのと、最近は毎日何かしらで配下が増える事で眷属召喚を使わなかったのだが、ナビがスキルを弄ってからは魔物闘技場限定で生み出せる様にした。
その為ナビが魔物闘技場用に魔物をランダムで鉄級~魔銀級の中から1体選び、その選んだ魔物からそれなりに近い強さの魔物達を3体選ぶ。
そして試合開始と共に魔素を使って魔物を生み出し、戦闘が済んでから消滅して魔素へ分解すると言う流れを繰り返している。
「ここではまず両替所へ向かい、金貨や銀貨等をメダルって言うカジノ独自の通貨へ変える事で初めて遊べる様になるんだよ。カジノ内の至る所にある勝負に勝てば倍率に応じてメダルが増えるが、負ければ賭けた分だけ減る。そんでメダルが沢山貯まったら交換所って所で景品と交換出来るみてぇだな。1番の目玉は全部オリハルコンで出来たインゴットなんだと。…ついでだから俺も少し遊んで行くか。」
レオンは説明しながら入ってすぐ右側にある両替所を見た後、左側にある交換所を見て正面にあるスロットマシンへと向かって行くのだが、道中で白いロングヘアーをした兎の獣人のバニーガールからシャンパンを受け取っていた。
レオンはたまたま兎の獣人のバニーガールに遭遇したが、他にも猫や狼、栗鼠のバニーガールもいたりする。
それからはエリック達への説明をゼノン達が行い、凛がお試しにと言う事でそれぞれに銀色のメダルを100枚ずつ用意した後、一旦解散してカジノ内で遊んで貰う事にした。
ここでは銀貨が銀色のメダルへ、金貨が金色のメダルへと言った感じで両替出来、反対は不可となる。
そしてレオンが向かったスロットマシンだが、銀色のメダルを使った物、金色のメダルを使った物、白金色のメダルを使った物の3種類がある。
他のゲームもそうだが、堅実にプレイすれば大体勝てる様になっている。
しかし客は景品所の後ろのど真ん中に鎮座している純オリハルコンのインゴット(名札の前に交換後7階にある加工屋での加工が可能と記載されている)以外にも、ミスリルやアダマンタイト、火鉱石、氷水晶、土靭鉱のインゴット、他にも市販されてはいない宝石を使った装飾品や魔物の宝玉、VIP宿のフリーパス等の豪華な景品を目当てにしているのか、狙っている景品欲しさに勝負に出ては負けた事でかなり落ち込んでいる者が多い様だ。
それから30分程が経った頃、レオンは銀色のメダルを使ったスロットマシンをポチポチと押して遊んでおり、ゼノンとフィリップは魔物闘技場で魔物達が争う姿を見て楽しそうにしていた。
ミラベルは景品である化粧品の超豪華詰め合わせセットについての説明を受付嬢から熱心聞いており、バーナードとパトリシアがミラベルの近くで苦笑いの表情を浮かべている。
そしてエリックはと言うと、ルーレット等のゲームで勝負に出て盛大に負けてはその都度両替所へ向かっていた為、短時間にも関わらず白金貨数枚(日本円で数億円)分をスッていたりする。
それから凛達は更に30分程カジノで時間を過ごし、ゼノンが遊び足りないとするエリックを引き摺る形でカジノを後にした。
「王国も他の国と同様、凛様の下に付こうと思う。フーリガンや組織に関しての扱いも凛様に任せる事とする。」
「分かりました。折角ですのでフーリガンだけでなく王都もこちらで開発を行い、どちらも得た利益の2割を納める事にしますがいかがしましょうか?」
「(得た利益の2割…それでどこまでカジノで遊べるのかの計算をしないとだな。)…分かった。それで宜しく頼む。」
凛達は王城へ戻った後、凛とエリックは軽く話し合いを行ってフーリガンとギルバート達の扱いが決まる。
それとどうやらエリックはカジノにかなりハマったらしく、今後も自分のポケットマネーを使ってはカジノに入り浸る様になるのだった。