410話
「…はぁ、今ので何か一気に疲れたわ。ギルバート…いや、長いからギルで言いか。ギル、他の者達がどうなるかは知らんが、少なくともお前だけは死なせねぇから安心しな。」
「…そうか。」
「他の者達もある程度は死なせずに引き取ると、私からも約束しよう。」
「…助かる。」
レオンは溜め息交じりの疲れた表情で獣神化を解いた後、ギルバートの事が気に入ったのか軽く笑いながら話し、ミゲルも軽く笑顔で話す。
一方のギルバートはと言うと、2人の方を向いては淡々とした様子で答えていた。
ミゲルはギルバートにある程度と話していたが、仕事柄とは言え相手の事を傷付けるのが楽しいと感じる人物が隊長クラスを含め、組織に半分近く存在している。
その為、ミゲルはその者達は保護対象から除外するつもりでいる様だ。
「バーニィ兄様。この様な状態になってしまった今、これ以上の話し合いは困難よ。」
「あ…うん、そうだな。パティの言う通り今日はもうダメだろう。父上達はこのまま休ませないとか…。」
「ええ。けど私はこれから凛の所へ向かうし、ギルバート達の身柄はフーリガンの者達と同様に預かる事になると思うわ。」
「…そうか。母上もそれで宜しいでしょうか?」
「仕方ないですね…。」
パトリシアは近くにいた兄のバーナードへ話し、バーナードはいきなり話を振られた事で少し驚いた表情となるも、エリック達を見ながら返事を行う。
そしてパトリシアは頷いて話した事で(ややシスコン気味の)バーニィが残念そうな表情で、母であり王妃のミラベルが何とも言えない表情でそれぞれ話していた。
バーナードは年の頃が20代半ば頃、身長174センチ位で背中まで伸ばした金髪の髪型。
一方のミラベルは年の頃が40代前半位、身長162センチ位で金髪をアップにした髪型となっている。
凛達はこの日の話し合いは終わりと言う事でクリフ達にギルバート以外の者達を亜空間部屋へ運んで貰い、その間に(聖人になった事で光魔法が使える様になった)ミゲルが回復魔法でギルバートの治療を行った事で驚かれていた。
それから凛達はフーリガンの者達の所へ向かって早めの夕食を渡した後、別な亜空間部屋にいるギルバート以外の組織の者達へも食事を届けた。
そしてライアンは目を覚ましたのだが、隣にいたマリアからライアンの彼女達へ挨拶したいからと言う事で移動を始めようとするも、ライアンは当然の如くこれを断る。
マリアは嫌がるライアンを無視して左肩に担ぎ、凛達が何とも言えない表情で見ているのを他所に王都へ向かって行った。
午後5時過ぎ
「…私がパーティーの主役だなんて、何だか恥ずかしいわね。」
凛達はパトリシアとギルバート、アウラの歓迎会を開く事になったのだが、パトリシアはアレックスの隣で恥ずかしそうにしていた。
「…何故罪人である筈の俺までここに?」
「皆、ギルの事が気に入ったんだよ。」
「…そうか、これから世話になる。」
そしてパトリシアから離れた所ではギルバートが不思議そうな表情で呟き、隣にいるミゲルから説明を受けてふっと笑いながら答える。
「あたしも罪人っていや罪人になるんだけどね。」
「集落にとっては、だけどね。」
「アウラちゃんは気にしなくて大丈夫だよ。」
「…そうだね。これからあんた達と一緒にいれるってんなら、多少の罰位は目を瞑るさ。」
アウラはギルバートの言葉が聞こえたのか苦笑いの表情で呟くも、隣にいるエルマとイルマから笑顔で話された事で、右目を閉じながらも笑顔で答えるのだった。