407話
「エリック王よ、これはどう言う事だ?」
「分からぬか?ここでお前達を捕え、フーリガンは王国が治める事とするのだよ。」
「国へ戻れば戦力を整えられるのだろうが、この場で取り押さえてしまえばそれも出来まい。むしろ反対に、貴様達を人質として各国を利用してやるまでだ。」
ゼノンが不機嫌そうな表情で尋ねると、顔を歪めたエリックとレナードがそれぞれ返事を返した。
「はぁ…この程度の者達で俺達の相手が務まる等と思われていたとはな。」
「ゼノン、そう言ってやるなよ。いくら国の代表でも弱い奴は弱いからな。」
「そうですね。自らが先頭に立たず、それでいて後方にいながら他者を使う事が自分の強さだと勘違いされてるのでしょう。」
「少なくとも、誰かさんみたいな真似はしたくありませんよね。」
ゼノン、レオン、フィリップ、ポールはそれぞれそう言いながら、無限収納から火炎の大剣、飆風の籠手、光焔の剣、崩土の戦鎚を取り出して構える。
ゼノン達は凛の配下でも強者の部類である属性武器を持っているが、これは4人の中でポールだけが既に無限収納等の機能を使え、崩土の戦鎚を持っていた事を他の3人が羨ましがったからだ。
凛はゼノン達から配下にして欲しいと土下座して頼まれた事で渋々了承し、ポールと同様に先日から簡単な機能なら使える様にしてそれぞれ武器を与えた。
「ぐぐぐ…言わせておけば。お前達、やれ!」
「凛様達は手出し無用!」
「俺達もこう言った場面で暴れてみたかったしな!」
「それに、この方達ではあまりにも実力不足。」
「凛様達がお相手するまでもありません。」
エリックは額に血管を浮き立たせた状態で右手を前にやりながら叫び、ゼノン達は嬉しそうにしながら四方に散って行った。
「…!」
「残念だったな。」
黒ずくめの者の1人が右手に逆手で持った短剣でゼノンに斬り掛かって通り過ぎるも、あまりにも手応えがなかった為に短剣を見てみた。
すると短剣は根元から溶断されている事が分かり、驚いている内にゼノンがそう言って大剣の腹部分を使い、黒ずくめの者を吹き飛ばした。
「おらおらおらおら!まだまだ行くぜぇ!」
「…アーウィンから話を聞いて凛様の様にしてみましたが、意外と出来るものですね。」
他にもレオンが疾風迅雷の如く駆け回っては殴り倒したり頭上や壁の方へ吹き飛ばし、フィリップは鼻歌交じりで相手の武器だけを切り刻んでは足技を使ったり手刀で無力化させていた。
「ほぁっ!よいしょおっ!」
そしてポールは攻撃を仕掛けられる所だろうが防御の構えを取られようがそれら全てを無視し、太った見た目に反して素早く力強い攻撃で纏めて吹き飛ばしたり、かち上げながらその数を減らしていた。
5分後
「馬鹿な…勝つ所かこうも早くに全滅するとは…。」
『………。』
「こいつらも普通ならかなりの手練れの筈なんだがな。」
「ああ。だが、今の俺達だと準備運動にすらならん。」
「さてエリック王…と言うよりはレナードか。あれだけ譲歩してやったってのに…事と次第によっちゃお前を八つ裂きにさせて貰う。覚悟は出来てるんだろうな?」
『…!?』
銀級と金級で構成された100人以上の者達が為す術もなく倒された事で愕然とした様子で呟き、レナード達も呆然としていた。
そしてレオンとゼノンが話した後、レオンが話をしながら3メートル程の大きさのライオンへと姿を変えて牙を剥き出しにした事により、エリック達は更に驚く事となるのだった。